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宝くじマニアの平凡なサラリーマン、定年間際にまさかの大当たり
65歳の田中修一(仮名)さんは40年間、衣料小売業で働き続けてきました。以前は営業として活躍していましたが、30代前半に重い肝炎を患い、長期入院を余儀なくされました。復職後は体力的な理由から営業職を離れ、内勤の事務職へと異動。以来、店舗の発注業務や売り上げ集計など、裏方の仕事を淡々とこなしてきました。
会社の規模は大きくなかったものの、コツコツと真面目に勤め上げ、職場での人間関係にも恵まれていました。ただ、田中さん自身は「病気さえしなければ、もっと収入のいい営業職で出世できたかもしれない……」という思いを常に抱えていたといいます。
退職後は月額15万円の年金(5歳年下の妻は月額7万円)と退職金600万円、貯金800万円で質素に暮らすつもりでしたが、老後の生活に大きな不安も感じていました。そんな田中さんの唯一の楽しみは、月に数回、趣味として購入する宝くじでした。
「いつか大当たりを引き当てるぞ」そう意気込み、毎月5,000円ほどを宝くじに費やしていたのです。
そしてついに、その「いつか」がやってきます。退職を2ヵ月後に控えたタイミングでした。信じられないことに、1億円の高額当選を果たしたのです。「まさか本当に当たるとは……」当選の喜びに震えながらも、誰にも打ち明けることができませんでした。
妻には「そんな大金を持ったら人生がおかしくなる」と言われ続けていましたし、友人に話せば、たかられるのではないかという不安があったからです。なお、宝くじの当選時、田中さんは当選者向けのハンドブックを受け取りました。資産管理や周囲への対応などについて書かれた内容でしたが、「こんなものを読んでいるところを妻に見つかったら……」とついビクビクしてしまい、ほとんど目を通すことなく引き出しにしまい込んでしまいました。
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