商社マンだった父の“隠しごと”
現在55歳の会社員であるAさんは、2年前に84歳だった父を亡くしました。
父は生前、商社マンとして海外を飛び回っていたことから、Aさんは内心「父は多額の財産を貯め込んでいるのだろう」と考えていました。しかし、蓋を開けてみれば遺された財産は「預金500万円」と「都内の古い実家」のみ。
当てが外れたAさんは、思わず母親に詰め寄りました。
「ちょっと母さん! 父さんの財産ってこれだけ? エリートだったんじゃないの? 正直ウチは裕福なほうだと思っていたんだけど……」
「裕福だと思っていたでしょう? だからよ……。お父さんね、稼ぎは良かったけれど、その分派手にお金を使う人だったから。それに、退職してからも赴任先の友人に会いに行くからってしょっちゅう海外にも行っていたし。まあ、そのおかげで私も楽しい思い出がたくさんできたから恨んではないけどね。あんたも働いているんだから、自分の稼ぎで頑張りなさい!」
Aさんは両親との思い出を振り返って納得。確かに、裕福な家だという自覚は、その分父親が色々なもの・ことにお金を使っていた結果でした。
「思い出が遺産みたいなもんか……」
Aさんは無理やり自分を納得させ、相続の整理を再開。実家の不動産評価額は高かったものの、80歳の母が「配偶者居住権」を使って相続し、預金も母が引き継ぐ形で相続税申告を済ませました。
遺産が相続税の基礎控除内におさまっていたことから、相続税の申告書は税理士には依頼せず、会社で経理を担当しているAさんが提出することに。
その後なんとか葬儀を終え、穏やかに暮らしていた母とAさん。しかし、父の死から2年ほど経ったある日のこと……。
Aさんのもとに税務署から1本の電話が入りました。聞けば、「相続税調査に伺いたい」といいます。
「なんでわざわざウチみたいな財産が少ないところに税務調査? 他の誰かと間違えているんじゃないですか?」
心当たりのなかったAさんは思わずそう答えましたが、どうやら父親の相続税申請についてで間違いないとのことでした。
そして、調査当日。調査官から父の“隠れ資産”が指摘され、Aさんに追徴税200万円が課される事態に。どうやら父は、商社マン時代に赴任した複数の国で銀行口座を作っており、それらの合計が1,000万円に達していたのです。
「おいおい、ふざけんなよ! めんどくせえ……」
突然の追徴課税に頭を抱えたAさんでした。
坪単価70万円は東南アジアの半額!! 都心で600万円台から購入可能な新築マンション

