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「財産が少なく」「兄弟仲が良い」家庭ほど相続で揉める理由
裁判までもつれる「相続トラブル」は年々増えている 夫婦間の微妙なズレを察したように、由井が口を開いた。 「多くのご家族を見てきましたが、残念ながら、いざ相続となると、『仲が良かったはず』という兄弟姉妹が喧嘩になることは珍しくありません」 由井はファイルを開き資料を亀山夫婦に手渡した。 「これは最高裁判所が出している『遺産分割事件の新受件数』です。相続のトラブルが新たに裁判所に持ち込まれる数は右肩上がりで増えてきました。1965年には41…
「生命保険金」に関する相続トラブルを解決する方法
生前に受け取った保険金がトラブルの種に・・・<事例10>被相続人(兄)の死亡後、自筆証書遺言が発見されました。被相続人には妻や子がなく、その自筆証書遺言には、金融機関の預金はすべて同居していた妹Aさんに相続させること、生命保険も受取人名義人であるAさんに相続させることが記載されていました。 しかし、生命保険金は、被相続人が生前に高度障害を認定されたときに、指定代理人としてAさんが受け取っていたのです。 Aさん以外の兄弟姉妹は、生命保険は、死亡…
相続税対策で「広大地評価」の利用が難しい理由
有効宅地だけを評価する「広大地評価」前回に引き続き、湘南にお住まいで1000㎡(300坪)にもなる広い駐車場を相続されることになった、Eさんの相続時の問題点について見ていきます。 ●問題点1 広大地評価を知らない税理士税理士が相続について必ずしも詳しいとは限りません。広大地評価となると、贈与や小規模宅地等の特例などに比べると利用機会が少ないということもあり、知らない税理士がいても何ら不思議ではないことです。 そもそも広大地とは何かといいますと、…
「相続対策を専門とする税理士」の探し方・選び方
税理士にも医者と同じく「専門分野」がある さんざん迷った挙げ句、源太郎が電話をかけたのはサラリーマン時代の同期だった。源太郎は営業畑だったが、彼は経理部。税理士との付き合いもあったはずだ。 「相続のことを相談できる税理士を誰か知らないか? 会社の顧問だったところでもいいかと思うんだけど」 「ダメダメ、あそこはダメだ」「え?何か問題でもあるのか?」 「そうじゃない。企業税務ではいい事務所だ。ただ、相続対策はほとんど手がけていないから」「税…
金融機関への「取引履歴の開示請求」が一人でも可能な理由
従来、開示請求には大変な手間がかかっていたが・・・<事例9>父親が死亡し、遺産分割のために、生前贈与の有無を調べることになりました。しかし、相続人の一人が、被相続人の預金、有価証券の取引履歴について金融機関に調査を依頼したところ、金融機関から、相続人全員の同意書がないとして開示を拒否されたのです。 その相続人は、各相続人に同意を求める手紙を書いたのですが、父親と同居していた相続人から、自身が父親から生前に便宜を図ってもらったことを知られ…
広大な駐車場を相続する際に直面した問題とは?
300坪の駐車場に約2000万円もの相続税が・・・前回に引き続き、不動産の専門家が相続を円満に導いたケースを見ていきます。 【ケース3】Eさん・50歳湘南にお住まいのEさんからの相談案件です。相談される1カ月前に父親を亡くして相続が発生。財産として実家、現預金、ゴルフ会員権、駐車場などの財産を相続することになりましたが、相続人が母と一人息子ということもあって、遺産分割で特に揉める要素はありませんでした。母が実家と現預金をいくらか相続し、それ以外はす…
複雑な事情を持つ人ほど遺言書で「争続」に備える
複雑な事情がある場合、トラブルの解決は非常に困難<事例8>ガンで死亡した夫と妻Aさんの間には、子どもが二人いました。Aさんと子ども二人は夫が購入したマンションに住んでいます。そのマンションには住宅ローンが残っていましたが、夫の死亡により、団体信用生命保険がおりたため、ローンは消滅します。 また、夫は前妻との間にも子どもが二人いました。マンションの名義をAさんに変更するために、Aさんはその旨を明記した遺産分割協議書を前妻の子二人に送付しました…
初めての相続対策——まず取り組むべきこととは?
「会社の譲渡」に関しても生前からの対策が必要 「そういえば、熊田さんも相続のことを何か言ってたわよね」「ああ。あいつは会社をやってるからいろいろ事情が複雑で大変らしい」 近所に住む熊田武雄は、源太郎にとって中学時代からの友人だ。子供の頃は一時ひどくグレてしまい、暴走族で鳴らしていたこともある。大人になってからは真面目に仕事を頑張り、一代で金属メッキの会社を立ち上げた。地元の事情に明るい一太郎によると、「熊田メッキ工業」は中小企業にとって…
高額な相続税が見込まれる「借地権」の相続対策とは?
土地へのこだわりを捨てて売却し、新たな住居を探す前回は、世田谷在住で、150坪ほどの借地に自宅とアパートを所有するDさんの相続時の問題点として「借地権とはいえ高額な相続税になる」「小規模宅地等の特例が使えない」をあげました。今回は、その解決策について見ていきます。 ●解決策1 解体、立ち退き処理なしでアパートを売却評価額の高い借地権に加え、小規模宅地等の特例が使えない状況を踏まえると、そのままこの土地にこだわらず売却する方向性が見えてきます…
「遺留分」のトラブルを回避するための遺言書の書き方
まずは単独で住居を相続させる旨の公正証書遺言を作成<事例7>夫が死亡し、妻Aさんと長男Bさん、次男Cさんが相続人となり一次相続をしました。夫の残した住居にはBさん、CさんとCさんの妻Dさんとその子であるEが住んでいましたが、Cさんがその後、事故で死亡してしまいました。 Cさんの死亡後、二次相続の件で、BさんとDさん、Eさんとの間に対立が生まれてしまいます。 Bさんは現在Aさんと住んでいる住居を、Aさんから単独相続したいと考えていますが、DさんとEさんもお…
「まさかの相続税課税」でギクシャクし始めた家族関係・・・
課税される心配はないと思っていた亀山家だが・・・ 「シャンパンはもうそのくらいにしておいてくださいね」 妻の誕生祝いにと久しぶりに訪れたビストロで源太郎は釘を刺された。しぶしぶボトルに伸ばした手を引っ込める。春に受けた健康診断で脳血栓が見つかって以来、美千子は何かと源太郎の健康を気づかうようになった。 「大丈夫だって。医者もそう言ってただろう」 医師から「精密検査を」と指示された時には自分でもあわてた。幸いにも精密検査で見つかった血栓は…
「借地権」を持つことで相続税が高額になる理由
相続税上の評価では「借地権」は高額となる●問題点1 借地権とはいえ高額な相続税になる土地には底地と借地があります。事例1では地主の立場から貸地が不良資産であるとお伝えしました。底地は収益性があまり見込めないことが多いために、相続前に整理、処分した方がいいのです。 しかし今回は、地主から土地を借りている側の問題です。借地の場合、自分が建物を建てて住んでいることも多く、居住するための利用という意味で、その価値は十分に果たしており、不良資産とい…
なぜ「争続」に発展するケースが増えているのか?
一筋縄ではいかない相続対策だが・・・相続税の改正により、ニュースや雑誌の特集で「増税」という言葉を目にすることが増えました。これまで富裕層の方だけが「相続税」の対象でしたが、例えば持ち家一件と預貯金程度の財産がある一般家庭でも課税対象となる可能性が出てきました。つまり、これまでは「うちの家族は財産が少ないから大丈夫」「家族仲も良いので揉めることはない」と気楽に構えていた方にこそ、相続対策が必要となっているのです。 しかし、多くの方にとっ…
相続トラブル防止のための「成年後見の申立て」の活用法
成年後見の申立てにより後日のトラブルの根を絶つ<事例6>父親(被相続人)の法定相続人は、子である長男Aさんと次男Bさんの二人です。 Aさんは父親の生前より、父親の財産管理をしていました。また、Aさんは地方に住んでおり、父親の財産から交通費や父親の入院費用を拠出していました。父親は中度の認知症でしたが、とくに、成年後見の申立てはしていませんでした。 父親の死亡後、突然、BさんがAさんを相手取り、Aさんが財産を私的に流用したとして、不法行為に基づく…
相続税が思いがけず高額になった「借地権」の相続問題とは?
底地権を所有する地主が亡くなったが・・・前回に引き続き、不動産の専門家が相続を円満に導いたケースを見ていきます。 【ケース2】Dさん・73歳/子2人(長男、長女)世田谷区内にお住まいのDさんという方の案件です。Dさんは150坪ほどの土地を借りており、そこに自宅とアパートを所有していました。 ある時Dさんに、地元の不動産会社Aから、その土地の所有者である地主さんが亡くなったとDさんに連絡が入ります。どうやらその不動産会社が地主の底地権を買い取っており…
遺言書の付言事項で「遺留分」の放棄を依頼する方法
子供のひとりを後継者に指名したいが・・・ケースによっては、遺留分の放棄を求めることも必要になることがあります。遺留分の放棄を依頼する時には、その理由を付言事項の形で記しておけば、放棄を求められた相続人は納得してすんなりと受け入れてくれる可能性が高くなるでしょう。例えば、次のようなケースでは、遺留分をめぐる争いを防ぐために付言事項を記すのが必須となるでしょう。 【ケース】遺言者は、音楽出版業を営む同族会社の代表者であり、全株式を所有してい…
なぜ「公正証書遺言」は紛失しても救済手段があるのか?
通常、遺言書を紛失すると大きな不利益を被るが・・・<事例5>医師であった夫が死亡します。夫は公正証書遺言を作成していましたが、妻はその謄本を紛失していました。その後、夫の姉が、夫の四十九日法要の際に、医師という職業柄、財産を多く残しているだろうと、妻に対して財産を開示し、法定相続分に基づいて遺産を分けるよういってきました。 相続の決まりごとに関して何も知らない妻は、途方に暮れ、どうすればよいか、弁護士に相談しました。 遺言書も「モノ」で…
遺言者の最後の思いを伝える「付言事項」の書き方
遺言者の思いを記すことが相続トラブルを防ぐ本連載の第16回でご紹介したように遺言者のメッセージがうまく伝わるかどうかは、遺言書の末尾に記載する「付言事項」が大きな鍵を握ることになります。その意味をもう一度確認しておくと、「付言事項」とは、法的な面ではなく、遺言の中でぜひとも伝えておきたい思いなどを補足的に注記することをいいます。 遺言では、記載した遺言の内容のすべてに法的な効力が生じるというわけではありません。例えば付言事項として「家族全…
貸地を含む多くの土地を「円満相続・分割」するための具体策
遺産分割は相続人のみで話し合うことが重要前回は、Aさんの相続時の問題点として「土地が多い」「貸地が多い」をあげました。今回は、その解決策について見ていきます。 ●解決策1 相続人だけでじっくり話し合う場を設けるAさんのケースでは、貸地を含む多くの土地を、4人の相続人たちがうまく分割できるかどうかが、円満な相続のための最も重要なポイントでした。 最初に行ったのは、相続人となる子ども4人に集まってもらい、遺産分割について話し合ってもらうことでし…
自筆証書遺言の「よくあるミス」を回避する方法
「日付」を忘れると遺言書がムダになる!?自筆証書遺言は、遺言者本人が独力で作成する場合が多いので、十分に注意を払わないと、今回ご紹介する事例のように思いもよらぬミスを犯すことになります。念のため、とりわけよくある失敗について確認しておきましょう。 ①日付を忘れる自筆証書遺言では、日付を記載しておかなければなりません。日付がなければ、遺言書は全体として無効になります。せっかく時間と手間をかけて書いたにもかかわらず、すべてがムダになってしまう…
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