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あまり時間が残されていない父
大企業の地方支店に勤務していた郷英二さん(65歳/仮名)は、定年退職を迎え年金生活になりました。
退職後、時間にゆとりができた郷さんは、これまであまり会いに行くことができなかった介護施設に入居している95歳の父のもとへ足を運ぶようになります。父は認知症が進んでおり、郷さんのことを認識できない様子。それでも、残り少ない時間を大切にしたいと考え、通い続けていました。
一方で、3人の子供たちが次々に浪人と留年をしたことで独立までに時間がかかり、郷さんは十分な老後資金を準備できないままリタイア生活を迎え、不安を抱えていました。
認知症が進んでも、父が頑なに言いつづけてきたこと
そんなある日、父の容体が悪化し介護施設から病院へ移ることになります。1週間が過ぎたころ、病院から連絡があり、郷さんは父の最期を見届けました。
葬儀を終えて初七日が過ぎ、姉と父の遺産の整理と相続について話を始めました。そこで2人は、父に「自分がこの世を去るまでは絶対に開けるな」と言われていた銀行の貸金庫について考えます。
「一体なにを入れたのか……」
父が亡くなったあと、姉とともに貸金庫を開けるために銀行に電話をしました。すると、金庫の開扉には相続人全員の同意が必要だと説明を受けました。そこで相続人を確定させるために、父の出生から死亡までの戸籍謄本を取得します。すると、郷さんと姉には「腹違いの兄」の存在が判明しました。
父が隠したかった事実を知った郷さんと姉は、お互いに顔を見合わせました。
わからない法定相続人
父と郷さんの腹違いの兄とは、郷さんの母と再婚してからは会っていなかったようで、連絡も取れません。
司法書士に調べてもらうと、兄はすでに他界していることが判明しました。しかし、その兄には5人の子供がいることがわかります。郷さんはその全員から同意をもらう必要がありました。
住所を調査して手紙を送りますが、なかなかスムーズに進みません。やっと返事が来た1人を通じて、なんとか5人の相続人から了解を得ることができました。郷さんに貸金庫を開けるときが来ます。
