財産の「棚卸」がトラブルを見つける第一歩
相続にまつわるトラブルの多くは、実際に相続が起こってみて初めて実感することばかりです。なぜなら、それまで取り立てて何の問題もなく、「わが家にとってそれは当たり前だったこと」が、いざ相続というときに初めて重大な問題だったと気づく場合が、意外に多くあるからなのです。
では、なぜそのようなことが起こるのでしょうか。その原因の第一は「トラブルそのものが見えていなかったこと」にあります。親から子へと引き継がれる財産の中に、リスク要因が潜んでいることを認識できなかった結果なのです。
予想がついていれば何かしらの対策を立てることができますが、トラブル自体を認識できていなければ、対策のしようがありません。つまり、不動産にまつわるトラブルを解消する第一歩は、「トラブルにつながりそうな危険因子を見つけること」と言えます。
そのような事態を防ぐために最初にすべきことは、所有している不動産のすべての「棚卸」をすることです。
まずは土地の評価額から不動産の選別を開始する
私たちはお客様から不動産調査のご依頼をいただくと、さまざまな調査を進めるとともに、必要に応じて測量を行い、すべての土地の評価額を出します。これを行うことで、推定税額が算出できるだけでなく、継続して持ち続けたほうがいい不動産、手放したほうがいい不動産の選別をすることができます。
そのようにして財産に優先順位をつけることで、それを踏まえて相続人の方たちすべてが納得する遺産分割を検討できるようにもなります。つまり、混沌としていた財産の全体像がすっきりと整理され、親から受け継いだ貴重な財産をよりよい形で子孫に残すための道筋がはっきりと見えてくるのです。
次回からは、財産の棚卸について具体的な方法を見ていきましょう。