投資信託や株式などの金融商品を購入するにあたり、現金と同じようにポイントで買えるのが「ポイント投資」。主要ネット証券5社のポイント投資サービスの特徴やおすすめ銘柄(投資信託)などを、FP資格を持つ証券会社出身のSGO編集者が初心者にもわかりやすく解説します。
ポイント投資はどこがおすすめ?ネット証券5社を調査【比較表付き】

『資産形成ゴールドオンライン』は複数の企業と提携して情報を提供しており、当サイトを経由して申込みがあった場合、各企業から報酬が発生することがあります。しかし、提携の有無などが本ページ内のサービスの評価や掲載順位に関して影響を及ぼすことはありません(提携会社一覧)。

「ポイント投資」は、貯まったポイントを現金代わりにして証券会社で投資信託や株式を購入できるサービスです。

 

本記事は、

 

「自分が普段から貯めているポイントで投資できるのはどの証券会社?」

「ポイント投資をするならどこがおすすめ?」

「ポイント投資でおすすめの銘柄は?」

 

という人に向けて、SBI証券、楽天証券、auカブコム証券、マネックス証券、松井証券の主要ネット証券5社のポイント投資サービスを比較します。

 

最後まで読めば、微妙に異なるサービス内容の違いが整理でき、あなたの目的に合ったポイント投資ができる証券会社が見つかります。

 

■おことわり

LINE証券でもポイント投資ができますが、2024年中に証券業から撤退することが決まっているので、本記事では紹介しておりません。LINE証券で保有している株式などは野村證券に移管され、LINE証券はFXに特化した会社になります。

 

はじめに:「ポイント投資」とは

ポイント投資のイメージ図
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

「ポイント投資」は、日常の買い物や証券会社での取引で貯めたポイントを利用して、証券会社で投資信託や株式などの金融商品を実際に購入できるサービスです。

 

ポイント投資だけで将来安心して暮らせる資産を築くことは難しいですが、現金の持ち出しを減らして気軽に買えるので、投資を始める“きっかけ”になります。

 

しかし、ポイント投資は、サービスを提供している証券会社によって「利用できるポイント」や「対象商品」、「買付方法」などが異なります。そのため、特徴をきちんと把握しないと、「口座開設をしたけど、買付方法が思っていたのと違った」「あっちの口座のほうがよかった」ということになりかねません。

 

そういうことにならないように、次章では、ポイント投資ができる主要ネット証券5社のサービスの違いを比較表で見てみましょう。

 

■「ポイント投資」と「ポイント運用」の違い

「ポイント投資」も「ポイント運用」もどちらもポイントを使うことには変わりません。しかし、「ポイント投資」を始めるには証券会社の口座を開設する必要があります。

そのため、本格的に投資を始める前に試したい人は、より実践に近い「ポイント投資」のほうがおすすめです。詳しくは、「7.『ポイント投資』と『ポイント運用』の違い」で解説します。

 

【比較表】「ポイント投資」ができるおすすめネット証券5社

【比較表】「ポイント投資」ができるおすすめネット証券5社
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

早速、ポイント投資に対応している主要ネット証券5社を比較表でご覧ください。なお、各サービスについては1章以降で順番に解説するので、ここではざっと把握するだけで大丈夫です。

 

■「ポイント投資」ができる主要ネット証券5社の比較

証券会社 SBI証券のロゴ 楽天証券のロゴ auカブコム証券のロゴ マネックス証券のロゴ 松井証券のロゴ
ポイント投資
ができるポイント
・Tポイント
・Pontaポイント
・Vポイント

楽天ポイント

Ponta
ポイント

マネックス
ポイント

松井証券
ポイント
投信保有時などに
貯まるポイント
・Tポイント
・Pontaポイント
・Vポイント
・dポイント
・JALのマイル
・PayPayポイント
クレカ積立で
貯まるポイント
Vポイント なし
クレカ積立が
できるカード
・三井住友カード
・Oliveフレキシブルペイ
楽天カード au PAYカード マネックス
カード
なし
ポイントで
投資できる商品
投資信託 ・投資信託
・国内株式
・米国株式
・バイナリーオプション
・投資信託
・国内株式
(単元未満株のみ)
投資信託

投資信託
(3銘柄のみ)

ポイントによる
買付方法

(投資信託の場合)

・スポット購入
(金額指定)

・積立買付
※Tポイントと
Pontaポイント

・スポット購入
(金額指定)

・積立買付

スポット購入
(金額指定)

スポット購入
(金額指定)

積立買付

つみたてNISA
でのポイント利用

※Tポイントと
Pontaポイント
× ×

×

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ご覧のように、証券会社によってポイント投資の対象商品は異なり、買付方法、つみたてNISAでの利用の可否も異なります。そして、SBI証券のポイント投資の仕組みがやや複雑そうに感じます。

 

次章から、5社のポイント投資サービスについて順番に紹介していきます。

 

1. SBI証券のポイント投資は「Tポイント」「Pontaポイント」「dポイント」から選べる

SBI証券のポイント投資
(引用:SBI証券

 

■SBI証券の「ポイント投資」の概要

投資できる
ポイント
・Tポイント
・Pontaポイント
・Vポイント
対象商品 投資信託
買付方法
(投資信託の場合)

・スポット購入(金額指定):Tポイント、Pontaポイント、Vポイント

・積立買付:Tポイント、Pontaポイント

つみたてNISA
でのポイント利用
〇(Tポイント、Pontaポイントのみ)
交換レート 1ポイント=1円
投信保有時に
貯まるポイント

投信マイレージ
・Tポイント
・Pontaポイント
・Vポイント
・dポイント
・JALのマイル
・PayPayポイント
クレカ積立が
できるカード
・三井住友カード
・Oliveフレキシブルペイ
クレカ積立時の
ポイント還元率
0.5~5.0%(カードの種類による)
クレカ積立で
貯まるポイント
Vポイントのみ

 

SBI証券のポイント投資は「Tポイント」「Pontaポイント」「Vポイント」のなかから1つを選び、投資信託の買付代金の一部または全額に利用できます。他社では1つのポイントしか選べないのに対して、SBI証券の場合は3種類と選択肢が多いのが特長です。

 

ただし、投資信託の積立買付ができるのは「Tポイント」と「Pontaポイント」のみ。「Vポイント」は、「500円分を(1回限りの)スポットで購入する」のような「金額指定」による買付方法しかできません。

 

そのため、つみたてNISAでポイントを利用できるのは、積立買付に対応しているTポイントとPontaポイントのみになになります。

 

■変更点

SBI証券のポイント投資は、以前は金額指定の(1回限りの)「スポット買付」しかできませんでした。しかし、2023年2月27日より、TポイントとPontaポイントに限り、投資信託の積立買付(つみたてNISAもOK)ができるようになりました(参考:「ポイント投信積立サービス開始!Tポイント、Pontaポイントが投信積立で利用可能に」)。

 

そして、SBI証券のポイント投資の仕組みを複雑にしているのが、ポイント投資ができるのは3種類なのに対して、様々なシーンで貯まるポイントは6種類あるということ。たとえば、投信保有残高に応じて毎月付与される「投信マイレージ」で貯まるポイントも6種類から選べます。しかし、クレカ積立で貯まるのは「Vポイント」だけです。

 

ややこしいので、整理してみましょう。

 

■SBI証券で貯まる6種類のポイント比較

貯まるポイント Tポイント Ponta
ポイント
Vポイント dポイント JALの
マイル
PayPay
ポイント
ポイント投資 × × ×
ポイント投信積立 × × × ×
クレカ積立時 × × × × ×
投信保有時
投信マイレージ

 

ご覧のように、Vポイントであれば「クレカ積立」と「投信保有」のダブルで同じポイントが貯まります。しかし、Vポイントによる投信積立はできません(「金額指定」による買付は可能)。

 

ただし、投信積立時にポイントを利用する必要性はなく、「クレカ積立」ではVポイントを貯めて、「投信保有」ではTポイントを貯めるといったことも可能なので、上手く使い分けましょう。

 

なお、SBI証券には「金融仲介口座」という、異業種の会社がSBI証券と業務提携をすることで投資信託などを販売できるようにした口座があります。金融仲介口座で提携先のカード会社が発行するクレジットカードで投信積立をするとそのカード会社が発行するポイントが貯まり、以下の7種類の組み合わせがあります。

 

■SBI証券(金融仲介口座)のクレカ積立で貯まるポイント

 

  1. 三井住友カード:Vポイント
  2. 東急カード:TOKYU POINT
  3. 新生アプラスカード:新生アプラスポイント
  4. タカシマヤカード:タカシマヤポイント
  5. UCSマークのついたクレジットカード:Uポイント/majicaポイント
  6. 大丸松坂屋カード:QIRAポイント
  7. オリコカード:オリコポイント/暮らスマイル/提携先オリジナルポイント

 

三井住友カード以外の上記の組み合わせで普段から貯めているポイントがあれば別ですが、無理して金融仲介口座を利用する必要はありません。

 

まとめると、SBI証券では「三井住友カード」もしくは「Oliveフレキシブルペイ」によるクレカ積立でVポイントを貯めつつ、Vポイントを含む6種類からメインポイントを選び、クレカ積立時と投信保有時とダブルでポイントを貯めることをおすすめします。

 

■補足
「Pontaポイント投資」はauカブコム証券、「dポイント投資」は日興SMBC証券の日興フロッギーで利用できます。

 

\ポイント投資ができるのは3種類

SBI証券の公式サイトへのリンク

 

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2. 楽天証券の「楽天ポイント投資」は対象商品が4種類

(楽天証券公式YouTubeチャンネル『動画でわかる!ポイント投資(投資信託)ってなに?』)

 

■楽天証券の「楽天ポイント投資」の概要

投資できる
ポイント

・楽天ポイント
※通常ポイントのみ可、期間限定ポイントは不可
・楽天証券ポイント

対象商品 ・投資信託
・国内株式
・米国株式
・バイナリーオプション
買付方法
(投資信託の場合)

・スポット購入(金額指定)

・積立買付

つみたてNISA
でのポイント利用
交換レート 1ポイント=1円
投信保有時に
貯まるポイント
楽天ポイント
クレカ積立が
できるカード
楽天カード
クレカ積立時の
ポイント還元率
0.5~1%(カードの種類による)
クレカ積立で
貯まるポイント
楽天ポイント

 

■「楽天ポイント」と「楽天証券ポイント」の違い

2つのポイントの違いを簡単に説明すると、「楽天ポイント」は世間一般がイメージする通常の楽天ポイントのこと。一方、「楽天証券ポイント」は、楽天証券でしか利用できないポイントのこと。ややこしいですが、特別な理由がない限り、楽天証券で「楽天ポイントコース」に設定して「楽天ポイント」を貯めることをおすすめします。

 

楽天証券の「楽天ポイント投資」はポイント投資の先駆け的な存在で、楽天市場でのネットショッピングや会計時に楽天カードを提示して貯まった楽天ポイントで投資信託などを買うことができます。

 

また、他社では投資信託や国内株式にしかポイント投資ができないのに対して、楽天証券の場合は次の4つの商品が対象です。

 

 

そのため、楽天証券であれば「米国株をやってみたいけど、自分のお金を使うのは嫌だ」という人でも、ポイントなら気軽にチャレンジできます。

 

また、楽天証券は「クレカ積立時に貯まるポイント」と「投資できるポイント」が同じなので、普段から楽天経済圏で楽天ポイントを貯めており、投資にも利用したい人に特におすすめです。

 

実際に筆者も、次の画像のように楽天証券で毎月100,000円分の投資信託を積立買付しており、それとは別に、毎月500pt(円)をポイント投資に利用しています。

筆者の楽天証券での積立設定状況
 
筆者の楽天証券での積立設定状況
 

なお、楽天証券には1pt以上利用してポイント投資をすると、楽天市場での買い物の還元率がアップするSPU(スーパーポイントアッププログラム)の対象になり、当月のポイント還元率が次のようにアップする仕組みがあります。

 

  • 当月合計30,000円以上を国内投資信託にポイント投資:+0.5倍(+0.5%)
  • 当月合計30,000円以上を米国株式(円貨決済)にポイント投資:+0.5倍(+0.5%)

 

楽天証券と楽天銀行の口座を連携(=「マネーブリッジ」)することが条件ですが、上の2つの条件をクリアすると、その月の楽天市場での買い物のポイント還元が最大+1倍(+1%)になります。

 

ただし、2つ目の米国株式は個別株への投資が条件になり、初心者にはややハードルが高いので、無理に挑戦する必要はありません。

 

 

楽天ポイントで気軽に投資を始めるなら

楽天証券の公式サイトへのリンク

 

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3. auカブコム証券の「ポイント投資」は「ポン活」をしている人におすすめ

auカブコム証券のポンタポイント投資
(引用:auカブコム証券

 

■auカブコム証券の「Pontaポイント投資」の概要

投資できる
ポイント

Pontaポイント

対象商品 ・投資信託
・国内株式 ※単元未満株(=「プチ株」のみ)
買付方法
(投資信託の場合)

スポット購入(金額指定)

つみたてNISA
でのポイント利用
×
交換レート 1ポイント=1円
投信保有時に
貯まるポイント
Pontaポイント
クレカ積立が
できるカード
au PAYカード
クレカ積立時の
ポイント還元率
1%
クレカ積立で
貯まるポイント
Pontaポイント

 

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のauカブコム証券では、Pontaポイントで投資信託と国内株式(プチ株のみ)にポイント投資ができます。

 

ただし、投資信託の買付はスポット購入のみで、積立買付(=「プレミアム積立」)はポイント投資の対象外。

 

また、国内株式は通常の100株単位(=「単元株」)の取引にポイントは使えず、1~99株の単元未満株(=「プチ株」)の取引がポイント投資の対象です。ただし、100株単位だとある程度まとまったお金が必要なので現金とポイントを併用する形が多いと考えられるので、少額から購入できるプチ株はポイント投資向けといえます。

 

なお、auカブコム証券でau PAYカードでクレカ積立をすると積立額の1%のPontaポイントが還元されます。そのため、Pontaポイントを貯める「ポン活」をしている人にauカブコム証券は特におすすめです。

 

\Pontaポイントをお得に貯めるなら/

auカブコム証券の公式サイトへのリンク

 

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4. マネックス証券の「マネックスポイント投資」は2022年10月よりサービス開始

マネックス証券のマネックスポイント投資
(引用:マネックス証券

 

■マネックス証券の「マネックスポイント投資」の概要

投資できる
ポイント
マネックスポイント
対象商品

投資信託

買付方法

スポット購入(金額指定)

つみたてNISA
でのポイント利用
×
交換レート

1ポイント=1円

投信保有時に
貯まるポイント
マネックスポイント
クレカ積立が
できるカード
マネックスカード
クレカ積立時の
ポイント還元率
1.1%
クレカ積立で
貯まるポイント
マネックスポイント

 

マネックス証券では、マネックスポイントによるポイント投資ができます。2022年10月22日にポイント投資のサービスが始まってだいぶ経過しますが、意外と知られていません。

 

投資信託のスポット買付(金額指定)のみがポイント投資の対象で、つみたてNISAや国内株式には利用できません。

 

マネックスポイント」の知名度は低いかもしれませんが、マネックス証券でマネックスカードを使ってクレカ積立をすると1.1%、日常の買い物のカード決済でも1%のポイントが付与されます。

 

貯まったマネックスポイントは、マネックス証券で投資信託の購入に充てたり、株式手数料に充当したり、次のようなポイントに交換できたりするので、使い勝手は抜群です。

 

  • dポイント
  • Amazonギフトカード
  • Tポイント
  • Pontaポイント
  • nanacoポイント
  • WAONポイント
  • ANAマイル
  • JALマイル

 

そのため、マネックスカードでマネックスポイントを貯めて、普段から貯めているdポイントなどのポイントに交換する目的でマネックス証券でクレカ積立を始めるのも選択肢の1つです。

 

マネックスカードによる決済で1.1%還元

マネックス証券の公式サイトへのリンク

 

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5. 松井証券で「ポイント投資」ができるのは厳選された3本の投資信託

松井証券のポイント投資
(引用:松井証券

 

■松井証券の「ポイント投資」の概要

投資できる
ポイント
松井証券ポイント
対象商品

投資信託(3銘柄のみ)

買付方法

積立買付

つみたてNISA
でのポイント利用
×
交換レート

1ポイント=1円

投信保有時に
貯まるポイント
松井証券ポイント
クレカ積立が
できるカード
なし
クレカ積立時の
ポイント還元率
なし
クレカ積立で
貯まるポイント
なし

 

松井証券でもポイント投資はできますが、他社と比べてサービス内容がだいぶ異なります。

 

まず、ポイント投資ができるのは次の3本の投資信託のみで、毎月最終日の午前0時5分時点に保有している全ポイントが自動的に積立発注されます。

 

  1. eMAXIS Slim先進国株式インデックス
  2. eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
  3. ひふみプラス

 

利用できるポイントは「松井証券ポイント」。松井証券で保有している投資信託の残高に応じて付与されるほか、提携クレジットカードMATSUI SECURITIES CARDで決済すると、利用額の0.5%のポイントが還元されます。

 

ただし、この「MATSUI SECURITIES CARD」を利用して松井証券でクレカ積立をすることはできません。

 

貯まった松井証券ポイントは、ポイント投資に利用できるほか、PayPayポイント、dポイント、Amazonギフトカード、カタログ商品などにも交換できるので、使い道に困ることはありません。

 

根強いファンが多い松井証券ですが、松井証券ポイントサービスについて知らなかった人は、これを機に活用してみてはいかがでしょうか。

 

\ポイント投資の対象は厳選された3ファンド/

松井証券で口座開設する

 

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6.「ポイント投資」のメリット・デメリット

「ポイント投資」のメリット・デメリット
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

主要ネット証券5社のポイント投資サービスを紹介してきましたが、ここでポイント投資そのもののメリットとデメリットを確認しておきましょう。

 

6.1. ポイント投資のメリット

ポイント投資のメリット
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

ポイント投資の主なメリットには、次のようなことがあります。

 

■ポイント投資の主なメリット

 

  • 現金の持ち出しを抑えられる
  • 気軽に始められる
  • 貯まったポイントを有効に活用できる

 

ポイント投資のほとんどは1ポイント=1円として、現金と同じように投資信託や国内株式の購入代金の一部または全部に利用できます。そのため、現金の持ち出しを最小限に抑え、価格によっては全額をポイントでまかなうことができます。

 

また、ポイントは“おまけ”でもらったものなので、働いて稼いだお金で投資をするよりも気軽に始められます。

 

「投資は怖い」「自分のお金が減るのは耐えられない」という人は、貯まったポイントで投資にチャレンジして、慣れてきたら現金を使った投資にステップアップすることをおすすめします。

 

 

6.2. ポイント投資のデメリット

ポイント投資のデメリット
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

少額から気軽に買えるポイント投資ですが、始めるときには注意も必要です。

 

それは、ポイント投資だけでは大きくお金は増えないということ。クレカ積立や日常のカード利用で1ヵ月で貯まるポイントはせいぜい数千ポイント(円)なので、毎月数千ポイントをがんばってポイント投資に回しても、将来安心して暮らせる金額まで増やすことは難しいです。

 

ポイント投資は、投資を始める“きっかけ”にはなりますが、資産形成の柱にはなりません。

 

なるべく早い段階で、少額でもいいので自分のお金で買ってみることが大切です。ポイントよりも現金で購入したほうが真剣に投資に向き合うことができ、上達も早くなるはずです。

 

■補足

ポイント投資に関して、「元本保証がない」「証券口座の開設が必要」「手数料がかかる」などの点をデメリットに挙げる意見もあります。しかし、投資は価格が変動する金融商品を買って値上がりを期待するものなので、値下がりして元本が減る可能性もあるのは当然です。

また、ポイント投資のサービスを利用する以上、そのシステムを提供する証券会社の口座を開設し、対価として手数料を払うのは当たり前なので、特段デメリットにはあたらないと筆者は考えます。

 

7.「ポイント投資」と「ポイント運用」の違い

楽天ポイント運用
(引用:楽天Point Club

 

「ポイント投資」と似たサービスに「ポイント運用」があります。「投資」と「運用」の違いですが、サービス内容は異なります。

 

ここでは、「楽天ポイント投資」と「楽天ポイント運用」を比べて、両サービスの違いを説明します。

 

■「楽天ポイント投資」と「楽天ポイント運用」の比較

サービス名 楽天ポイント投資 楽天ポイント運用
運営元 楽天証券 楽天PointClub
楽天証券の
口座開設
必要 不要
※楽天IDは必要
運用・投資形態 楽天証券が現金に換えて投資 ポイントのまま運用
引き出し方 現金で引き出し ポイントで引き出し
運用・投資対象

・投資信託

・国内株式(現物取引)

・米国株式(現物・円貨)

・バイナリーオプション

・アクティブコース

・バランスコース

最低利用ポイント 100ポイント
利用できる
楽天ポイント
通常ポイント
※期間限定ポイントは不可
積立買付 ×
SPU 対象 対象外
公式サイト 詳細を見る 詳細を見る

 

「ポイント投資」と「ポイント運用」の大きな違いは、証券口座の開設が必要か否かということ。

 

「楽天ポイント投資」は実際に金融商品を購入するので、楽天証券の口座開設が必要です。楽天証券が楽天ポイントを現金に換えて、取引を仲介してくれます。

 

一方、「楽天ポイント運用」は楽天PointClubが運営しており、楽天証券の口座開設は不要です。実際に金融商品を買うのではなく、実在する投資信託の値動きに連動する「アクティブコース」と「バランスコース」のどちらかを選択することでポイントが増減し、「投資の疑似体験」ができます。

 

細かい内容は異なりますが、「ポイント運用」といったら大体このようなサービスだと思ってください。

 

■主な「ポイント運用サービス」と「運用できるポイント」

ポイント運用 by楽天PointClub:楽天ポイント
PayPayポイント運用:PayPayポイント
NTTドコモ ポイント投資:dポイント
au PAY ポイント運用:Pontaポイント
永久不滅ポイント運用サービス:永久不滅ポイント

 

口座開設不要の「ポイント運用」のほうが始めやすいですが、資産運用の重要性が高まっているなか、投資の必要性を感じている人は、このタイミングで証券口座を開設して「ポイント投資」から始めることをおすすめします。

 

証券総合口座の数が1,000万を突破(2023年12月時点)

楽天証券の公式サイトへのリンク

 

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8.「ポイント投資」でおすすめの投資信託(銘柄)5選

ポイント投資でおすすめの投資信託(銘柄)5選
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

投資信託を毎月一定額コツコツ積立買付する方法で資産形成をするにあたり、ポイント投資だからといって、特別な銘柄に投資をする必要はありません。

 

最近の資産形成でオーソドックスな方法となっている、長期的な株価上昇が期待される「全世界株式」「米国株式」「先進国株式」のインデックスファンドを選んでおけば、利回り10%超のような大きなリターンは見込めませんが、着実に資産を増やす確率を高めることができます。

 

・インデックスファンド…TOPIXなどの指数に連動した値動きを目指す投資信託
・アクティブファンド…指数を上回るパフォーマンスを目指す投資信託

 

そこで本章では、資産形成に適したおすすめのファンドを厳選して5本紹介します。詳細な銘柄選びのコツや理由は『つみたてNISAのおすすめ口座・銘柄10選…選び方のポイントは?』で解説しているので、参考にしてください。

 

なお、基準価額や純資産などは、ウェルスアドバイザー株式会社の2023年12月27日時点の数字です。

 

①「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」

ファンド名 eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
資産クラス 全世界株式
連動する指数 MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス
基準価額 27,305円
純資産額

4兆9,834.46億円

信託報酬(税込) 0.05775%
トータルリターン +29.13%(1年)、+17.55%(3年)、+18.54%(5年)    
運用会社 三菱UFJアセットマネジメント(旧三菱UFJ国際投信)
ファンドの特色

業界最低水準の運用コストを将来にわたって目指すことで人気の「eMAXIS Slim」シリーズ。
愛称は『オルカン』。日本を含む47ヵ国の先進国と新興国の株式に投資できる。
投資先の割合は、1位がアメリカ、2位が日本、3位がイギリス。
2024年9月に中国株を60銘柄除外(追加2)&インド株を7銘柄追加(除外1)し、構成銘柄の入れ替えを実施。
投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2023のイベントでは、5年連続で1位を獲得。

※表のなかのファンド名をクリックすると、最新の価格やチャートが見れます。

 

②「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド」

ファンド名 SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド
資産クラス 全世界株式
連動する指数 FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
基準価額 16,548円
純資産額 505.00億円
信託報酬(税込) 0.1338%
トータルリターン +28.23%(1年)
運用会社 SBIアセットマネジメント
ファンドの特色 愛称は『SBI・V・全世界株式』。2022年1月31日に設定。
世界最大級の運用会社バンガード社の「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」を通じて、
日本を含む先進国・新興国などの全世界の株式約8,000銘柄(大型・中型・小型株)に投資できる。

※表のなかのファンド名をクリックすると、最新の価格やチャートが見れます。

 

③「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」

ファンド名 eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
資産クラス 米国株式
連動する指数 S&P500指数
基準価額 33,659円
純資産額 6兆3,497.37億円
信託報酬(税込) 0.09372%
トータルリターン +36.65%(1年)、+21.05%(3年)、+22.79%(5年)    
運用会社 三菱UFJアセットマネジメント(旧三菱UFJ国際投信)
ファンドの特色

業界最低水準の運用コストを将来にわたって目指し続けることで人気の「eMAXIS Slim」シリーズ。
S&P500インデックスマザーファンドへの投資を通じて、米国企業500社に投資する。
投資先の割合は、1位がアップル、2位がマイクロソフト、3位がアマゾン。
投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2023のイベントでは、3位にランクイン。
2025年1月25日より信託報酬を0.07568~0.08140%(年率)に引き下げる予定となっている。

※表のなかのファンド名をクリックすると、最新の価格やチャートが見れます。

 

④「楽天・全米株式インデックス・ファンド」

ファンド名 楽天・全米株式インデックス・ファンド
資産クラス 米国株式
連動する指数 CRSP USトータル・マーケット・インデックス
基準価額 34,222円
純資産額 1兆8,343.85億円
信託報酬(税込) 0.162%
トータルリターン +37.15%(1年)、+19.73%(3年)、+22.04%(5年)
運用会社 楽天投信投資顧問
ファンドの特色 世界最大級の運用会社バンガード社の「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」を通じて、
米国株式市場で投資可能な約4,000銘柄(大型・中型・小型株)に投資できる。愛称は「楽天・VTI」。
投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2023のイベントでは、11位にランクイン。
お笑い芸人の厚切りジェイソン氏が、著書で同ファンドを紹介したことでも話題に。

※表のなかのファンド名をクリックすると、最新の価格やチャートが見れます。

 

⑤「ニッセイ外国株式インデックスファンド」

ファンド名 ニッセイ外国株式インデックスファンド
資産クラス 先進国株式
連動する指数 MSCIコクサイ・インデックス
基準価額 44,251円
純資産額 8,078.99億円
信託報酬(税込) 0.09889%
トータルリターン +31.73%(1年)、+19.02%(3年)、+20.27%(5年)、+13.0%(10年)
運用会社 ニッセイアセットマネジメント
ファンドの特色 2013年12月10日に設定され、同タイプのファンドとしては長い運用実績をもつ。
日本を除く世界の主要先進国の株式に投資できる。
投資先の割合は、1位がアメリカ、2位がイギリス、3位がカナダ。
投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2023のイベントでは、2位にランクイン。

※表のなかのファンド名をクリックすると、最新の価格やチャートが見れます。

 

\国内株式個人取引シェアNo.1

SBI証券の公式サイトへのリンク

 

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9. よくある質問

ポイント投資おすすめに関するQ&A
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

最後に、ポイント投資に関するよくある質問に5つ回答します。本文と重複している内容もありますが、復習のためにもお役立てください。

Q1.「ポイント投資は増えない」「意味がない」と言われるのはなぜですか?

クレカ積立や日常のカード利用で1ヵ月で貯まるポイントはせいぜい数千ポイント(円)で、元手となるポイントがそもそも少ないなどの理由が挙げられます。

 

しかし、「ポイント投資」を資産運用の柱にするのではなく、

 

  • 投資を始めるきっかけ
  • 現金と併用して出費を減らすため
  • 余ったポイントを有効活用するため

 

と考えれば、ポイント投資を始める価値は十分あると筆者は考えます。

 

Q2.「dポイント投資」はどこでできますか?

dポイント投資は、SMBC日興証券が運営する日興フロッギーというサービスで可能です。

 

SBI証券では、dポイントを貯めることはできますが、dポイント投資はできません。

 

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Q3. ポイントを現金化することはできますか?

ポイントを直接現金に換えることはできません。

 

ただし、価格変動が小さい「eMAXIS Slim国内債券インデックス」などの国内債券を買ってすぐに売却して出金すれば、ポイントを大きく減らすことなく現金化できます。

 

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Q4. ポイント投資で儲かったら税金はかかりますか?

ポイント投資は、証券会社がポイントを現金に換えて取引を仲介しているにすぎないので、儲かった場合は、通常の投資と同じように利益に対して約20%の税金がかかります。

 

Q5. ポイント投資で確定申告は必要ですか?

ポイント投資でも確定申告は必要ですが、特定口座を利用していれば、自分で確定申告をしなくても大丈夫です。

 

10. まとめ

ポイント投資おすすめのまとめ
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

最後に、冒頭でも紹介した「ポイント投資ができる主要ネット証券5社の比較表」を載せておくので、整理にお役立てください。

 

■「ポイント投資」ができる主要ネット証券5社の比較

証券会社 SBI証券のロゴ 楽天証券のロゴ auカブコム証券のロゴ マネックス証券のロゴ 松井証券のロゴ
ポイント投資
ができるポイント
・Tポイント
・Pontaポイント
・Vポイント

楽天ポイント

Ponta
ポイント

マネックス
ポイント

松井証券
ポイント
投信保有時などに
貯まるポイント
・Tポイント
・Pontaポイント
・Vポイント
・dポイント
・JALのマイル
・PayPayポイント
クレカ積立で
貯まるポイント
Vポイント なし
クレカ積立が
できるカード
・三井住友カード
・Oliveフレキシブルペイ
楽天カード au PAYカード マネックス
カード
なし
ポイントで
投資できる商品
投資信託 ・投資信託
・国内株式
・米国株式
・バイナリーオプション
・投資信託
・国内株式
(単元未満株のみ)
投資信託

投資信託
(3銘柄のみ)

ポイントによる
買付方法

(投資信託の場合)

・スポット購入
(金額指定)

・積立買付
※Tポイントと
Pontaポイント

・スポット購入
(金額指定)

・積立買付

スポット購入
(金額指定)

スポット購入
(金額指定)

積立買付

つみたてNISA
でのポイント利用

※Tポイントと
Pontaポイント
× ×

×

口座開設 公式サイト 公式サイト 公式サイト 公式サイト 公式サイト

 

ポイント投資をするなら普段から貯めているポイントが使える証券会社が理想ですが、迷ったら、SBI証券か楽天証券を選んでおけば間違いありません。

 

SBI証券のクレカ積立で貯まるポイントは「Vポイント」一択ですが、ポイント投資の積立買付で利用できるポイントは「Tポイント」「Pontaポイント」の2種類です。

 

一方、楽天証券はクレカ積立で楽天ポイントを貯めつつ、貯まったポイントを投資信託の積立買付の一部に使うといった方法も有効です。貯まったポイントを投資して増やすという意味で、筆者はこれを「ポイントの複利運用」と呼んでいます。

 

この記事を参考にしてポイント投資を始めて、本格的に資産形成に取り組むきっかけにしていただければ幸いです。

 

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