※画像はイメージです/PIXTA

近年の新築住宅の価格高騰を背景に流行しているのが「中古住宅の購入+リノベーション」というスタイルです。建築会社や不動産会社も、こぞってこのビジネスへ参入しています。しかし、本当に経済メリットの高い、資産価値の向上に寄与するスキームなのでしょうか。実情を探ります。

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    「中古+リノベ市場」成長の背景

    マイホームの購入を希望する人々の間で「中古+リノベーション」が流行しています。その背景には、

     

    ①人口縮小により空き家が増加している

    ②景気が伸び悩むなか若い世代の住宅にかけられる予算が減っている

    ③「新しいものでなくてもいい」という価値観が若者世代に浸透してきた

    ④リノベーション費用も住宅ローンに組み込めるようになった

    ⑤若い世代の価値観が多様化し、画一的な新築住宅よりも自分に合った家を好む若者が増えた

     

    等が主な要因として挙げられます。

     

    このような時勢のなかで「中古+リノベーション」のビジネスを積極的に展開している企業は、

     

    「新築は購入後すぐに価値が落ちるからもったいない」

    「中古を買ってリノベーションすれば、自由な間取りや空間を安く手に入れられる」

    「すでに価格が落ちている中古住宅を買うので、資産価値が落ちづらい」

     

    といったプロモーションを大々的に行い、業績を伸ばしています。

    「資産価値が落ちづらい」という前提は本当か?

    新築と比較したときの「中古+リノベーション」のメリットとして、ライフスタイルに合わせた自由な間取りや空間を作れることがあげられます。たしかにこれは新築のマンションや建売住宅では得られない利点であり、安く注文住宅を建てるようなイメージです。

     

    一方で、リノベーション会社がメリットとして盛んに唱えている「資産価値が落ちづらい」という点に関しては、疑問を感じざるを得ません。

     

    実際に筆者が不動産の売買に携わるなかで、購入時にリノベーションした家を売りたいというご相談を受けることもあります。そのような方の多くは、リノベーションしている分だけ高く売れるだろうと期待されています。

     

    しかし実際には、売主が期待したほどの値段で売れることはほとんどありません。それどころか、リノベーション費用までフルローンで住宅ローンを組んでいる方の場合は、売ってもローンを返しきれないケースがほとんどです。つまり、

     

    自宅の市場価値 < 住宅ローン残高

     

    の状態であり、いわゆる「オーバーローン(債務超過)」に陥っているのです。

     

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