「小規模宅地等の特例」の適用を受けられる「家なき子」とは?
マイホームを持っていない子であれば・・・前回の続きです。「小規模宅地等の特例」の適用を受けるための、もう1つの方向性としては、Aさんが「家なき子」になることです。相続では、次の要件を満たすとき、その人は「家なき子」となります。 ●被相続人の配偶者、または相続開始直前において被相続人と同居していた一定の親族がいない●相続開始前3年以内に日本国内にある自己または自己の配偶者の所有する家屋に居住したことがない●相続開始の時から相続税の申告期限ま…
土地の「評価単位」を上手に利用して節税する方法
相続税における土地の「評価単位」に注目する土地は公図に基づき、登記簿で区分された筆によって管理されています。一方、相続税では登記簿とは関係なく、その土地の利用状況による評価単位(評価すべき土地の単位)になり、評価の対象とすることとなっています。 評価単位は、まず土地の地目(宅地、畑等)で区分します。次に同じ宅地でも他人の権利が付着しているかどうかといった区分も行います。たとえば、借家権が発生している賃貸建物の敷地(貸家建付地:かしやたて…
調査済みの土地に優先順位をつける判断基準とは?
優先順位をつける判断基準は大きく分けて2つ現地調査の結果が出たら、それに基づいて財産に優先順位をつける作業を行います。その判断基準となるものは2つあります。1つはお客様自身の考えであり、もう1つは専門家から見た資産価値としての判断です。お客様には「納税資金が足りないので、どこかの土地を処分するしかない。だけど、どうしてもこの土地だけは残したい」という、特定の土地への思い入れがあることがほとんどです。どの土地でもいいからお金になればいい、とい…
「小規模宅地等の特例」の適用を受けるための方法
普通のサラリーマンが高額な相続税を払うハメにそれでは、自宅に小規模宅地等の特例を適用する相続税対策のやり方を、具体例を挙げて説明していきましょう。 Aさんは40代半ばの会社員の男性です。Aさんの母は70代、父は5年前に亡くなっています。Aさんは一人っ子で兄弟はいません。 父が亡くなった一次相続の際、自宅の土地と建物は母が相続しました。自宅は、バブル期に株や不動産業などで資産を増やした父が、東京郊外に購入した400㎡の土地と、その上に建てた自宅です…
制限が増す「広大地の適用」をどう勝ち取るか?
国税庁のむちゃくちゃな主張と、その裏の思惑広大地について、国税庁は平成21年頃から、一層妙なことを言い出しました。 「広大地の規定は図のA地(下図参照)のように戸建分譲地として開発した場合に道路といったつぶれ地が生じるから減額している。しかし、その土地がB地のような路地状開発であれば、その土地にはつぶれ地は生じていない。よって、こうした路地状開発のほうが合理性が高いのであれば、B地は減額する必要がない」 これはもうむちゃくちゃな主張です。 …
広い土地に「広大地規定」を適用して相続税を節税する方法
「広大地規定」は、やり方次第で節策の本命となり得るここからが、土地評価への工夫による節税策の本命の部分です。相続税の多寡に、最大かつダントツに影響を与えるのは「広大地の規定」です。そして多くの場合に、適用されるべきこの規定が適用されないまま、余分な税を極めて多額に納付しているケースが多いのです。 不動産には「面大減価」といって、面積が大きくなればなるほど坪単価が下がっていくという傾向があります。 不動産は高額な資産であるだけに、買い手の…
周辺施設のチェックでは「嫌悪施設」に存在に注意
ぐるっと見回す=周辺施設の確認次に、周辺に嫌悪施設がないかどうかの確認をします。嫌悪施設とはその存在が周辺の人から嫌われる施設を言います。具体的には、 ●パチンコ店、ラブホテル、風俗店など周辺の土地の品格を下げるような施設●騒音、振動、悪臭、大気汚染などを引き起こす公害発生施設●火葬場、刑務所、廃棄物処理場、原子力関連施設など不快感・嫌悪感を与える施設 などが挙げられます。売却のしやすさに大きく影響する「嫌悪施設」の存在嫌悪施設は周辺の…
「小規模宅地等の特例」を活用して自宅を守る
財産は自宅の敷地と建物だけなのに・・・相続税と言うと、「不動産をたくさん持っている資産家が払うもの」というイメージかあるかもしれません。しかし、都心のような地価の高い地域に自宅を構えている人は、その自宅の敷地と建物くらいしか財産らしい財産を持っていなくても、相続税が課税されることがあります。 実際、東京の千代田区や港区は、大半の土地が1㎡あたり1 0 0万円以上します。中央区、新宿区、品川区、世田谷区でも、1㎡あたり50万円以上の地域が広く分布…
配偶者の優遇制度を利用して相続税を節税する方法
最も相続税の節税効果が高い「配偶者の税額軽減」相続税において最も重要な節税方法は、「配偶者の税額軽減」です。相続税は、基本的に世代間の相続に関して税をかけるものです。そもそも配偶者は被相続人とともに財産を形成した存在とみなされているので、配偶者が相続したときは原則として相続税がかからないようになっています。 具体的に言えば、まず配偶者の相続財産が1億6000万円までならそれに対応する税は無条件に無税です。たとえば遺産の合計が2億円の場合に、配…
現地調査における土地の「上空」「地下」のチェックポイント
上を見る=送電線と容積率の確認現地調査の2番目として、土地の上空の確認があります。 ●送電線の有無所有する土地の上空に送電線が設置されていると、建物の建築に制限がかかります。調査対象の土地の上空に送電線があった場合、地役権(他人の土地を自由に使用する権利。このケースの場合、土地の上空を使っている電力会社が地役権を持っていることになる)の設定登記があるかどうかを確認します。 電力会社の地役権設定登記がある場合には、土地の所有者がこの土地を…
トラブル要因が数多く潜む「代襲相続」
親より子が先に亡くなるケースは多いだけに・・・超高齢化の今、親よりも子が先に亡くなるといったケースは珍しくありません。それに伴って、代襲相続も増えてくるだろうと筆者は予想しています。代襲相続は、孫が相続に絡んでくることで、さまざまなトラブルに発展しやすい面を持っています。 例えば、孫が本当に法定相続人なのかをはっきりさせるために、故人の出生から死亡までの戸籍謄本を役所から取り寄せます。孫が多ければ、その調査にも時間がかかります。分割協議…
マイホームの優遇制度を利用して相続税を節税する方法
評価額が8割引きになる「小規模宅地等の特例」前回までの連載では、不動産を中心に、これらの相続税を減らしつつ、いかに相続人に承継させるかという前段の説明をしてきました。つまり、親の生前の話であったわけです。これからは、相続発生後において相続財産である不動産を低く評価することなどにより、いかに節税していくかという話になります。 ともすると皆さんは「同じ相続財産であれば誰がどのようにやっても同じ評価額になるはず」とお考えかもしれません。しかし…
怠ってはいけない「土地の利用状況」の確認
無断建築でも「黙認」していたと見なされると・・・借地人との間で交わした賃貸借契約書を基に、土地が本来の用途のまま使われているか、土地の利用状況を確認することも大切です。ここで問題となるのは、建物があることによって借地人が「借地権がある」と言って、権利を主張してくることです。「資材置き場として貸しているのに、そこに無断で建物を建てたということは、相手に非があるんじゃないか」と考える向きもあるでしょう。しかし、ここが重要なのですが、地主が長…
意外に多い「実は未登記だった」という事例
建て直したら改めて登記が必要だったのに・・・前回とは別の事例ですが、未登記の建物でこんな話もありました。その方は、昭和40年頃に中古で家を買いました。その家は登記してあったのですが、その後、家が古くなったので取り壊し、新しい家を建て直しました。その時に、本来なら中古の家を解体した旨を届け出ると同時に、新築の家を登記しなければならなかったのですが、その方はそれをしなかったため、そのお宅はずっと、中古の家の固定資産税を払い続けていたのです。役…
誤解の多い連年贈与と名義預金の注意点
毎年110万円の贈与でも何の問題もない!?前回ご紹介した贈与に関しては、世の中のノウハウ本によく妙なことが書かれています。たとえば「110万円ではなく、あえて111万円の贈与をして、贈与税の申告を行いましょう(1万円の10%である1000円を納税します)。そして、その申告書の控えを保存しましょう」などの説明です。 筆者に言わせれば、そんなことをする必要はありません。110万円が確実に振り込まれていれば、十分に贈与の意図を推測させるからです。また、贈与契約書…
不動産の現地調査はどのように進めるのか?
プロは一つの土地を4つのポイントで見るそれでは、現地の調査からわかることについて説明していきましょう。プロは一つひとつの土地を見る場合、次の4つのポイントに留意して作業を進めます。 ①前を見る ②上を見る ③下を見る ④ぐるっと見回す この4つのポイントからさまざまな要素を確認し、資料と現況を見比べていくことで、資料だけではわからなかった問題が見つかることがあるのです。それが不動産の適正な評価につながります。では具体的にどのようなことを確…
長年暮らしている土地の「まさかの未登記」への対処法
土地や建物の権利関係をはっきりさせる不動産登記先祖代々、古くから所有している土地や建物の中には、登記されないままになっているものが数多く存在します。不動産登記というのは、法務局が管理する登記簿に記載することを言い、これによって土地や建物の権利関係をはっきりさせます。誰の持ちものかを明確にしておかないと、売買や取引をする際に不都合が生じてしまうからです。 例えば、祖父の代から住み続けている自宅の土地が未登記だった例がありました。土地と建物…
相続税対策の王道「現金の贈与」を成功させるポイント
継続すれば威力を発揮する基礎控除110万円の活用ここまで、不動産の評価、分割による対策を説明してきました。ただ相続税対策には、それ以外にも王道と言われる対策があります。それは贈与です。しかし、実際には安易な形での贈与もかなり多いようです。したがって後日の税務調査で、その少なからぬものが否認の憂き目にあっています。何せ実施済みの贈与の否認は税務署員の得意技なのです。 ではまず、一般的な現金の贈与から見ていきましょう。 贈与は相続税対策の基本…
専門家として実力が徹底的に問われる「不動産の調査」
役所は「聞かれた内容」の「担当範囲」しか答えない資料入手の必要があるのは現地調査の準備段階だけではありません。実際に不動産を目で確かめてみて「あれ? ここはどうなっているのだろう?」というものが出てきたときに、さらなる資料が必要になることも多々あります。資料の入手先は主に役所ですが、役所の担当者は総じて「質問されたことにだけ答える」「自分のところ以外の部局に関連することは言わない(=自分の仕事に関係のないことは言わない)」「面倒なことは…
「明日死んでも家族に迷惑をかけない」対策を講じておく
子どものために親が前もって済ませておくべきこと前回ご紹介した姉妹の例では、やはりなんと言っても、父が生前のうちに相続を見越した準備をしておいてくれればよかったということに尽きます。不動産賃貸業にノータッチの娘たちが賃貸不動産を相続したら、相続方法や相続後にどれだけ戸惑うかということを、親として当然考えておかなければならなかったと思います。 この姉妹の父は突然の事故死だったのですが、人の死はいつ訪れるかわかりません。だからこそ、明日死んで…
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