※画像はイメージです/PIXTA

「離婚」と「家」は、切っても切れない関係です。離婚で夫婦の関係は解消できても、「持ち家」にまつわる諸問題はそう簡単ではありません。離婚が成立しても「ローンのある家」が残っていれば、将来のトラブルの原因となる可能性は非常に高いといえます。本稿では、よくある「離婚+持ち家」のトラブル事例を通じ、留意すべきリスクをくわしく見ていきます。

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    静かに暮らす母子のもとへ届いた「裁判所からの通知」

    渡辺さん(仮名)は5年前に夫と離婚しました。元夫の名義だった家には渡辺さんと子どもが残り、夫は家を出ていきました。離婚条件として、「元夫は、養育費の代わりに子どもが成人するまで住宅ローンを払い続け、渡辺さんと子どもは無償でその家に住む」ことを約束しました。


    元夫を信用できなかった渡辺さんは、約束を守らせるために公正証書にも離婚条件を残しておきました。これで子どもが成人するまでは安心して生活できると思っていました。

     

    しかし、そんな渡辺さんのもとに、裁判所から突然通知が届きます。家が競売にかけられたので、執行官が自宅を調査しに来るというのです。渡辺さんにとってはまさに晴天の霹靂。頭が真っ白になってしまいました。

    元夫は失踪、銀行からは一括返済を迫られ…

    渡辺さんは、状況を確認するため元夫に連絡をしましたが、何度連絡してもつながりません。元夫の会社に電話をしても、もう1年以上前に退職しているとのことでした。

     

    元夫の知人に連絡して話を聞くと、元夫は離婚後にうつ病を患い、仕事も続けられなくなって生活が厳しくなり、いまは連絡も取れない状態になっているようでした。

     

    住宅ローンを借りていた銀行にも連絡をして状況を確認しましたが、すでに住宅ローンが半年以上も滞っており、そのため保証会社が家を競売にかけたとのことで、一括返済してもらう以外はどうにもならないという回答でした。

     

    結局、自宅は競売で不動産会社に落札されてしまいました。渡辺さんはその不動産会社に何とかこのまま住まわせてほしいと懇願しましたが、渡辺さんの収入ではとても支払えない額の家賃を要求されたため、やむなく家を出ていくしかありませんでした。

     

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