特集 法人の税金対策&財務改善

法人の税金対策&財務改善

同業種で同レベルの売り上げを上げていたとしても、会社の「儲け」については大きく異なってくるケースが少なくない。その要因はもちろん様々だが、「税金対策」と「財務改善」に対する経営者自身の意識と知識、そして実行力が高ければ高いほど、より「儲かる会社」になっているのではないだろうか。そこで本特集では、法人の税金対策と財務改善にスポットを当て、具体的な手法を含めて各種のアイデア、ノウハウをご紹介する。

当期純利益率、総資産回転率、財務レバレッジの見方とは?
佐藤 英志
株主の投資効率を上げるにはレバレッジも必要前回触れた当期純利益率、総資産回転率、財務レバレッジについて、ひとつひとつ細かく見ていってみよう。 当期純利益率とは、売上高等の収益から原価や経費を差し引いて最終的に残る純利益が、売上高の何%に当たるのかをみるものだ。この数字が高ければ高いほど、利幅の高いビジネスをしていることになる。総資産回転率とは、総資産をどのくらい活用して売上を上げているのかをみるものだ。 そして財務レバレッジとは、総資産…
「お金を使う節税」を成功させる鉄則とは?
関根 威
利益の絶対額が足りないから「資金繰り」に忙殺される会社がお金を増やす方法は、基本的に以下の3つしかありません。 A 金融機関等から借り入れをする(負債増)B 投資家を募って増資をする(資本金増)C 事業で利益を出す(自己資本増) もう一度、貸借対照表(下図表)を見てみましょう。 [図表]貸借対照表会社がお金を増やすとは、左側の①資産の現金を増やすことです。前回説明したように、貸借対照表はバランスシートですから、左側の現金を増や…
企業財務の改善を図る目標値として「ROE」を選ぶ理由
佐藤 英志
「儲かっている会社」しか投資家は振り向かない企業には、投資家、債権者、顧客、取引先など、多くのステークホルダーが存在する。ではステークホルダー、特に金融機関や投資家から高い評価を受ける会社とはどのような会社なのか。法令を遵守する、社会的な責務をまっとうするなどといった基本はもちろんだが、ステークホルダーが重視しているのが財務諸表の内容であることは間違いない。数字の面で“良い会社”、つまり儲かっている会社でなければ、百戦錬磨の金融機関や投…
貸借対照表を「面積図」にして視覚的に内容を把握する方法
関根 威
「30%以上」が中小企業の自己資本比率の目標値貸借対照表は、損益計算書のように「いつからいつまで」といった期間の概念はなく、ある一定時点(通常は決算期末)で、会社にどんな資産(財産やお金をもらえる権利など)がいくらあって、その資産を所有するために、どこからお金をひっぱってきたかを表しています。 要は、損益計算書で利益を出すために、会社を設立してから今日まで、どんな資産に投下して、その投下した資産は、どこからお金を調達…
法人に利益を残すほうが結果的に節税となる理由とは?
小川 正人
今後も引き下げ傾向にある法人税の税率これまで日本の法人税の税率は、世界的に見ても非常に高率であるというイメージがありました。そのため、企業経営者の多くは自身や親族に対して役員報酬・給与を多く支給することで、法人税の節税に努めてきました。「会社に利益を残して高額の法人税を取られるくらいなら、自分たちの取り分を多くして所得税で支払う方がましだ」という考えからです。 実際、法人税と所得税の損得勘定をすれば、会社から個人に利益を移してしまう方が…
社長が知っておくべき「キャッシュフロー」の概念とは?
関根 威
損益計算書には「借金の返済額」がのってこない最近世の中では、キャッシュフロー経営が盛んに叫ばれていますが、私にはなぜそんなに騒がれているのかよくわかりません。また、会社は黒字でも、お金が回らなくなって「黒字倒産」することもあるから、これからはキャッシュフロー経営、などと専門家は言いますが、これも本当かどうかはわかりません。 黒字倒産というのは、損益計算書で利益は計上しているけれど、資金繰りがつかなくなって倒産…
多くの資金を手元に残すための「お金を使わない」節税法とは?
小川 正人
その節税対策で本当に手元に資金が残ったのか?節税の本来の目的は何かといえば、税金を払いすぎないようにすること、つまりは税金を合法的に節約することによって、できるだけ多くの資金を手元に残すことのはずです。しかし、いわゆる節税対策といわれているものの中には、それを行うことによって逆に資金が出ていく結果となっているものもあります。生命保険を使った節税策はまさにその典型例といえるでしょう。 保険に入ったからといって、必ずしも税金がゼロになるわけ…
「社長の給料」と「経常利益」はどのように考えるべきなのか?
関根 威
社長は最低「月100万~150万円」の報酬はとるべき失われた20年と言われる日本経済において、この間、一番損をしたのは中小企業の社長ではないかと思います。とにかく今、社長の給料は低すぎる。 理屈はありませんが、社長は最低、月100万〜150万円の報酬を堂々ととるべきであろうと思います。借金の個人保証をして、自宅まで担保に入れて経営するわけですから・・・。私の事務所の顧問先を調べてみたら、月100万以上とっている社長は、だいたい5人に1人…
国税庁レポートから納税者への「警告」を把握し、対応する方法
小川 正人
毎年取り上げられる「海外取引」への課税に注意税務対策を進めていくうえでは、国税庁のホームページで毎年公開されている「国税庁レポート」(年次報告書)に目を通しておくこともお勧めします。国税庁は、折りに触れて、税務に関する様々な課題や取組方針、各種施策に関する結果やその実施結果の評価・検証などについて報道発表やホームページなどを通じて納税者に伝えてきました。 「国税庁レポート」もその1つであり、国税庁の1年間の活動に関してわかりやすくまとめら…
社員一人当たりの「生産性」を徹底的に重視する理由
関根 威
生産性を上げる唯一の方法は「付加価値」を高めること私が、「社長として押さえておくべき数字で一番大切なことは何ですか?」と聞かれたら、迷わず「社員一人当たりの生産性です」と答えます。 社員一人当たりの生産性とは、売り上げから商品や材料の仕入れ、外注費などの変動費を引いた粗利益を社員の人数で割った数字です。言い換えれば、外で稼いだ利益を何人の社員で上げたのか、粗利益/社員数(役員含む)です。 なぜ、社員一人…
税務調査官が注視する、サービスを売る会社の「人件費」の漏れ
小川 正人
サービスを売る会社では「期ズレ」は問題にならない!?モノを売る商売の場合には、前回で説明したとおり、在庫の動きや納品日などを通して、売上の計上時期がわかりやすく、税務署の立場からみれば比較的、期ズレを指摘しやすいことになります。しかし、モノではなく、税理士や修理業のように、形のないサービスを提供する商売の場合には、売上の計上時期を明確にしにくいところがあります。 たとえば、修理をいつ終えたのかが問題となる場合に、具体的には3月31日なのか4月…
損益計算書から見る「新商品・新業態の開発」が必要な理由
関根 威
「販売数量」を上げる方法は業態を問わず3つ売り上げは、誰が何と言おうと「値段×数量」ですから、同じ固定費なら、値段が高いか、販売数量が多い会社が儲かります。数量を上げる方法は、次の3つしかありません。 ①繰り返し買ってもらう②一度にたくさん買ってもらう③新規のお客さまに買ってもらう 業種業態問わず、数量を上げる方法は、この3つ以外にはありません。 ①繰り返し買ってもらう・・・既存顧客が離れないための商品やサービスの…
税務調査官が疑いの目を向ける「決算書のズレ」とは?
小川 正人
特に厳しくチェックされる「売上」「原価」「人件費」税務調査対策としては、調査官が決算書の中で具体的にどのような点に疑いの目を向けるのかを把握しておくことも大切になります。まず、連載第2回で触れたKSKシステムに関する説明のように、いわゆる“異常値”については、真っ先にチェックします。 その他には、売上、原価、人件費が主たるチェック対象となります。まず、この3つの科目については、漏れがないか、架空計上がないかを厳しく見られることを覚悟しておき…
社長として絶対に押さえておくべき「損益計算書」の見方とは?
関根 威
損益計算書は「アウトライン」で見る損益計算書とは、会社の1年間の業績を表します。3月決算の会社は、毎年4月1日から3月31日までの売り上げや経費を集計した表ですから、翌年の4月1日には、売り上げも経費もゼロから始まります。 まず、あなたの会社の決算書の損益計算書を見てください。一番金額の大きい売上高は1行だけ、多くても3行程度でしょう。それに比べて費用のほうは、金額の大小に関係なく20行も30行も勘定科目があることに気づかれ…
税務調査の「事前資料」や「申告書」に関する留意点とは?
小川 正人
税務調査は「長引くほど有利」と考えれば・・・前回に引き続き、税務調査に関する「誤解」について見ていきます。 【誤解3 事前資料はすべて完璧に準備しておくべき】税務調査が入るときに、事前の準備として資料をきちんと整備しておくことは、調べる側、調べられる側双方にとって、やり取りをスムーズに進められるというメリットがあります。しかし、前回述べたように、税務調査は長引かせれば長引かせるほど有利になります。そのためには、むしろ資料を巡るやり取りが…
お客さまの満足と社員の満足――社長にはどちらが大事なのか?
関根 威
経営では様々な「矛盾」に直面するが・・・お客さまの満足と社員の満足――お客さまの満足を満たすには、社員が手間ひまかけて、努力して、いいサービスを提供しなければならない。それでは、社員はいつまで経っても満足できないのか? お客さまの満足と社員の満足、どっちが先なのか? 利益追求と社会貢献――会社は社会の公器だから、社会に何らかの貢献をしなければならない。でも、利益が出なければ潰れてしまうし、給料だって払えない。…
社長に必要な「非常識」と「常識」とは何か?
関根 威
非常識な社長が「我慢する器」を持てば鬼に金棒!?社長という人種は、生まれつきか環境がそうさせたかは定かではありませんが、非常識な方が多いように思います。 「オレが、オレが」という我が強く傲慢な方、自分の話ばかりして人の話をまったく聞かない方、周りに人が大勢いるのに、全然気にせず大声でしゃべる方、ゴルフで自分が打ち終わるとさっさと先に行ってしまうせっかちな方。だいたい私がセカンドショットを打とうとすると、…
経営者として正しておくべき税務調査に関する「誤解」とは?
小川 正人
税務調査は長引かせたほうが効果的な場合もある税務調査については様々な誤解が流布しています。不適切な誤解に基づいて間違った対策を行ってしまったために、いたずらに不利益な状況を招いているケースも見られます。そうした事態を避けるためには、税務調査に関する誤解を改めておくことが必要となるでしょう。 以下、多くの経営者が陥りがちな誤解を例にとり、誤解を正したうえでどのような対策を行うべきかについて順に解説していきましょう。 【誤解1 税務調査はと…
税務調査官との「駆け引き」に備える方法とは?
小川 正人
調査官とのやり取りを録音して「論点」を明確にする税務調査では、調査官との“駆け引き”が必要となることもあるかもしれません。すなわち、具体的な状況次第ですが、調査官の裏をかくようなことを行わなければならないこともあるかもしれません。 たとえば、「申告に税法違反がある」という調査官からの指摘に納得できない場合には、効果的な反論を試みなければなりません。そのためには、何を論点としているのかを明確にしなければなりません。論点がぼやけたままだと、…
中小企業で「優秀な人材」を集めるための社長の心構えとは?
関根 威
社長の関心と行動の焦点が向かうべき先とは?社長とは事業を経営する人である。では、事業とはいったい何なのか? 事業の本質は、市場活動である。市場とはマーケットである。マーケットにはお客さまと競争相手がいる。だから、お客さまを競争相手と、とりっこする。これが事業の経営である。 創業者である社長の息子が二代目社長に就任すると、だいたい最初にやることは、組織改革や給与規定の見直し、社員教育です。身に覚えはありませんか? …

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