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新築と中古+リノベーションの資産性の比較
近年流行している、中古住宅のリノベーション。なかには相当な大金をかけている方も散見されます。大きな理由のひとつとして資産性への期待があげられますが、実際のところ、「資産価値が落ちづらい」という前提には疑問が残ります(『マイホーム購入「中古+リノベ」なら資産価値が下がりにくい?…信じた人の〈ツラすぎる末路〉』参照)。
ここでは、中古+リノベーションの資産性について、もう少し具体的な数値を用いて考えてみましょう。
もちろん、どこの地域の、どのような物件を、どのようにリノベーションするかによって資産性は大きく変わってくるため、一概には言えませんが、資産価値の減少の仕方を、前回記事の鈴木さん(仮名)のケースでシミュレーションしてみます。
★鈴木さんのケース★
築20年の戸建てを1800万円で購入し、1000万円かけて大々的にリノベーション。当初はもう少しリノベーション費用を抑えるつもりだったが、理想の家を創るためにどんどん予算が上がっていった。妻が産休から復帰して2馬力になれば、ローン返済は余裕だと考え、思い切ってリノベーションを実施。
まったく同じ土地に「新築の建売」と「築20年の中古戸建てを1000万円かけてリノベーション」したケースを想定して比較します。
【前提条件】
★土地値は1500万円で一定
★建物は新築価格1500万円で25年償却
★リノベーションは1000万円で内装スケルトン+外壁塗装
※木造家屋の法定耐用年数は22年ですが、実際には築22年の建物はまだ十分に使用できて価値が残っているため、ここでは現実の市場性に即して25年償却とします。
新築の場合
購入時の価格
土地1500万円+建物1500万円=3000万円
20年後の資産価値
土地1500万円+建物1500万円×残存年数5年/25年=1800万円
中古+リノベの場合
購入時の価格
土地1500万円+建物1500万円×残存年数5年/25年+リノベ費用1000万円=2800万円
20年後(築40年)の資産価値
土地1500万円+建物0円=1500万円
この2つの減少率を比較すると、新築は購入時と比較して40%下落、中古+リノベーションは46%の下落となり、中古+リノベーションのほうが資産価値の減少率が大きくなります。
当然ながら、不動産が実際にいくらで売れるかは需要と供給のバランスで決まるため、単純な計算式で計算できるものではありません。また、今回はリノベーション費用を1000万円で計算しましたが、これが1500万円の大規模リノベーションにしたり、逆に500万円の表層リフォームにしたりすると、結果は大きく変わってきます。
ここでお伝えしたいのは、リノベーションが一概に悪いということではありません。リノベーション会社が盛んに提唱する「中古+リノベーションは、新築より価値が落ちづらい」という謳い文句は必ずしも正しくなく、あくまでも物件やリノベーションの内容次第であるということです。
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