アパート建築による節税効果を改めて検証する
計算上では確かな節税効果が生じるが・・・ここで、アパート建築の節税効果を見ていきましょう。節税効果の第一としては、建てたアパートやマンションの相続税評価額が、建築費に比べて約3分の1程度と著しく低くなることがあげられます。つまり、1億円で建てた建物の評価額が3300万円程度になるわけです。 その一方、建築費に充てる預金なり借入金なりは100%評価です。つまり、100%評価のものが、33%評価の資産に転換することで、建築費の67%の評価が下がります。なお…
財産の「棚卸」のための基礎資料とその活用方法
地図関連は一つの資料だけでは不十分まずは、前回に引き続き、財産の「棚卸」に必要な基礎資料を見ていきましょう。③住宅地図、ブルーマップ不動産の位置を確認するために必要なのが住宅地図やブルーマップです。ブルーマップとは住宅地図の情報の上に、一筆ごとの土地に登記所が付す地番や公図に記載されている土地の番号をブルーで記載したもので、さらに都市計画の用途地域、建ぺい率、容積率などの情報も併せて記載されています。ただし、ブルーマップの情報はすべてを…
土地「共有」のトラブルを防ぐ3種類の分割方法
現物分割・換価分割・代償分割の違いとは?前回ご紹介したような共有によるトラブルは、相続発生後によく起こっていますが、ここでは、そういったトラブルが起きないようにするための方法を紹介します。 まずは遺産分割協議の段階で、共有にしないということが最も大事なところで、そのためには、共有以外の別の分割方法を選択する必要があります。遺産分割の方法には、共有分割以外に現物分割・換価分割・代償分割がありますので、状況に応じてこのいずれかを選んでおけば…
財産の「棚卸」のための基礎資料を入手する方法
すべては基礎資料の収集から始まる財産の棚卸をする際、最初に行うのが不動産の基礎資料の収集です。基礎資料はこれから始まるすべての棚卸の元になるものであり、これがなくては棚卸そのものが成り立ちません。 不動産の棚卸にあたって必要な基礎資料には、①固定資産税の通知書、②名寄せ帳、③住宅地図、ブルーマップ、④公図、⑤登記簿謄本などがあります。今回は、①固定資産税の通知書と②名寄せ帳について見ていきましょう。 ①固定資産税の通知書さまざまな場所に…
知られていないアパート建築の大きなデメリット
うまい話には概して裏がある・・・以前から「土地の有効利用による相続税対策」は常に声高にとなえられてきました。確かにこの手法によって相応の節税効果が生じるのは事実です。しかし、概してうまい話には裏があります。それらの話には有効利用の実施により生じる大きなデメリットが無視されています。 ここではまず、誰も語ろうとしないこの点を考えていくことにしましょう。 最初に皆さんに質問します。地主さんが時価6000万円の更地の上に、相続税対策をかねて4000万…
不動産「共有」のリスクとトラブル発生時の対処法
安易な判断で姉妹関係が険悪に・・・安易な不動産の共有は、しばしばトラブルの種となります。実は、「不動産の共有は避けられるなら避けるべきだ」といったことは、本連載に限らず、いろいろな相続関連の書籍に書かれています。にもかかわらず、いまだに不動産の共有は後を絶たず、そこから生まれるトラブルもまた同様です。ですから、ここでもう一度、不動産の共有は要注意であると警告しておきたいと思います。 例えば、不動産賃貸業をしていた父が不慮の事故で亡くなり…
土地の売却代金の「使い道」をどうするか?
今ほど高金利の時代はない!?不動産を売却した場合に問題となるのは、「その売却代金をどうするのか」です。むろん、贅沢三昧をお勧めするつもりは毛頭ありません。 一番わかりやすいのは預金として置いておくことです。これには「ゼロ水準の金利では預金はつまらない」とお考えの向きもあるでしょう。しかし元銀行員であった筆者は、「今ほど高金利の時代はない」と考えています。 確かに昔の定期預金等の金利は4〜5%はあったでしょう。しかし、当時はインフレ時代で物価…
財産の中に潜む「リスク要因」を見極める
財産の「棚卸」がトラブルを見つける第一歩相続にまつわるトラブルの多くは、実際に相続が起こってみて初めて実感することばかりです。なぜなら、それまで取り立てて何の問題もなく、「わが家にとってそれは当たり前だったこと」が、いざ相続というときに初めて重大な問題だったと気づく場合が、意外に多くあるからなのです。では、なぜそのようなことが起こるのでしょうか。その原因の第一は「トラブルそのものが見えていなかったこと」にあります。親から子へと引き継がれ…
収益性の低い「ワケあり不動産」と決別する方法
選択肢は「修繕」「売却」の2つだけ収益性の低い不動産を持っている場合、選択肢は主に2つです。 1つは、高額な資金を投入してでも物件を修繕する道です。もう1つは、お荷物な物件から手を引く、つまり土地と建物を売却するという道です。多くの人がこの分岐点で立ち止まり、頭を抱えています。なぜなら、どちらを選んでもリスクはついてくるからです。 前者を選んだ場合のリスクは、「修繕によって物件の競争力がよみがえるとは限らない」ということです。例えば、最寄り…
土地の売却は今や「早い者勝ち」!?
本来「守り抜くべきもの」は何か?評価ばかりが高い土地が大量にあり、さらに地価は下がり続ける。となると、資産防衛の観点からも「漠然と保有している土地は売却すべき」という考え方が出てくるでしょう。とはいえ、これはあくまで理屈です。地主層には所有地の売却には強い抵抗感があります。「先代から引き継いだ土地は、何としても守り抜きたい」という気持ちです。 しかし、本来ここで守り抜くべきものは、単なる受け継いだ土地というよりもその資産価値なのではない…
収益が上がらない物件に「追い打ち」をかける問題とは?
安易な節税対策がワケあり不動産を生む?相続評価の際、土地は更地の状態が最も評価が高くなるため、相続税対策としては、何か建物を建てて評価減を図るのが一般的です。賃貸アパートや賃貸マンション、テナントビルなどが建つ土地は、貸家建付地として更地に比べて2割前後の評価になります。また、建物部分は固定資産税評価額で評価されるため、建築費用の6割前後になります。 しかし、収益性や立地などを十分に検討することなく安易な気持ちで賃貸不動産を建てた場合、し…
不動産鑑定士の評価が有効or無駄になるケースとは?
通達で定められていない減価要因には鑑定評価が有効ここまで鑑定についていろいろとご説明してきましたが、とはいえ、鑑定評価がすべてダメということではありません。 前述のように、通達では減額の規定はないが、土地の利用価値を下げる明らかな要因があるときは逆に使ってよいと思います。通達にもすべてのケースを盛り込むことはできませんから、含まれていないものもあるのです。通達に盛り込まれていないものの一例として考えられるのは地中の埋設物です。例えば土壌…
「地価は今後も下がり続ける」という現実を理解する
すでに土地は有り余っている・・・不動産の相続対策を考えるに際しては、将来的な地価の動向も考えに入れておくべきでしょう。地価が上昇に向くのであれば、なるべく土地保有を継続すべきですし、下落傾向となるのであれば、不要な土地を早めに手放すということも対策の一つとなり得るからです。 ここで最初に結論を申し上げます。残念ながら、地価は今後も超長期的に下落を続けるものと考えます。ただし、東京23区やそれに準ずる地域といった、通勤その他で人気のある地域…
不動産鑑定士の「鑑定評価」をどう考えるか?
不動産鑑定士の評価は半分が否定されている!?通達に書かれていない要因があり減額をしたい場合や通達で算出された評価額に納得できない場合に、不動産鑑定士に鑑定を依頼することもあります。しかし、不動産鑑定士の鑑定評価を基に相続税の申告を提出しても、その半分が否認されているといわれています。不動産鑑定士に鑑定評価を出してもらえば大丈夫だろう、と考える人が多いでしょうが、実際は違うのです。なぜそのようなことが起こるのか。それは、鑑定評価を取る目的を…
資産の組み換え成功には「経営者感覚」が不可欠
不動産事業を行う経営者としての意識を持つこれまでの連載からもお分かりのように、土地を見極め、資産の組み替え等を行っていくためには、経営感覚を持つことが不可欠となります。 ことに、農業で生計を立ててきたような人は、これまで業者に勧められるがままにアパート、マンションを建ててきたという人が多いはずです。もしそうであればなおさら、受け身の姿勢ではなく、不動産事業を行う経営者としての意識を持つことが重要となります。最低限の知識と専門家のアドバイ…
生前対策の第一歩となる「不動産の把握と整理」
まずやっておくべきは「底地の整理」相続税対策を考えるとき、最初に相続財産の全体像を把握する必要があります。それにより、大雑把ながらも予想税額を求めることができます。そして金融資産や売却可能不動産との比較により納税資金が確保されているかをチェックしましょう。さらには概略の納税プランを考えてみます。 これらが大丈夫であれば、そうした相続財産を前提とする具体的な節税対策に入っていくことになります。 最もやっておかなければならないのは、底地の整…
国税審判官が出した「納得のいかない」裁決とは?
国税審判官が出した「非現実的」な審判今回は、広大地評価の適用がますます厳しくなっていることを示す裁決についてご紹介します。こちらを見ると、国税審判官が広大地の評価を否認する傾向があるのがよくわかると思います。 東京郊外の土地で広大地の評価が国税審判官に否認された例です。その土地は、895・86平方メートルの面積で図表のように奥行きが長く、いびつな形状でした。 [図表1]東京近郊の土地の例 …
雑種地、問題地、納税用地の処分方法
雑種地はケース・バイ・ケースで考える相続する土地の中には「雑種地」が含まれているかもしれません。これは住宅地でも農地でも山林でもなく、資材置き場や駐車場などの形で利用されている土地のことです。この雑種地の処分については、ケース・バイ・ケースで考えればよいでしょう。 まず、市街化調整区域にある雑種地であれば、原則として建物を建てられず、例外的に、医療施設や老人ホーム、コンビニエンスストア、ガソリンスタンドなどの施設の建設が認められるだけで…
広大地の評価適用が有利になるケースとは?
「著しく広い土地」かどうかは一律には判断できない前回は、広大地の適用を受け、問題が生じてしまうケースをご紹介しました。しかし逆に、図表1のように、有利になるケースもあります。 [図表1]道路面積が少なくて有利になるケース このケースでは、道路面積は全体の面積の5%程度しか必要がありませんので、土地を売却する際にも、それほど価格は安くなりませんが、広大地の適用によって、相続税の評価額は大幅に下げることができ…
譲渡所得税を考慮した土地売却のタイミングとは?
売却のタイミングで変化する「譲渡所得税」の額土地を相続前と相続後に売るのでは、譲渡所得税の額も変わってきます。 譲渡所得税とは、土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を売却した時に得た利益に対して課される税金です。譲渡所得税の額が変わってくる理由には、「相続税の取得費加算」という仕組みが関わってきます。譲渡所得税は、購入してから売却するまでの期間が短いか長いかによって短期譲渡所得税と、長期譲渡所得税に分かれますが、以下では、購入後から…
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