1
生命保険を活用して相続トラブルを回避する方法
財産を渡せない代わりに生命保険を利用すれば・・・前回は、相続財産の一部に不良資産を含む相続時の問題点をあげました。今回は、その解決策について見ていきます。 ●解決策 生命保険を契約し、保険金受取人を次女にする争いを予防するために次女へ残す財産について考えることにしました。函館の土地は売却できても大した価値にならないことはわかっており、また、自宅の土地は今後の居住地の確保のためにも長女に相続させたいという希望があったので、それ以外で何かを…
円満相続のカギとなる「スマートノート」の活用法とは?
スマートノートの活用で相続への安心感が得られる!? 翌日、朝食を終えると源太郎はリビングテーブルに「スマートノート」を広げた。仕事を離れて以来、書き物をするのは久しぶりだ。 「病気や事故に遭った時の連絡先は一美や一太郎でいいよな?」 最初のうちは特に考えることもなく、埋めやすい項目だけを書き進めた。財産については先日簡易チェックシートを書いたので覚えている。幸い借金はないし誰かの保証人にもなってない。 由井からは財産のことだけでも、家族に…
相続に備えて生前に実施したい「六つの対策」とは?
家族信託、遺言書作成・・・状況に応じて対策を 自分の相続について考えるだけでもどうすればいいのかまとまらないのに、美千子の相続についても一緒に考えなければならないとは。相続とはなんと難しいものなのだ・・・腕組みして考え込む源太郎に、由井が声をかけた。 「大丈夫ですよ、亀山さん。簡単に言えばやることは六つしかありませんので」 そう言うと由井はホワイトボードに大きな字で書き始めた。 ①相続人全員が納得するよう公平に分割する②自宅や自社株など…
相続財産から控除できる「葬儀費用」の範囲とは?
通常のお通夜、葬儀の費用やお布施は控除が可能 「お墓は生前に用意しようと思うのですが、葬儀費用のことが心配で・・・」 美千子が訊ねた。 「その分は課税される時に控除されるのでしょうか?」 「はい。相続では被相続人が所有していた財産だけでなく、借金や未納の税金などの債務も相続することになります。これらの債務は、相続財産から控除することができます。葬儀にかかった費用も、この債務として相続財産から控除することが可能です」 「でも実際にお葬式と…
不良資産がある場合に「遺産分割」で生じる問題点とは?
売却できずに固定資産税だけを払い続ける不良資産前回に引き続き、騙されて使い道のない土地を保有してしまったケースの相続時の問題点について見ていきます。 ●問題点1 原野商法による土地の購入相続対策として財産の調査をしていると、使い道のない土地を所有しているケースというのはよくあることですが、中にはLさんのように「原野商法」にひっかかって価値のない土地を買わされたということもあります。原野商法とは、悪質な不動産業者などによる悪徳商法です。その…
妻の「へそくり」は相続税の課税対象となるのか?
ポイントとなるのは「へそくり」の原資 「私の方からも一つお聞きしていいですか?」 ふと表情をあらためて、由井が言った。 「簡易チェックシートを見ていて気になったのですが、奥様の財産はないのでしょうか?」「預金保障を考えて妻名義にしてある預金は現預金の中に入れていますが」 源太郎は答えた。 「そうではなく、いわゆる『へそくり』のことをお聞きしたいのです。ご主人がいる場所でお聞きするのは配慮に欠けると思われるかもしれませんが、へそくりは相続…
「売却すらできない土地」がもたらした相続問題とは?
納税資金の心配はないケースだったが・・・前回に引き続き、不動産の専門家が相続を円満に導いたケースを見ていきます。 【ケース6】Lさん・62歳/妻・子2人(長女、次女)土地の取り合いを生命保険の利用で未然に防いだLさんは62歳で、妻と長女夫婦と一緒に住んでいました。相続税が課せられるほどの財産ではないことは本人もわかっていましたが、知り合いの勧めということもあって、相続の相談に来ていただくことになりました。財産について確認すると、現在、長女夫婦…
葬儀や墓地費用などを含めた「老後資金」はいくらかかるのか?
病気・介護・葬儀・・・「老後資金」はいくら必要か? 源太郎はテーブルの上に広げた旅行雑誌に目を落とした。 「相続のことがすんだら、行ってみようよ」 ビールとつまみを運んできてくれた美千子に、「地中海周遊10日間プラン」のページを示す。 「ヨーロッパはお金がかかるから・・・」「いいじゃないか。たまにちょっとくらい贅沢しても生活に響くわけじゃなし」 退職金は一部を住宅ローンの返済に回したが、7割程度は残ったので貯金してある。他にファンドなども…
遺族間のトラブルを解決に導いた遺言書の「付言事項」とは?
営農と納税資金を考えれば次女への相続が最適前回は、「子供の1人だけに、財産のほとんどを占める農地を相続させたい」という相続時の問題点について説明しました。今回は、解決策について見ていきます。 ●解決策1 相続税額を考えて農地の相続先を決める最初に考えておくべきは、農地をどうすべきかを決めるということでした。農業を継がせたい人がいて継ぎたい人がいるわけですから、納税猶予のことを考えても、それはそのまま相続させた方がいいのは間違いありません。…
簡易診断シートと家族のアルバムが「円満相続」に役立つ理由
相続対策のスタートは「自分の財産を知ること」 たしかに相続については、慎重に考えなければならないことが山のようにありそうだ。由井の説明を聞いていてよくわかったが、どこから考え始めればよいのかわからない。相続対策のスタート地点はどこなのだろう? 源太郎が訊ねると、由井は一つづりのシートを取り出した。 「これは、うちで使っている簡易診断シートです。家族構成や財産の中身、その他のご希望などを書き入れていただくことでトラブルのリスクを診断し、効…
不平等な遺産分割が「骨肉の相続争い」を招いた事例
農地以外の財産が少ない点もネックに・・・前回に引き続き、千葉県で農家を営み、700坪の農地を子供の1人だけに相続させたいJさんの相続時の問題点について見ていきます。 ●問題点1 農地の相続先しか考えていないまず問題として感じたのは、Jさんが農地を次女に相続させることしか考えていなかったことです。Jさん自身も、長男として家業である農業を引き継いでから、艱難辛苦を経験しながらも、心血を注いで農地を守ることに尽力してきた経緯があります。それゆえ、今後…
相続財産に「マイナスの財産」が多く含まれていた場合の対処法
マイナスの財産を引き継がずに済む限定承認・相続放棄 「負債がある場合にはどうなりますか?」 この際気になることは全部訊いてやれというつもりで源太郎は訊ねた。 「いいところに気がつきましたね。相続財産には、通常プラスの財産が多いのですが、中には借金などのマイナスの財産が多いというケースもあります。被相続人から権利と義務を引き継ぐのが相続ですから、通常はプラスの財産のみならずマイナスの財産も引き継がねばなりません。しかし、『限定承認』や『相…
農地はすべて次女に・・・というケースで起きた相続問題とは?
農地はすべて1人の子に相続をさせたいが・・・前回に引き続き、不動産の専門家が相続を円満に導いたケースを見ていきます。 【ケース5】Jさん・72歳/妻・娘3人千葉県で農家を営むJさんは、先祖代々受け継いできた農地を守りながらも、一生懸命に働き、収益を生み出して土地を買い増し、700坪あまりの農地を所有していました。年齢が70歳を超えたある日、Jさんは家の中で転倒し、足を悪くしてしまいます。農業も思うようにできなくなってきたその頃、筆者は土地の売買の…
法定相続分の優先順位と課税対象になる相続財産とは?
「法定相続分」は本来、最も優先順位が低い分け方 「あの、一つ気になったんですけどよろしいですか?」 美千子が訊ねた。 「どうぞ。何でもお聞きください」 「法定相続人が財産をどう分けるかは法律で決まっているのでは・・・? たしか兄弟は平等に分けるようにって」 「民法の法定相続分のことですね」「ええ。配偶者が半分、残りを子供たちが平等に分けると何かで読んだことがあります」 そういえば、源太郎もそんな話をどこかで読んだか聞いたかしたことがあっ…
専門家でも間違える「事業用資産の買換え特例」の適用要件
不動産に詳しい税理士は意外に少ない!?前回は、東京都内に、本業のための倉庫として利用していた木造2階建ての建物とその敷地を持っていたIさんが、事業用の土地を買い換えする際に問題が発生したケースを紹介しました。今回は、その問題点と解決策について見ていきます。 ●問題点 事業用資産の買換え特例を知らない税理士事業用資産の買換え特例を適用する場合の要件にはいくつかありますが、簡単にまとめると、「売却する資産と買い換える資産がともに国内にあること…
相続トラブル回避のために知っておきたい「相続の基本知識」
民法で相続の権利を定められている「法定相続人」 「はじめて聞くお話ばかりで、正直目が回りそうです」 熱心にメモをとっていた美千子がため息をついた。 「わかります。一般の方にとって相続と直面するのは一生で一、二回のことですし、法律面も複雑ですからね。それではまず相続の基本からご説明していきましょう」 由井が立ち上がり、応接室の片隅置いてあったホワイトボードを源太郎と美千子の正面に移動させた。 「まず相続で登場するのが『被相続人』と『相続人…
「事業用不動産の買換え特例」に関連して起きたトラブルとは?
事業用資産の売却益には20%強の課税が・・・前回に引き続き、不動産の専門家が相続を円満に導いたケースを見ていきます。 【ケース4】Iさん・70歳/子3人Iさんは東京都内に、本業のための倉庫として利用していた木造2階建ての建物とその敷地を持っていました。倉庫はかなり以前に建てられたもので、床が抜けるほど老朽化していました。そこでIさんは倉庫を取り壊し、土地を売却した代金で神奈川県内に賃貸不動産を買うことにしました。ただ、都内の土地の値段が高い…
「改正相続税法」によって課税対象はどれぐらい広がったのか?
「不公平感」が相続トラブルにつながる 事務員が運んできたコーヒーを一口飲んで、由井がふと訊ねた。 「亀山さんの住まいは持ち家ですか?」「ええ、そうですが・・・」 「サラリーマンのご家庭ということですから、失礼ですが家が最大の資産でそれ以外の預貯金や金融資産はそれほど多くはない?」「ええまあ」 源太郎はうなずいた。 「実はそういった財産構成だと、相続でトラブルが起きるリスクが高まります」「なぜでしょう?」 「現金や預貯金は分けられますが、…
第三者による遺言書の「改ざん」リスクを低減する方法
遺言書は封筒に入っていなくても無効にはならない<事例11>Aさんの夫が死亡しました。夫の両親はすでに他界し、Aさんとの間には子もいませんでした。Aさんは相続人は自分一人だと思っているのですが、ある日、被相続人の弟から、妻Aさんに対して相続分として500万円支払うようにとの要求があり、驚きます。 夫の財産には夫名義のマンション(時価2000万円)が含まれていました。その後、夫の自筆証書遺言が封筒に入っていない状態で発見されます。遺言書にはそのマンショ…
広大地評価の適用の可否を決めるポイントとは?
現地に足を運ばなければ広大地適用の判断はできない前回は、湘南にお住まいで1000㎡(300坪)にもなる広い駐車場を相続されることになった、Eさんの問題点として「広大地評価を知らない税理士」「広大地適用はハードルが高い」点をあげました。今回は、その解決策について見ていきます。 ●解決策 地道な現地調査によって、広大地適用が可能だと判明Eさんが広大地の適用を考えている駐車場は約1000㎡、容積率は200%だったので、原則の2つには該当している土地でした。た…
人気記事ランキング
2
実家から出たことのない年金月8万円・66歳息子、90代両親のお金で遊び暮らしていたが…銀行からの〈まさかの宣告〉に唇を噛み、「父の死を待つほかない」【FPの解説】
3
老後の希望を失いました…年金月27万円のはずが、64歳夫の急逝で〈遺族年金〉を足しても収入激減。遺された妻の絶望【FPの助言】
4
恐ろしい…「南向きのタワマン」で起きた、とんでもない事態
5
「親が亡くなったら、真っ先にコンビニへ走る」が新常識!相続手続きで困らないためにやるべき、たった一つのこと【税理士が解説】
1
実家から出たことのない年金月8万円・66歳息子、90代両親のお金で遊び暮らしていたが…銀行からの〈まさかの宣告〉に唇を噛み、「父の死を待つほかない」【FPの解説】
2
年金夫婦で「月31万円」だったが、73歳夫の死去で「遺族年金」を足しても年金激減、さらに「老人ホーム月額費」にも暗雲、妻「これからどう生きていけば」
3
45歳「月収40万円」の夫急死も、年金事務所「遺族年金は支給できません」に妻、撃沈…その後、収入減でも「やっぱり遺族年金は支給できません」に再び撃沈
4
65歳で月17万円だったが…「年金が増えますよ!」にノリノリの夫が74歳で急逝、「遺族年金額」を知って声を荒げる妻「年金の繰下げなんて意味ないじゃない!」
5
年金の繰下げ受給なんてしなきゃよかった…年金「月28万円」を受け取る72歳・男性、自らの選択を後悔したワケ【CFPが解説】
1
やっちまった…60歳の無職男性、資産家の90歳父から受け取った遺産1億円を「わずか2年で」失ったワケ【CFPの助言】
2
年110万円以内は非課税のはずだが…愛する孫に毎年100万円の贈与を続けた82歳女性、税務調査で〈多額の追徴課税〉に「何かの間違いでは」【税理士が警告】
3
定年後もケチケチ暮らす年金12万円、質素堅実な元高収入サラリーマン…60歳の定年からまもなく「老後資金4,000万円」を使い切ったワケ【FPの助言】
4
実家から出たことのない年金月8万円・66歳息子、90代両親のお金で遊び暮らしていたが…銀行からの〈まさかの宣告〉に唇を噛み、「父の死を待つほかない」【FPの解説】
5
大手企業40代サラリーマン、ようやく課長に昇進し〈年収1,000万円超〉に到達したが…給与を思わず二度見「この手取り額、なにかの間違いでは?」
メルマガ会員登録者の
ご案内
メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。
メルマガ登録会員向けセミナーの一覧
- 04/20 「相続手続き」完全マスター講座~相続人調査、財産調査、遺産分割協議~
- 04/20 どうなる相続税対策?今年(令和6年)施行された「暦年贈与制度」「相続時精算課税制度」「区分マンションの相続税評価」改正のおさらい&活用方法を一挙解説
- 04/21 認知症対策には絶対的な効果!金融資産家のための「民事信託」を活用した資産承継方法
- 04/21 いま「日本の不動産」が世界から注目される理由
- 04/23 子ども?孫?その他?「誰に贈与するか」で考える 最も効果的な“相続税対策”
- 04/24 ~富裕層のファミリーガバナンス~ 相続問題、夫婦の資産管理、家族経営の問題… 家族関係を意識した「資産管理・保全・防衛策」
- 04/24 プライベートアセット、ヘッジファンド、コモディティ…世界の富裕層が「オルタナティブ投資」を活用する理由
- 04/24 遺言はどう書く?どう読む?弁護士が解説する「遺言」セミナー<実務編>
- 04/25 業者がうたう“表面利回り”を鵜吞みにするな!あらゆる事態を想定した「不動産投資の収支」大研究
- 04/25 ある60代の“企業オーナーの財産戦略デザイン”事例で解説 「無理な節税」を回避し、会社・個人・家族の財産を増やす方法
- 会員向けセミナーの一覧