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「遺産分割協議」がまとまらない場合の解決策は?
遺産分割協議がまとまらず、調停に発展した例相続人間で、「遺産分割協議」の話合いがまとまらない場合に、決着をつけるためには、家庭裁判所に「遺産分割の調停申立」をすることになります(図表1)。 [図表1]遺産分割調停申立書 私が代理人として関与して、最近解決したケースを紹介します。 子供のいない夫婦がいたのですが、まず、夫が死亡して相続が発生しました。その相続人は、妻と夫の兄弟姉妹及びその子供たち七名でしたが、「遺産分割協議」の話合いがまとま…
平成31年度税制改正…個人事業主の事業承継はどう変わる?
「後継者難」は個人事業主が抱える経営課題だが・・・平成30年の12月の第3週末に与党から平成31年度税制改正大綱(以下「大綱」)が発表されました。 その大綱に、「個人事業者の事業承継に対する支援」とあり、個人事業者についても、高齢化が急速に進展する中で、円滑な世代交代を通じた事業の持続的な発展の確保が喫緊の課題と認識され、個人事業者の事業承継を促進するための相続税・贈与税の新たな納税猶予制度を創設(以下「個人事業者の納税猶予」)するとされてい…
非上場会社の株式承継…譲渡、贈与のどちらを選択すべきか?
「非上場株式の評価額」の算定は複雑だが…Q 資本金100万円で設立した非上場の会社の株式を承継するには、どれくらいのコストがかかるでしょうか? A 一概にいくらとは言えず、会社の価値を反映した株式の評価額を算定し、それに応じたコストがかかります。 会社を設立すると、出資者である個人はその会社の株主としての権利・義務を表章する株式を保有することとなります。株主には、①剰余金の配当を受ける権利、②残余財産の分配を受ける権利、③株主総会における議…
遺産相続第一の関門…「遺産分割協議」の流れと留意点
遺言書がない場合は「遺産分割協議」が必須これまでの連載で繰り返し述べてきましたように、人が死亡した場合、その人が生前に「遺言書」を書いていれば、その内容に従って、その人の遺産の承継がなされますし、「遺言書」がない場合には、法定相続人が、法定相続分に従って、遺産を承継することになります。 しかし、法定相続人が法定相続分に従って死亡した人の遺産を承継すると言っても、最高裁判所の考え方が変わって、各相続人は、被相続人の不動産や預金等の各遺産に…
親族内事業承継における「法定相続分・遺留分」の問題解決策
相続が発生したら「株式」は相続人に共有されてしまう近時、中小企業経営者の高齢化が顕著となり、「事業承継」が重大な社会問題となっています。 この「事業承継」の問題は、単なる「相続」の問題に留まらず、中小企業で働く従業員の人たちの「雇用の確保」ということからも大事な問題です。 M&Aで会社自体を売却・処分してしまう場合はともかく、経営者の親族が事業を承継する場合には、前述した「法定相続人の法定相続分」の問題や、「遺言における遺留分」の問題が不…
相続税対策…生前贈与で使える「非課税制度」の具体的活用法
住宅取得等資金贈与の非課税制度相続税対策は、相続財産を減らすこと、すなわち生前贈与が基本となります。そのための手法の1つに、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税制度があります。これは、親から子や孫に住宅資金として現金を贈与する場合、一定の金額まで贈与税がかからない制度です。取得する住宅は、新耐震基準を満たしていれば、中古住宅であっても築年数は間われません。また、省エネ住宅および耐震住宅の場合には、非課税枠が通常の住宅の場合よりも拡大されま…
法定相続人の取得を保障する「遺留分」とその算出法
配偶者や子は、被相続人の財産の二分の一が「遺留分」第5回、第6回で述べたように、私たちは、「遺言」を作成して、誰に、何を相続させるかを、自由に決めることができます。 しかし、民法は、兄弟姉妹以外の相続人については、被相続人がどんな「遺言」を作成しようが、「自分の遺留分を確保したい」と申し出れば、その分は取得できるということになっています。この法定相続人の取得が保障されている分を、「遺留分」と言います。妻(夫)や子については、被相続人の財産…
暦年贈与は「最適贈与額」を狙う!相続税率と贈与税率の比較表
相続財産それ自体を減らして相続税負担を軽減する相続税の節税を図るための方法は2つに大別されます。一つは、相続財産の評価額を引き下げることです。たとえば、土地に賃貸マンションを建築して評価額を下げる方法(土地の有効活用)は有名です。これは、相続税評価の高い現金を減らし、相続税評価の小さい賃貸不動産を所有することによって財産評価を引き下げる方法です。しかしながら、財産評価を引き下げる方法には一定の限界があります。 もう一つは、相続財産それ自…
税理士に「相続税申告」を依頼しても安心できない理由
会計、資産税…税理士によって異なる「得意分野」◆富裕層に厳しい相続税 相続税は「超過累進税率」が採用されており、取得する財産の評価額が上がると、加速度的に税率が高くなる特徴があります。たとえば取得財産の金額が6億円を超える部分については、55%もの高い税率が適用されます。特に地価の高い都市部に不動産を所有する人などにとって、相続税は軽視できない存在でしょう。 相続税を計算する第一歩は、故人の残した財産をリストアップし、それらの価値を金銭的…
利便性に大きな差!?「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の違い
「自筆証書遺言」は、15歳以上なら誰でも作成可能日本国民は、一五歳になれば誰でも独力で「遺言」を書くことができます。「遺言(書)」と題名をつける必要はありませんが、「遺言(書)」と表題をつけた方が、わかりやすいと思います。 書く紙は、何でもよく、広告チラシの裏に書いても、有効な「遺言」となります。何で書くかも自由で、鉛筆書きも有効ですが、明確を期すことからはペンで書くべきです。これが「自筆証書遺言」です。 今までは、遺言者が必ず全文を手書…
相続の生前対策に「家計貸借対照表」の作成が不可欠である理由
家計貸借対照表を作成し財務上の問題点を明らかにするわが国の場合、戦後の高度成長期を経て財産を蓄積した富裕層が多く、資産家として何代にもわたって財産管理と承継を続けている一族は、欧米ほどは多くありません。しかし、資産家が増加するであろう今後のわが国で必要とされるものは、財産管理と承継を計画的に実行する戦略です。 戦略の立案は、資産家の多様なニーズを分析し、個々の資産家の目標(ゴール)を設定することから始まります。その具体的な手段として、金…
結局、「タワマンの購入」で相続税の節税はできるのか?
土地の共有者が多く、物件の価値に占める割合が低い◆そもそも、相続税における不動産購入の効果とは? 相続税において、土地は「路線価」で評価されるのが原則です。路線価は、だいたい時価の70%から80%程度で計算されます。つまり、1億円を現金で持っていれば、当然1億円のままですが、1億円で土地を購入した場合、8,000万円と評価されることになります。 相続税の計算上、2,000万円を評価減することができるのです。また、建物は「固定資産税評価額」で評価され、建設…
税理士が見た相続の修羅場② 〜子供への結婚祝いの悲劇…
相続税の対策でポピュラーな「生前贈与」年間一人あたり110万円までは贈与税が課税されず贈与税の申告も不要なので、子供や孫たちへ気軽に贈与される方を多く見かけます。 確かに、子供達の銀行口座へ110万円を入金あるいは振り込むだけで贈与手続きが完了するので、誰もが取り組める簡単な相続対策として知られています。 ただその一方、簡単であるがゆえ、脇が甘くなり、結果としてその贈与がまったくムダになることがあります。 そこで、実際にあった調査のお話を通し…
被相続人の意思も、相続人の生活も守る「遺言書」の効力
自分の財産をどう処分するかは、本人の自由だが…我々が働いて得た不動産や預金等の財産は、その人の所有物・権利として保護されており、その人が、それらの財産を、どのように処分するかもその人の自由です。 このような「私有財産制」を、その人の死後も尊重するため、民法は、相続における「法定相続人」と「法定相続分」の制度を設け、一定の近親者に遺産を承継させることにしました。 しかし、「自分の財産は、それをどのように使おうが、処分しようが自分の勝手だ」…
顧問税理士に知られず「相続税還付」を受けることは可能か?
顧問以外の税理士に依頼できる還付請求相続税還付の依頼者の大半は顧問税理士に知られないか気にされています。今後の付き合いのことを考えれば当然だと思いますが、実はそこまで気にする必要はありません。相続税還付を受けたことを顧問税理士に知られずにいることは可能だからです。 以下で順を追って説明していきましょう。 税務代理権限証書の添付 相続税の還付請求をする際には「更正の請求書」という書類に還付になる根拠資料を添付して税務署に提出しますが、税理…
資産家の3タイプ別「相続生前対策」の重点課題
3タイプの資産家、それぞれのメリット・デメリット3つのタイプの資産家それぞれのメリットとデメリットを整理すると、下記の図表のとおりになります。 [図表]資産家の分類と相続・生前対策出所:岸田康雄『相続生前対策パーフェクトガイド』中央経済社 企業オーナーが保有する非上場株式は、財産評価の引下げに効果的な財産であり、法人によって不動産投資を行うなどの相続税対策が有効に機能します。しかし、会社の後継者の支配権を集中した遺産分割において問題となる…
実例で解説「子のない夫婦の資産防衛」に遺言書が不可欠な理由
子のない夫婦の法定相続人には、親兄弟も含まれる「お子さんのいないご夫婦の相続は大変です。万が一に備え、遺言書をご用意ください」 税理士として、お子さんのいないご夫婦と面談するたびに申し上げているのが上記の言葉です。実際のところ、いくらこちらが心配しても、みなさんいまひとつピンと来ないように思われます。ですが、何の対策もとらずにいると、いざ相続となった時、本当に大変なことになるのです。 今回は、お子さんがいないご夫婦の相続の実話を紹介しま…
遺言の内容を「確実に実行してもらう」ための4つの方策
「遺言書」の効力は非常に強いが…ある人が死去したならば、その遺産は相続人のものとなる。そしてその取得割合は民法が定めた法定相続分に従う・・・。多くの人が認識している「相続の決まりごと」といえば、おおよそこんなイメージではないでしょうか。 しかし、これはあくまで遺言がない場合の話であり、遺言書があるなら、相続人をはじめとする関係者は遺言書に従う必要があります。 このような強い効力を有する遺言書ですが、遺言をしようと思っている人にとって最も…
借金等のマイナス資産の相続を回避する「相続放棄」制度
期限内に所定の家庭裁判所へ「相続放棄申述書」を提出第3回で述べたように、被相続人が死亡した場合、一定の「法定相続人」が、当然に、被相続人の遺産を、「法定相続分」の割合で承継します。 しかし、被相続人の遺産として、預金や不動産等のプラスの財産より借金の方が多い場合には、相続人は、自ら資金を工面して、被相続人の借金を返済しなくてはならず、相続人に酷な結果となります。 そこで、民法は、相続人が、被相続人が死亡し、自分が相続人となったことを知っ…
なんと7割が相続税過払い? 一度は検討したい「相続税還付」
相続税の過払い…原因は相続税に不慣れな税理士平成27年1月1日から相続税法改正により、相続税の課税対象者が拡大されました。そのため、相続税の節税対策をされる方が増えてきていますが、払い過ぎた相続税を取り戻せるという話はあまり知られていません。 「うちはプロの税理士にお願いしているから大丈夫ですよ!」 よく聞くセリフですが、実は相続税に慣れている税理士はかぎられています。プロの税理士に依頼していても、約7割の方は相続税を納め過ぎているのです…
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