前回は広大地の適用をめぐる裁判の例について問題点を指摘しました。今回は不動産鑑定士の鑑定評価について考えてみましょう。

不動産鑑定士の評価は半分が否定されている!?

通達に書かれていない要因があり減額をしたい場合や通達で算出された評価額に納得できない場合に、不動産鑑定士に鑑定を依頼することもあります。


しかし、不動産鑑定士の鑑定評価を基に相続税の申告を提出しても、その半分が否認されているといわれています。不動産鑑定士に鑑定評価を出してもらえば大丈夫だろう、と考える人が多いでしょうが、実際は違うのです。


なぜそのようなことが起こるのか。それは、鑑定評価を取る目的を考えれば明らかです。鑑定評価を取る目的は、「通達にない減額を使いたい」もしくは「通達以上に評価額を下げたい」場合です。


不動産鑑定士の評価は、鑑定士の裁量によって変わります。ですから、税務署は基本的に鑑定評価が好きではありません。同じ土地の評価をするのにA不動産鑑定士とB不動産鑑定士では評価が違うということになると、課税の公平という点からするとおかしなことになるわけです。

税務署は「公平性に問題あり」と考える

では、不動産鑑定士の出す評価が間違っているのかといえば、そうではありません。そもそも不動産鑑定士が出す評価額は、いくらで取引されるかという時価です。時価にはある程度の幅があります。差が出るのは当然なのです。

 

しかし、税務署から見れば、課税の公平性の観点から問題があるわけです。ですから、相続税の申告の際に鑑定評価が使われていれば、税務署はチェックします。そこであまりにも評価額が下がっている場合には、税務署も否認します。

 

実際に鑑定評価が否認されたケースを見ると、通達でも減額の規定があるケースが多いようです。例えば、形がいびつな土地であるとか、道路との間に高低差があるような場合には、通達でも減額することができるのですから、その評価方法を使わなければなりません。

 

しかし不動産鑑定士がそれのみを理由に、それよりも低い評価額を出してくれば否認をするのです。

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