(※写真はイメージです/PIXTA)

相続は、感謝と同時に複雑な感情が交錯する場面でもあります。多くの人が経験する現代において、その難しさは決して他人事ではありません。本記事では、田中姉妹の事例とともに相続の実情を合同会社エミタメの代表を務めるFPの三原由紀氏が解説します。※相談事例は本人の許諾を得てプライバシーのため一部脚色しています。

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姉は経済援助、妹は身体介助…母の介護で役割分担

田中貴和子さん(仮名/65歳)は責任感の強い長女です。短大卒業後に就職し、特別支給の老齢厚生年金がもらえる62歳までは、と奮起して正社員として働きました。現在は退職金500万円を取り崩しながら、月12万5,000円(年額150万円)の年金生活を送っています。それまでは主に金銭面で母の介護生活を支えてきました。

 

一方、妹の美樹子さん(仮名/63歳)は実家で母の身体介助や家事、見守りなどの日常的な介護を担当していました。パート勤務が長かった美樹子さんの年金見込額は月8万5,000円(年額102万円)と少なく、将来の生活に不安を抱えていました。母の年金(遺族年金含む)は月12万円、これに美樹子さんのパート収入10万円を加えてなんとか家計を支えていた状況でした。デイサービスを利用しながら時間を捻出し、仕事と介護の両立に奮闘してきたのです。

 

母は10年前に脳梗塞を発症し、軽い後遺症で済んでいたものの、再発。自宅での生活が徐々に困難となり、最後の2年間は介護施設に入所しました。美樹子さんは母の年金に頼れなくなったこともあり勤務時間を増やして働くようになりました。

 

当時、母の貯金は1,500万円ほどありました。「最後まで絶対手をつけないこと。世話になった娘たちに遺してやりたい」と記したノートと通帳を美樹子さんが母の部屋で見つけていたのです。そのノートには、自身の将来に備え、なるべく固定費が安い施設もいくつかリストアップされていました。姉妹は母の意思を尊重し、リストの中から施設を選び、入所手続きを進めました。

 

姉妹はそれまで、金銭面のサポートを貴和子さん、日常の介護を美樹子さんが担当する形で協力して乗り越えてきたつもりでした。年金だけでは厳しいであろう生活のなかで、母からの遺産が少しでも老後のゆとりになればと両者とも期待していました。しかし、美樹子さんの心境はいつしか変わっていたようです。

 

四十九日の法要を終え、貴和子さんは「やっとここまできたか、という感じだね」と微笑みます。美樹子さんも微笑み返しますが、その表情は浮かない様子です。母の死が相当に堪えているのかとそっとしておきました。

 

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