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土地の遺産分割が難航する理由とは?
土地は形状・価値に違いがあるため、分けにくい前回に引き続き、【ケース1】Aさん・90歳/子4人(長男のみ異母兄)の相続時の問題点について見ていきます。 ●問題点1 土地が多いAさんの場合、土地に対する相続対策が不十分でした。現預金で納税資金が確保されていたので、相続税対策や納税資金対策について大きな心配はいらなかったものの、土地の遺産分割で争う危険性があったのです。 相続において土地などの不動産はトラブルの火種です。土地の数が多ければ、誰がど…
遺言書の「付言事項」が重要といえる理由
小規模宅地等の軽減特例にも税制改正が実施相続財産の中に、自宅が含まれているような場合には、小規模宅地等の軽減特例が適用されるか否かが大きな問題となるでしょう。小規模宅地等の軽減は、被相続人が所有し、住んでいた居住用宅地のうち一定の要件を満たすものについては、宅地の評価額を80%軽減するというものです。この規定についても、改正がされました。 まず、これまでは適用を受けられる宅地の面積の上限は240㎡でしたが、300㎡に拡充されます。また終身利用権…
「マニュアル本」通りに遺言書を書いてはいけない理由
家を相続させるためには「土地」に関する記述が必要<事例4>被相続人の死後、自筆証書遺言が発見されました。その自筆証書遺言には、被相続人が所有していた建物が具体的に記載されており、これを妹の一人であるAさんに相続させるとの一文がありましたが、なぜか土地に関しては何も記されていない状況でした。 そのため、Aさんは建物を相続できましたが、その建物が建っている土地を相続できず、他の相続人から「その土地を処分したいので立ち退いてほしい」と言われかね…
膨大な「貸地」を所有する大地主に起こった相続問題とは?
相続対策の順番を見極めるのは難しいが・・・相続対策とは不動産対策のため、相談相手を間違ってはいけないこと、税務知識に偏らない対策をすることが重要です。しかし実際には、不動産の専門家が、どういう情報をもとにどういう判断をして、どういう順番で対策を行っていくかを具体的にイメージしていくのは少々難しいかもしれません。 本連載では、不動産の専門家が相続を円満に導いたケースをご紹介します。その中では、相談者の家族状況や財産割合、もともと抱えている…
相続税対策に失敗しないための「生前贈与」の留意点
親の意図に反して贈与された金銭を使い込む場合も相続税対策で生前に贈与することは場合によっては、マイナスの効果をもたらすことがあるので、注意が必要です。 例えば、あるケースでは、父親が相続対策として10年間にわたって長男、次男の2人に年350万円を贈与していました。予定としては、6480万円の贈与額になる予定でした(324万円〈税引後〉×10年=3240万円の2人分)。これだけの資金があれば、相続の際に相続税を十分に支払うことが可能でした。しかし、相続開始後…
争続を避けるために知っておきたい「代襲相続」の仕組みとは?
遺言書さえあれば「争続」は防げたはずだが・・・<事例3>死亡した被相続人には、Aさん(姉)とBさん(妹)という二人の姉妹がいました。しかし、Aさんはすでに、子のCさんを残して亡くなっていました。相続人は、BさんとAさんの代襲相続人であるCさんとなります。 ただ、被相続人は、生前に遺言書を書いていませんでした。Bさんは被相続人と一緒に住んでいましたが、ある日突然、CさんがBさんを相手に遺産分割調停を申立てました。 祖父(被相続人)の所有していた一軒…
生前贈与を併用して遺言書の効果を高める方法
遺言書のトラブル防止効果をさらに高める「生前贈与」本連載で見てきたように、遺言書は、相続トラブルを防ぐうえで最も効果的な対策といえます。それに加えて、他の相続対策手段を加えることにより、そのような遺言書のトラブル防止効果をより高めることが期待できるでしょう。 そのような選択肢の一つとしては、生前贈与が挙げられます。生前贈与は相続税を下げるうえで大変有効な手段ですし、それによって納税資金を確保することもできるので、相続税に関するトラブルが…
自筆証書遺言よりも「公正証書遺言」を選ぶメリットとは?
遺言書は「元気なうち」に書いておく<事例2>Aさんの息子さん(50歳)が、ガンで死亡しました。Aさん自身は現在、息子の購入したマンションに住んでおり、このマンションの登記名義は息子さんのままになっている状況です。 息子さんは20年前に結婚していましたが、10年前に離婚しました。前妻と息子さんの間には18歳になる娘がいます。前妻は、再婚し、娘と一緒に現在の夫と住んでいますが、その娘は息子さんの唯一の相続人でした。 そこで、マンションの所有権は娘にあ…
仲の良い二人を引き裂いた「ドロ沼相続」の実例と予防策
「泥沼の芽をいかに摘んでいくか」がカギ今までの連載では、ドロ沼化した相続にどのように対処すればよいかを見てきました。しかし、「争続」は被相続人の生前から十分な対策をとっていれば防止することが可能ですし、たとえ起こったとしてもドロ沼化することを避けられます。 そこで今回からは、生前に行っておきたい相続トラブルの効果的な予防策について、前回までと同様、事例をもとに具体的に解説していくことにします。 ドロ沼の芽をいかに摘んでいくかを知ることが…
特定の相続人が遺言者より先に亡くなった場合の効力とは?
「相続させる」という遺言の代襲相続は認められるか?遺言書の作成にあたっては、最高裁の判例について注意が必要となることがあります。遺言書に関するルールについては民法が定めていますが、法律の規定は必ずしも明確なものではなく「果たして、このような内容の遺言書の作成が許されるのか?」と悩んだような時に、条文の文言だけからはその答えを得づらいこともあります。 このように遺言書の有効要件などが問題となり、法律の文言からは不明確な場合は、最高裁判所が…
相続人がいない場合の遺言書の活用方法とは?
生前お世話になった人に遺言書で財産を遺贈する一人も相続人がいないような場合には、遺産は最終的に国のものになってしまいます。そのような事態は自身の気持ちや信条に反するというのであれば、遺言書で何らかの意思表示をしておく必要があるでしょう。 例えば、生前に世話になった人がいて恩に報いたいのであれば、その人に財産を遺贈するのもよいでしょう。また、何らかの形で社会貢献をしたいのであれば、公益的な活動を行っているNPO法人や慈善団体などに遺産を寄付…
相続した株式の「売渡し請求」が来た場合の対処法
相続した株式を売り渡すように請求が・・・<事例10>Bさんは、A社の株式の30%を所有する株主でした。 A社の過半数の株数を握っているCさんがA社の代表取締役です。他の取締役もすべてCさんと同居の親族で、A社はBさんに配当はせず、Cさんら取締役に役員報酬の形でCさんら側だけにA社の利益を分配していました。A社の利益はCさんら取締役の経営する別会社であるE法人にも業務委託料の形で流れていました。 Bさんの配偶者であり、成年後見人であるDさんはA社がCさんら側に…
遺言書で特定の相続人の「相続分」をゼロにする方法
廃除事由がある場合には相続排除を行う遺言書を作成生前に子供へ十分な財産を与えていたような場合には、「これ以上、遺産を与えないでもよいだろう」と考えることがあるでしょう。その場合には、相続分をゼロにする遺言書を残すことを検討してみてください。 【例文】第1条第○条 次男持斗榑夫に対しては、現在居住する住宅(東京都○○○○)を取得する際、購入代金の内、2000万円を贈与したので、相続分はないものとする。平成○○年○○月○○日住所 東京都千代田…
会社の破綻処理と債務の相続問題が絡み合った場合の対処法
中小企業経営者の多くが連帯保証しているだけに・・・日本の中小企業の経営者の多くは、自らが経営する会社の債務について連帯保証し、さらに自宅に抵当権を設定しているのが一般的です。 そのため、本事例や前回紹介した事例のように、会社が破綻の危機にひんしている中で、経営者が亡くなった場合、会社の破綻処理の問題と債務の相続の問題が複雑に絡み合うことになります。 具体的に言えば、 「会社の破綻処理として破産を選ぶのか、特別清算を選ぶのか」「単純承認し…
遺言書で「子供の認知」「相続廃除」をする方法
遺言書で子供を認知する場合の文例とは?遺言書では、子供を認知することもできます。生前には事情があって認知できなかったような子供に相続権や遺留分の権利を与えたいのであれば、遺言書で認知する必要があります。以下に挙げた例のように、同じ遺言書の中で、相続させる財産を指定することも可能です。 【例文】遺言者姫矢正太郎は、本遺言書により次の通り遺言する。1.次の者は遺言者姫矢正太郎と紅谷乙美との間に生まれた子であることを認知する。本籍 東京都大田…
債務問題を解決するために「相続放棄」の期間を延長する方法
相続放棄の選択肢を残すために「単純承認」をしない<事例9>Aさんは、IT関連の株式会社B社を経営している代表取締役でした。B社の株式はAさんが90%を所有しており、10%はAさんの妻Cさんが所有していました。B社はこの不況の中、業績が悪化し、資金繰りに窮しており、B社の借り入れの担保としてAさんの連帯保証のほか、Aさんの自宅に対して抵当権が設定されている状況です。 その折、Aさんが心筋梗塞で急死。Aさんの死後、B社は他の取締役Dらによって細々と経営されてい…
特別受益に起因する相続トラブルを避けるための遺言書とは?
相続で問題となる「生前に贈与された特別な財産」相続では、特別受益が問題となることもあります。これに関しても、適切な遺言書を残しておくことで予想されるトラブルを防ぐことが可能となるでしょう。実際にあった次のような事例をもとに、どのような遺言書を作成しておけばよいのか検討していきましょう。 【事例】A家の長女の夫は、病のため働けなくなり、長年勤めていた会社を退職した。その後は、長女の実家の支援で生活しているが、実家の掃除、また自分の子供や両…
相続放棄の申告期間が過ぎてしまったときの対応とは?
相続放棄の申告は3カ月の間にする必要があるが・・・<事例8>A社の創業者であるBさんが死亡しました。Bさんの生前からA社は経営難に陥っており、来週末に期日となっている支払手形を支払う資金のめどがつかず、不渡りは避けられない状況でした。 地元信用金庫等からのA社が借り入れた金額は全部で1億5000万円に達しており、Bさんの残したA社の工場土地も担保に入っていました。A社の工場土地の銀行の評価額はせいぜい1億円程度です。このままでは、追加融資は受けられない…
配偶者に全財産を渡すときの「遺言書」の書き方とは?
配偶者にすべての財産を与える場合の文例とは?子供はいないものの、配偶者以外に相続人が現れるようなケースがあります。例えば、両親が存命だったり、兄弟姉妹がいるような場合です。このようなケースで、配偶者にすべての財産を与えたいのであれば、遺言書にその旨を記しておくことが必要となるでしょう。例えば、夫婦間に子供がなく夫の親はすでに死亡しているが、夫には兄弟姉妹が2人いるような場合には、次のような遺言書を作成すればよいでしょう。 【文例】遺言者…
相続時精算課税のメリットと「届け出」を忘れた際の対応法
効果的な節税ができる相続時精算課税制度だが・・・<事例7>父親は94歳でいたって健康。父親の相続人には子3名がいます。父親は地方都市に2000万円の土地を所有しており、相続人となる子3名もこの地方都市に住んでいます。 子のうち長男が代表を務める会社の顧問税理士に、相続について相談したところ、相続時精算課税制度が使えるので、遺言書により土地を移転させなくとも、現在、贈与しても税金はかからないと聞き、顧問税理士から司法書士を紹介してもらい、父親から…
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