特集 水面下で爆速する資産インフレ…どうなる、どうする富裕層

水面下で爆速する資産インフレ…どうなる、どうする富裕層

日本はバブル経済崩壊後、30年もの間停滞が続き、物価も給料も上昇の兆しが見えません。「強い日本円」はもはや幻想と化し、日本円による資産保有自体が、大きなリスクになりかねない状況です。これからを生きる富裕層は、自身の資産防衛のためにどんな行動を起こすべきでしょうか。専門家たちが様々な見地から解説します。

マイホーム〈共有名義・連帯保証〉が秘める恐ろしさ…「解決を怠ったまま離婚」で破滅した例
加藤 康介
元妻と買った家のローンのせいで、新居の購入が不可能に6年前に離婚した佐藤さん(仮名)。夫婦共有名義で購入した家には前妻と子どもが残り、佐藤さんは転居しました。住宅ローンは家に残る前妻が支払いを続け、佐藤さんは養育費を支払うという条件で合意し、離婚自体は話し合いで円満に完了しました。 佐藤さんはその後再婚。新しい奥様との間にお子さんも誕生しました。しかし、家族が増えたのを機に、新居を購入しようと考えた佐藤さんに想定外の事態が起きます。 前…
【マイホーム購入の悩み】「新築」vs.「中古住宅+リノベ」…将来の〈資産価値の減少〉大きいのはどちらか?
加藤 康介
新築と中古+リノベーションの資産性の比較近年流行している、中古住宅のリノベーション。なかには相当な大金をかけている方も散見されます。大きな理由のひとつとして資産性への期待があげられますが、実際のところ、「資産価値が落ちづらい」という前提には疑問が残ります(『マイホーム購入「中古+リノベ」なら資産価値が下がりにくい?…信じた人の〈ツラすぎる末路〉』参照)。 ここでは、中古+リノベーションの資産性について、もう少し具体的な数値を用いて考えて…
マイホーム購入「中古+リノベ」なら資産価値が下がりにくい?…信じた人の〈ツラすぎる末路〉
加藤 康介
「中古+リノベ市場」成長の背景マイホームの購入を希望する人々の間で「中古+リノベーション」が流行しています。その背景には、 ①人口縮小により空き家が増加している②景気が伸び悩むなか若い世代の住宅にかけられる予算が減っている③「新しいものでなくてもいい」という価値観が若者世代に浸透してきた④リノベーション費用も住宅ローンに組み込めるようになった⑤若い世代の価値観が多様化し、画一的な新築住宅よりも自分に合った家を好む若者が増えた 等が主な要…
「住宅ローン返済が養育費代わり」の約束だったのに…元夫の失踪で母子が暮らすマイホーム〈競売〉の悲劇
加藤 康介
静かに暮らす母子のもとへ届いた「裁判所からの通知」渡辺さん(仮名)は5年前に夫と離婚しました。元夫の名義だった家には渡辺さんと子どもが残り、夫は家を出ていきました。離婚条件として、「元夫は、養育費の代わりに子どもが成人するまで住宅ローンを払い続け、渡辺さんと子どもは無償でその家に住む」ことを約束しました。元夫を信用できなかった渡辺さんは、約束を守らせるために公正証書にも離婚条件を残しておきました。これで子どもが成人するまでは安心して生活…
相続トラブル「遺留分請求する!」と息巻くも…受取人不在で〈遺言書検認から1年経過〉の結末【弁護士が解説】
高島 秀行
母が残した、不平等すぎる遺言書陽子さんは、世田谷に賃貸マンション(2.5億円相当)と自宅(1.5億円相当)、預金や株などの金融資産(1億円)を持っている資産家です。 夫の太一さんは10年前、遺産のすべてを陽子さんに相続させるという遺言を残して亡くなりました。陽子さんの資産の多くは、夫の太一さんから相続したものです。夫婦の子どもとして、長男の太郎さん、長女の花子さんがいます。 陽子さんは「長男の太郎さんにすべて相続させる」という自筆証書遺言を書い…
資産家・高齢父の再婚問題…「後妻にウチの財産は渡せない!」先妻の子らの意思を通す方法はあるか【弁護士が解説】
高島 秀行
資産家父の再婚で、「財産の行方」が心配な子どもたち鈴木太一さんは、世田谷に賃貸マンション(2.5億円相当)と自宅(1.5億円相当)、を持っている資産家です。太一さんの家族は、長男の太郎さん、長女の花子さんの2人の子どもで、妻の陽子さんは病気のため亡くなっています。 太一さんは、田中美香さんと再婚することとしました。美香さんには離婚経験があり、前夫との間には、離婚の際に夫についていった勉さんという子どもがいます。 [図表]相続関係図 太郎さんと…
「息子には全財産を、娘には生命保険で遺留分の現金を準備」…資産家の相続対策に潜む、意外な落とし穴【弁護士が解説】
高島 秀行
娘に渡す「遺留分の額」どうやって計算すればいい?太一さんは、世田谷に賃貸マンション(2.5億円相当)と自宅(1.5億円相当)、を持っている資産家です。家族は、妻の陽子さん、長男の太郎さん、長女の花子さんです。 長男の太郎さんは、月子さんと結婚後も、太一さんと陽子さんと同居してくれています。太一さんと陽子さんは、孫の太陽君と星子ちゃんと一緒に暮らせているうえ、太一さんの奥さんの月子さんは、太一さんと陽子さんの面倒をよく見てくれることから、太一さ…
借地上の築古実家「マイナス資産だけど、私が相続してあげる」長姉の言い分は正しいか?【弁護士が解説】
高島 秀行
「借地上の実家はマイナス資産だと、姉が…」花子さんは、父親の太一さんから相続した実家がある世田谷に暮しています。 ある日、花子さんが幼馴染の秋江さんと偶然会ったところ、浮かない様子なので、どうしたのか尋ねました。すると秋江さんは、母親の相続問題について話し合うため、久しぶりに実家に帰ってきたのだといいます。花子さんも相続で苦労したため、秋江さんの話を親身に聞いたところ、以下のような状況だということでした。 秋江さんの父親はすでに亡くなっ…
父の死で、急に叔父がゴネ出した!「兄貴が独り占めした〈実家の財産〉を返せ」…無視してOK?【弁護士が解説】
高島 秀行
父の死を知った叔父が、祖父の相続問題を蒸し返し…花子さんの父親の太一さんは、世田谷に、自宅と貸マンションを持っている資産家です。花子さんの母で、太一さんの妻の陽子さんは、1年前、急病のため亡くなりました。すると、今年になって太一さんも後を追うかのように亡くなってしまいました。 問題は、花子さんの父親の弟で、叔父にあたる健二さんです。 太一さんが亡くなるやいなや、花子さんのところに来て、 「太一さんの自宅と貸マンションが建っている土地は、…
コロナ禍で増加する「住宅ローン破綻」…当事者は口をつぐむも〈全財産失った人〉多数
加藤 康介
ボーナス&残業代カット、パート代半減で生活破綻Aさんは13年前に自宅を購入し、妻と子ども2人と慎ましく暮らしていました。子どもを私立の学校に通わせていたため、決して生活は楽ではありませんでしたが、夫婦で力を合わせて仕事と子育てを頑張ってきたといいます。 しかし、そんなAさんをコロナ渦が襲います。コロナ渦の影響で、Aさんの勤務先の企業の業績が悪化。ボーナスが全額カットとなってしまったばかりか、リモートワークが進んだことで残業も原則禁止となり、残…
音信不通だった父、逝去…母に引き取られた子「遺産がほしい、養育費も請求したい」は可能か?【弁護士が解説】
高島 秀行
20年前に母と離婚した父、交通事故で死去との知らせ桜さんの母親である花子さんは、桜さんの父親である和夫さんと20年前に離婚し、桜さんはその後、和夫さんと会ったことはありませんでした。両親の離婚のとき、桜さんは12歳でした。 桜さんは母親の花子さんの戸籍に入っています。 和夫さんは、会社経営をしており、花子さんとの離婚後、恵子さんという女性と結婚し、誠さんという子どもがいるようです。 桜さんは、和夫さんが交通事故で亡くなったということを聞きまし…
認知症の母の遺産「こんなに少ないはずがない」…シラを切るきょうだいのシッポを掴むには【弁護士が解説】
國丸 知宏
「母の預金を、姉が使い込んだのではないかと…」今回相談に来られたのは、60代男性の山田さんです。山田さんは、最近亡くなった母親の相続について困っているということでした。 「先日母が亡くなりました。相続人は姉と私の2人です。母は遺言を作成しておらず、遺産は預貯金のみです。姉と私とで預貯金を半額ずつ取得しようという話になっているのですが、預貯金の金額があまりに少なすぎて…。いくらなんでもおかしいと思うのです」 山田さんの母親は、7年前に自宅を売…
日本の自宅にいながら「アメリカの公証手続」が完了できる〈RON〉とは?【弁護士が解説】
中村 優紀
コロナ禍、アメリカで広まっているオンライン公証手続読者の皆さんは「RON」という言葉をご存じでしょうか。RONとは、コロナ禍においてアメリカで広まっているオンラインの公証手続(Remote Online Notarization)のことをいいます。 そもそも公証(Notarization)とは、公証人が、私文書の作成者の署名又は記名押印の証明をする手続をいいます。日本では、遺言を残すときに公証役場で公正証書遺言を作成したり、協議離婚をする際に夫婦で合意した諸条件を公正証書に残すこ…
【独身資産家殺害】容疑者となった養子、自死…相続権を巡る、法律の「恐るべき不条理」【弁護士が解説】
高島 秀行
拘置所で容疑者が自殺…資産1億円の行方は?春子さんの娘の夏子さんが、自宅で変死している状態で発見されました。 夏子さんは独身で子どももいませんでしたが、春子さんの知らない若い男性、冬樹さんと養子縁組していることが発覚しました。 警察の捜査が進んだ結果、なんと殺害容疑で逮捕されたのは、夏子さんの養子である冬樹さんでした。 ところがその後、驚くべきことに、逮捕された冬樹さんは拘置所で自殺してしまったのです。 夏子さんは、春子さんの夫で夏子さ…
「海外に残した銀行口座」を解約・返金する方法は?…カリフォルニアの銀行口座の場合【弁護士が解説】
中村 優紀
休眠口座であっても、解約・返金は可能「アメリカに残している銀行口座、今からでも解約、返金できますか?」「休眠口座になっているので、もう手遅れでしょうか?」 円安ドル高が急に進んだことで、忘れていたアメリカ銀行口座のドルを取り戻したい、という相談を最近よく受けます。 結論から言うと、解約、返金は可能です。 今回は、カリフォルニアの銀行口座について回収する方法をお伝えします。 カリフォルニアでは、通常、3年間以上取引がない銀行口座は、カリフ…
独身の資産家が不審死…高齢母が驚愕した〈見知らぬ相続人〉と〈遺産の行方〉【弁護士が解説】
高島 秀行
高齢母、亡くなった娘に養子がいると知って愕然春子さんには、娘の夏子さんがいます。夏子さんは、独身で、子どももいません。夏子さんは、亡くなった父親の秋男さんから相続した遺産など約1億円を持っていました。 夏子さんは、自宅で変死している状態で発見されました。その後、夏子さんが、冬樹さんという春子さんが知らない若い男性と養子縁組をしていることが判明しました。 そして、冬樹さんは、夏子さんの相続人として、夏子さん名義の約1億円の遺産を相続しました…
再婚男性「後妻だけに、全財産を相続させたい」…実現に向けての努力と限界【弁護士が解説】
國丸 知宏
60代男性、いまの妻に全財産を相続させたい先日、60代男性のAさんという方が、筆者の事務所を訪れました。遺言書の作成について相談したいということでした。 Aさんは、最近になって大きな病気を患ったことから、先のことが心配になり、遺言書の作成を思い立ったそうです。 「病気の私を親身に世話してくれた妻に、全財産を渡したいと思っています。妻とは20年前に結婚し、子どもはいません。実は私には離婚歴があり、前妻との間に娘が1人います。娘とは、30年前に前妻と…
「死亡退職金はだれのもの?」本妻・愛人ありの男性の急死で、意外過ぎる結末が判明【弁護士が解説】
高島 秀行
妻子のもとを去り、愛人&婚外子と生活していた男性資産家の太一さんは3人兄弟で、弟に健二さん、雄三さんがいます。 雄三さんは妻の明子さんと結婚し、英雄君という子どもが1人いるのですが、20年以上前に女性を作って家を出て行ってしまい、以後はその女性である愛さんと、愛さんとの子どもである雄太君と暮らしています。 雄三さんは、交通事故に遭い、突然亡くなってしまいました。雄三さんには、遺産らしい遺産はありませんでした。 ただし、雄三さんが勤務している…
独身・小金持ちサラリーマンが考えた、自分亡きあとの「財産の後始末」【弁護士が解説】
國丸 知宏
独身サラリーマン、自分の死後の資産の行方を懸念今回のご相談者は、50代独身のAさんです。Aさんはひとりっ子で、ご両親はすでに他界されています。Aさんには婚姻歴もなく、子どももいません。 「健康上の不安はないのですが、そろそろ先のことも考えておこうと思いまして…。独り身ですので、将来私が死んだら財産はどうなるのだろうかと思っています。財産は、主に預貯金と自宅マンションです。それなりの金額になるかと思いますので、だれかに有益に使ってもらえればい…
「こんなの、聞いてない!」亡父の相続を巡り〈長女 vs. 孫養子〉大バトルの顛末【弁護士が解説】
高島 秀行
妻に先立たれた資産家男性、長男夫婦まで亡くなり…太一さんは、貸しマンション一棟や自宅、預貯金や株式など金融資産を持っている資産家です。 妻の陽子さんは病気のため先に亡くなってしまいましたが、太一さんには、長男の太郎さんと長女の花子さんの2人の子どもがいます。 太郎さんには、妻の月子さん、子どもの星子ちゃんがいます。そして花子さんには、夫の実さん、子どもの蓮君がいます。 しかし、太一さん一家に不幸が襲います。長男の太郎さんとその妻の月子さ…

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