前回までは、儲けるために必要な「社長の姿勢」について解説しました。今回からは、社長が知っておくべき「数字」について見ていきます。

損益計算書は「アウトライン」で見る

損益計算書とは、会社の1年間の業績を表します。3月決算の会社は、毎年4月1日から3月31日までの売り上げや経費を集計した表ですから、翌年の4月1日には、売り上げも経費もゼロから始まります。

 

まず、あなたの会社の決算書の損益計算書を見てください。一番金額の大きい売上高は1行だけ、多くても3行程度でしょう。それに比べて費用のほうは、金額の大小に関係なく20行も30行も勘定科目があることに気づかれると思います。

 

会計というのはまったく不思議なのですが、一番金額が大きくて、一番大切な売上高をひとくくりにしてしまって、支出として出ていくほうの費用を一生懸命細分化しています。

 

人間というのは、項目数の多いほうに自然と注意を引かれますから、全体の数字からすれば、1%にも満たない項目にばかり目がいってしまい、儲からない根本原因を野放しにしてしまうという現象が起きるわけです。損益計算書はまず、下記の図表のようにアウトラインで見るクセをつけなければいけません。

 

[図表]変動損益計算書

まずは固定費と変動費に分類

まず、費用のうち、売上高が倍になったら基本的に倍になるような費用を変動費(商品の仕入れや材料の仕入れ、外注費、製造業の工場消耗品など)、それ以外の費用を固定費(大きく人件費とその他の固定費)に分類します。

 

売上高から変動費を差し引いた金額を粗利益(限界利益ともいう)といいますが、粗利益から人件費、その他の固定費を払いますから、残れば黒字、残らなければ赤字というわけです。

本連載は、2014年2月27日刊行の書籍『低成長時代に業績を伸ばす社長の条件 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

低成長時代に業績を伸ばす 社長の条件

低成長時代に業績を伸ばす 社長の条件

関根 威

幻冬舎メディアコンサルティング

バブル崩壊以降、日本経済は長期的な低迷を続けています。いまや日本企業の75%が法人税を払っていないのが現状です。このような低成長時代には、経営者は何を心がければいいのでしょうか――。 本書では、外部コンサルタント…

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