銀行員「心苦しいですが、ご対応できません」…年金260万円・85歳母の財布でカネに糸目つけず「この世の真理を探す」自称“研究者”59歳長男が、肝を冷やした最悪の宣告【FPの助言】

銀行員「心苦しいですが、ご対応できません」…年金260万円・85歳母の財布でカネに糸目つけず「この世の真理を探す」自称“研究者”59歳長男が、肝を冷やした最悪の宣告【FPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢化が進み、親世代の年金や貯蓄に頼って生活する成人の子どもが一定数存在する現代。背景には、非正規雇用の増加や晩婚化、経済状況の悪化など、さまざまな社会問題が複雑に絡み合っています。このような状況は、親の老後の生活設計が崩れるだけでなく、社会保障制度にも大きな負担をかける可能性があります。子どもが経済的に自立できない場合、親はどのように対応すべきでしょうか? 本記事では、Aさんの事例とともに、中高年の引きこもりへの対処法について、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。

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研究者の息子が自室に閉じこもるまで

85歳のAさんは、夫を早くに亡くし59歳の息子と2人で暮らしています。Aさんは自分の年金と遺族年金とあわせて260万円、月額換算で21万7,000円あり、住宅ローンも完済しているため、おひとりさまであれば年金のみで十分暮らしていけそうな金額です。

 

息子は都内の理系有名大学に入学。頭がよくて夫婦自慢の息子だと喜んでいました。卒業後は大手企業の研究室に就職するものの、性格的に没頭すると周りが見えなくなる息子とほかの研究員とで折り合いが悪くなり、研究所内で浮いた存在となります。

 

はじめは研究ができれば周りを気にしなかった息子ですが、ある研究発表の際、事件が起きてしまいます。研究が上手くいかなかったことから発表ができず上司に詰められ、同僚と協調性のない息子は退職勧奨を受けるまでの事態に。当時40歳だった息子は会社に見切りをつけ、退職します。

 

次の仕事を探すものの、世間からみれば“研究オタク”の息子は自分に合った仕事を見つけられず、しだいに家に引きこもりはじめます。Aさんは「いまの時代はいろんな働き方があるから、家でできる仕事もあるのだろう」と息子を見守ることにしました。

 

ですが、息子が自室でなにをしているのか皆目見当もつきません。食事どきは一緒の時間を過ごしていましたが、いつの間にか息子は勝手に自室で食事をとるようになりました。

 

自室に引きこもりはじめてから10年もすると、自分の貯蓄がなくなったのか、Aさんに小遣いを要求。Aさんは年金と夫と貯めた2,000万円の貯蓄で生涯暮らしていけると思っていた状況が一変し、年金だけでは生活できずに貯蓄を取り崩すようになります。

 

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