ああ、固定資産税がムダに溶けていく…〈負動産〉を抱える55歳女性、父親の実家に居座る「ラスボス」叔母が憎くてしょうがないワケ【相続の専門家が解説】

ああ、固定資産税がムダに溶けていく…〈負動産〉を抱える55歳女性、父親の実家に居座る「ラスボス」叔母が憎くてしょうがないワケ【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

地方にある360坪の広大な実家。相続人であるきょうだい5人で土地を分筆し、名義もそれぞれに分けたものの、現地の利用実態は変わらず、独身の叔母が実家を独占して住み続けている。建物は越境し、接道も確保できず、売却もままならないという状態に遥香さん姉妹は頭を抱えています。誰も使わず、税金だけがかかり続ける“負”動産と化した土地に、相続人たちはどう向き合えばいいのでしょうか? 相続実務士の曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が解説します。

父親の実家の土地は360坪

父親(90代)の相続の相談があると遥香さん(50代女性)が妹(50代)と相談に来られました。父親は祖父が亡くなったとき、妹(80代)と兄と弟2人の5人で実家の土地を相続しました。

 

父親の実家は地方都市の最寄駅から10分程度のところにあり、360坪ほどありました。その敷地の3分の1に実家が建っていて、残る3分の2は庭ですが、雑木林のように樹々で覆われています。


道路面には生垣があり、門扉も中が見えないようなタイプで、道路面から中の様子はまったく見えないようになっています。

実家の土地をきょうだい5人で分けた

祖父が亡くなったのは30年前で、当時はまだ祖父も健在で、相続税の基礎控除も多かったことから、相続税はかかりませんでした。


父親の財産は実家の土地、建物がほとんどで、預金は母親が相続しました。長男、次男(遥香さんの父親)、三男、四男は実家には住んでおらず、自分で家を購入しています。


母親が健在の間はそのままにしようとなり、母親が亡くなった15年前にいよいよ父親名義の実家を分けることになり、土地家屋調査士に依頼して、測量し、分筆登記をしたのです。

図面を作っただけ、現地の実態はない

結果、前面道路に面しているA区画~C区画と、2mの幅員による旗竿地のD区画、E区画の5つとなりました。A~C区画の面積は60坪、D、E区画も旗竿地以外は60坪とほぼ同じくらいの面積となっています。


一筆だった(もともとは一つの登記上の土地だった)自宅の土地は現在は5つの区画に分かれて登記されています。相談に来られた遥香さんの父親は奥のE区画を所有しています。登記上は所有者も別々になり、相続した形ですが、実態は、祖父が亡くなった当時のまま、何も変わっていないというのです。

実家に住む独身の叔母が約束を守らず

なぜ、当時のままかというと、実家で両親と同居をしてきた叔母がネックだといいます。


実家は360坪の半分程度の敷地を使っていて、残りは庭の雑木林です。そのうち建物はA区画と父親名義のE区画の両方の真ん中あたりに建っています。門と建物へのアプローチはB区画、E区画にまたがっています。結果、実家は3区画を占領しているのです。


遥香さんが父親から聞いた話では、土地の分筆を決めたとき、実家は取り壊してA区画に建て直すということで叔母も合意をしていたといいますが、その後、叔母は、「思い入れのある実家は壊したくない、周りの樹も切りたくない」と言い出して、父親や叔父たちの申し入れをことごとく無視をし、約束も反故にしてきたのです。

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