元妻と買った家のローンのせいで、新居の購入が不可能に
6年前に離婚した佐藤さん(仮名)。夫婦共有名義で購入した家には前妻と子どもが残り、佐藤さんは転居しました。住宅ローンは家に残る前妻が支払いを続け、佐藤さんは養育費を支払うという条件で合意し、離婚自体は話し合いで円満に完了しました。
佐藤さんはその後再婚。新しい奥様との間にお子さんも誕生しました。しかし、家族が増えたのを機に、新居を購入しようと考えた佐藤さんに想定外の事態が起きます。
前妻と購入した家の住宅ローンが残っていたことで、新居を購入するための住宅ローンが通らなかったのです。いくつもの銀行に相談しましたが、すべての銀行で「いまの収入では前の家の住宅ローンを完済しない限り、新しいローンは組めない」と言われてしまいました。
前の家の住宅ローンを支払っているのは前妻でしたので、佐藤さんは自分にはもう関係ないと考えていたそうですが、住宅ローンの契約者が前妻と連名になっていたため、佐藤さんの債務とみなされたのです。
離婚するときは新しい家を買うなんて考えてもいなかった佐藤さんは、そのとき初めてことの重大さに気づきます。
前の家の住宅ローンを完済するためには売却するしか方法がなく、前妻に事情を説明して売却させてほしいと交渉しましたが、まったく応じてもらえる様子もなく門前払いされてしました。弁護士にも相談しましたが、結局交渉はまとまらず、佐藤さんは新居を諦めざるを得ませんでした。
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自宅売却を焦るも、共有名義人の元妻が行方不明
10年ほど前に離婚した高橋さん(仮名)。前妻と子どもが家を出て、住宅ローンは全額高橋さんが支払うことで合意し、高橋さんが1人で家に残って生活を続けていました。
しかし、高橋さんは2年前にハードワークがたたって体を壊してしまい、それまでの仕事を続けることができなくなってしまいました。収入が大幅に下がったため、住宅ローンの支払いが厳しくなってしまいます。
貯金と生活費を切り詰めて返済を続けていましたが、体調はさらに悪化。これ以上の返済は難しい状況に追い込まれます。高橋さんは「これ以上やっていけない」と苦渋の決断で、家を売却することにしました。
自宅は前妻と共有名義になっていたため、前妻と共同で売却することが必要でした。高橋さんは事情を説明して協力してもらおうと久々に前妻に連絡しました。ところが、すでに前妻の携帯電話は解約されていて連絡が取れません。高橋さんが知っていた住所を訪ねても、もう転居しているようでした。
3年前に子どもが成人して養育費の支払いが終わって以降、一切連絡を取っていなかったのですが、その間に連絡先の住所も変わってしまっていたようです。結局、ローンを支払うことも売ることもできなくなった高橋さんは、住宅ローンの返済が滞り、最終的に自宅は競売にかけられてしまいました。
さらに、競売で強制的に売却されたことで売却額が相場より大幅に下回り、住宅ローンの完済ができず、逆に残債が400万円以上も残ってしまいました。収入が下がり、家を失い、さらには400万円以上の借金だけが残るという状況で、これ以上返済していくのは厳しいと判断した高橋さんは、結局自己破産を選択するしかありませんでした。
離婚するなら、連帯保証や共有名義は単独に切り替えて
夫婦の縁は離婚で切れても、家やローンは切り離せません。
住宅ローンを連帯保証にしている場合や、家が共有名義になっている場合は、できる限り離婚する際に単独に切り替えることが重要です。
離婚を焦ってこれらの問題を先送りにしたくなる気持ちはわかりますが、離婚が成立してしまうとお互いに顔を合わせなくなるため、あとからこれらの問題を解決しようとしても難しくなります。
家が共有名義の場合や、住宅ローンを連帯保証している場合の対策としては、離婚の際に「家を売却する」もしくは「単独で住宅ローンを借り換える」といった方法があります。
仮に、これらがどうしても難しい場合は、将来的に前述したようなトラブルが起こるリスクを抱え続けるということを頭に入れて、離婚後の生活のライフプランを検討することが大切です。
加藤 康介
ライフソレイユ株式会社 取締役
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