(画像はイメージです/PIXTA)

資産家の父を亡くし、悲しみに暮れるひとりっ子の長女のもとに突然、父方の叔父が訪れました。叔父はいたわりの言葉どころか、祖父の時代の相続に文句をつけ、父の遺産を分割するよう激しく迫ります。恐ろしさにおびえる長女ですが、果たして〈祖父の相続時のトラブル〉に対応する必要はあるのでしょうか。高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が解説します。

父の死を知った叔父が、祖父の相続問題を蒸し返し…

花子さんの父親の太一さんは、世田谷に、自宅と貸マンションを持っている資産家です。花子さんの母で、太一さんの妻の陽子さんは、1年前、急病のため亡くなりました。すると、今年になって太一さんも後を追うかのように亡くなってしまいました。

 

問題は、花子さんの父親の弟で、叔父にあたる健二さんです。

 

太一さんが亡くなるやいなや、花子さんのところに来て、

 

「太一さんの自宅と貸マンションが建っている土地は、もともと、太一さんと健二さんの父親である一郎さんのものだった。それを一郎さんの相続のときに、太一さんが遺産を独り占めした」

 

「そこで、健二さんにも2分の1相続権があるので、花子さんが相続したら、土地の2分の1を自分名義にするか、土地を売って代金の2分の1を自分に渡せ」

 

と、激しい口調で迫り、花子さんは怖くてたまりません。一郎さんの相続は、30年も前の話です。

 

花子さんはどうしたらよいでしょうか。

 

①健二さんは一郎さんの遺産の2分の1を取得できるから、花子さんは、土地の2分の1を渡すか、売った代金の2分の1を渡さなければならない。

 

②花子さんは、太一さんが健二さんに土地の2分の1に相当する金額を支払ったことを証明できなければ、土地の2分の1を渡すか、売った代金の2分の1を渡さなければならない。

 

③花子さんは、一郎さんの相続の際の遺産分割協議書で太一さんが全部相続すると合意されていることを証明できなければ土地の2分の1を渡すか、売った代金の2分の1を渡さなければならない。

 

④花子さんは、土地の2分の1を渡したり、売った代金の2分の1を渡したりする必要はない。

 

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