特集 法人の税金対策&財務改善

法人の税金対策&財務改善

同業種で同レベルの売り上げを上げていたとしても、会社の「儲け」については大きく異なってくるケースが少なくない。その要因はもちろん様々だが、「税金対策」と「財務改善」に対する経営者自身の意識と知識、そして実行力が高ければ高いほど、より「儲かる会社」になっているのではないだろうか。そこで本特集では、法人の税金対策と財務改善にスポットを当て、具体的な手法を含めて各種のアイデア、ノウハウをご紹介する。

狙い目は「U・I・Jターン層」…地方企業が「地域外採用」に力を入れるべき、これだけの理由
渡邉 崇
U・I・Jターン層が地域に定着する人材の獲得につながるU・I・Jターン採用のメリットの1つは、地元への定着を視野に入れた人材を獲得できることです。U・I・Jターン層は、一度は都市部で暮らしながらも、地方への就職・転職を希望しているという特徴があります。 とくにUターン人材は、生まれ育った地域で家族や友人たちに囲まれ、安心して働ける環境が手に入るため、長期的な定着が見込めることが、企業側のメリットになり得ます。 また、東京などの都市部で働いていた経…
安定して働くことが難しいと思われがちだが…〈育児・介護従事者〉を企業が採用する「メリット」と「注意点」
渡邉 崇
育児・介護中の人には業務の効率化で生産性アップ育児・介護と家事を両立する人たちは、さまざまな作業を日々効率的にこなしているケースが少なくありません。 複数の作業を同時並行、あるいは短時間で切り替えながら同時進行するマルチタスクにたけているため、仕事でも効率的に作業を行うことができます。限られた時間で優れたコストパフォーマンスを発揮してくれる点は、育児・介護層を採用するメリットといえます。採用する際の注意点①:多様な働き方を取り入れる育児…
新しい風を巻き起こすチャンスにも!…企業の成長のカギを握る〈高齢者〉の労働力を活かす方法
渡邉 崇
高齢者には、これまでの経験や技術を自社で活かしてもらう高齢者の労働力は、本人がどのような働き方を希望しているかにもよりますが、企業にとってはさまざまな活かし方ができます。 高齢者に特徴的なのは、 「スキルや経験を活かしたい」と思っている人が多い反面、実態としては軽作業や単純作業に就いているケースが多いことです。 単純な労働力として高齢者を採用することも1つの方法ではありますが、採用によって企業の生産性を高めていくのであれば、彼らが持つ経験…
〈採用難〉に陥りがちな中小企業がついやってしまう「失敗」の共通項とは?
渡邉 崇
採用に失敗する中小企業の共通点これまでさまざまな企業の採用をサポートするなかで、採用難に陥る中小企業に共通点があることに気づきました。それは、大手企業が狙う「就職強者」を、大手企業と同じアプローチで獲得しようとしていることです。「就職強者」とは、次のような特徴を備えた人材です。  新卒、第2新卒など30歳くらいまでの若い世代 有名大学卒などの高学歴 コミュニケーション能力が高い 周囲の人を巻き込む力がある 打たれ強く、少々のことでは諦めない 指…
止まらない「人材不足」で〈採用戦国時代〉が到来する…中小企業を苦しめる、大手企業の”絆採用”とは?
渡邉 崇
「まさか、あの会社が?」多くの企業が人手不足に悩む日本国内の生産年齢人口の減少に伴い、企業の採用はますます厳しくなっています。帝国データバンクが大企業1,704社、中小企業9,404社を対象に、2023年4月に行った動向調査によると、「従業員が不足している」と感じる企業は全体の51.4%を占めていることが分かりました。このような人手不足に対して企業ではさまざまな対策を講じています。 国内小売業の大手・イオングループ系列のイオンモール株式会社が、新卒3年以内…
戦略的経営の味方となる「会計パートナー」の選び方
真下 和男
弁護士とタッグを組むなど、法律面にも強いことが重要今回は本連載のまとめとして、戦略的経営の強い味方となり得る会計パートナーの選び方について述べさせていただきます。頼れる会計パートナーの条件を私なりに5つ挙げてみました。会計事務所に協力を頼みたい、顧問契約をしたいというとき、参考にしてください。 ●複数の職業会計人がいること 職業会計人1人でやっているより、複数の職業会計人が集まっている会計事務所のほうが安心です。たくさんの目で何重にもチ…
決算書作成にあたっての「監査法人」との付き合い方
佐藤 英志
監査法人とのコミュニケーションがなぜ重要なのか?決算書の作成にあたっての、監査法人との交渉もCFOの重要な役割だ。近年、内部統制やコンプライアンスの強化を求める声が高まる中、監査法人の姿勢はますます厳格化している。過去に甘い決算を認めていた同じ監査法人が、掌を返したように辛い決算を指示するケースも多い。 たとえば、監査法人から期末になって、予期せぬ引当計上や、それによって下がる当期純利益、場合によっては赤字を前提に繰延税金資産の取り崩しを…
各種の「法改正」を乗り切り、ライバル企業に差をつける方法
真下 和男
相続税の増税でM&Aが困難になるケースも増えている本連載では、会社法の改正と民法の改正について話をしてきましたが、企業に影響を及ぼす可能性のある法改正は他にもあります。たとえば、相続税の増税です。 相続税が増税になったことで、事業継承が困難になるケースが増えてきています。会社の土地、建物の権利移転はもとより、後継者への自社株の移転をどうするかは大きな問題です。内部留保の多い会社ほど自社株の評価は高くなり、移転しようとするときに多額のキャッ…
「債権法の民法改正案」で予想される企業への影響とは?
真下 和男
契約時の「金利の取り決め」がより重要に今回からは、民法の改正に話を移します。日本政府は2015年3月31日、債権法の民法改正案を閣議決定しました。これによって契約にまつわるルールが変わります。契約は企業にとって重要なものですから、改正点をきちんと理解しておく必要があるでしょう。 民法改正のポイントをまとめると、主に3つあります。 ①法定利率の引き下げ、変動制の導入 金銭賃借などの契約で当事者同士が特に利率を決めなかった場合、「法定利率」が…
予算と業績予想の策定、期中モニタリングの進め方とは?
佐藤 英志
予算策定を「絵に描いた餅」にしないために・・・上場企業は、各決算期末から45日以内に終了した期の決算短信を作成し、公表する。また、本決算期末には、短信のみならず、3カ月以内に有価証券報告書を作成する義務が課せられているほか、会社法上の開示書類もあわせて作成の上、株主総会の承認を受けなければならず、また、税務当局に提出する確定申告書の提出義務も負っている。 このように、CFOという役職からイメージされるもののひとつが、決算時に「過去」の実績をま…
中小企業経営者が注意すべき「改正会社法」の4つのポイント
真下 和男
グループ会社の連帯が重要となる「多重代表訴訟制度」会社法が新しくなって初めてとなる今回の改正は、特に気をつけたい点が4つあります。 ①多重代表訴訟制度が新設された 今回の改正で最も注目されているトピックがこれです。多重代表訴訟制度とは、親会社の株主が子会社の役員の責任について株主代表訴訟ができる制度のことです。100%出資子会社がある会社や資産管理会社がある場合には、少し注意が必要です。 中小企業でも株式が多数の株主に分散し、会社の実権…
企業成長を持続させるためのB/S、P/Lの「カイゼン」方法
佐藤 英志
好調なときこそ実行するB/S、P/Lのカイゼントヨタ自動車の例を引くまでもなく、B/S、P/Lの継続的なカイゼンは、企業が持続的な成長を遂げるために必要な条件のひとつと言える。慢心が転落のきっかけを作るということは歴史が証明している。加えて、好調なときのほうが、余裕がある分“ できること” も多い。最新鋭の省力機械を導入して生産効率を大幅に引き上げ、原価率を下げるなどという施策は、好調なとき、余裕があるときにしか実行できない。 好調なとき、あるい…
中小企業の経営に影響する「会社法」の改正を乗り切る方法
真下 和男
傷害死亡保険金を4社から勝ち取ったケース前回に引き続き、税と法律に関わる成功例を紹介します。今回は、会社経営とは関係しませんが、税と法の間で、保険金を勝ち取った例を見ていきます。 ある日、私の事務所に突然、女性の訪問者がありました。相談の内容が法律と相続に関わることだったので、弁護士である妻と私で話を聞きました。 オーストラリアのパースの広大な自然公園で、日射病で死亡した兄について、損害保険会社が死亡保険金の支払に応じないとのことでした…
株式・社債の発行時に必要となる「コスト」の感覚とは?
佐藤 英志
資金調達においては「負債と資本のバランス」が重要株式は債券と違って償還の必要がない。つまり返済の必要がない。しかし、無節操に発行していいというわけではない。発行しすぎて流通する株数が増えると、1株あたりの利益が希薄化してしまう。したがって、公募増資で集めた資金を有効に使い、会社が稼ぎだす利益の増加割合が、希薄化割合を1〜2年以内に上回ることが確実でなければ、公募による新株発行は難しい。とはいえ、借金である社債と異なり、株式による資金調達は…
失敗・成功事例に見る税務申告のポイントとは?
真下 和男
「個人借入の計上」に関する失敗談・・・筆者の事務所では、妻が弁護士を務めています。各種の税法上の問題や株主間のトラブル、相続関係の問題など法律に関わる問題解決のワンポイント事務所として、クライアントに期待されていたことは事実ですし、それだけの成果もあげてきました。 クライアントではありませんでしたが、あるガソリンスタンドの経営者から相談を受けたことがありました。 数店舗のガソリンスタンドを経営する、やや遠隔地の社長が、1店を支店長に任せ…
改めて把握しておきたい「直接金融」と「間接金融」の違い
佐藤 英志
融資利用の意思決定に必要な「経営者の視点」なぜ金融機関は、戦略の実行に齟齬をきたすような、長期借入金から短期借入金への切り替えを許すのか。それは、返済期限がこまめに到来する短期のほうが、企業に対してイニシアティブをとりやすいからである。逆に、短期から長期への切り替えにはなかなか応じてもらえないのが普通だ。したがって、キャッシュフローを生むまで相応の時間がかかるような設備投資資金を調達する際には、安易に「とりあえず短期であとから長期に切り…
納めすぎた税金を取り戻せる「国税不服申立制度」とは?
真下 和男
制度改正で使いやすくなった「国税不服申立制度」今回は、「国税不服申立制度」についてお話ししておきます。税務署の課税処分に納得できないときや、納税した額に不服があるときは、国に対して異議を唱え、不服申立てをすることができます。国税側の誤りが認められれば、課税額が修正されたり、納め過ぎた税金が戻ってきたりします。 ただし、「いざとなったら不服申立てをすればいい」という考え方ではなく、企業も税理士も不服申立てをしなくて済むように日頃から取り組…
効率的かつ効果的な「資金調達」の進め方とは?
佐藤 英志
金融機関が見るのは「資金使途」と「返済原資」意思決定した戦略を実行に移すにあたって、効率的かつ効果的に資金を調達することもCFOの重要な役割である。 資金調達には間接金融による調達(金融機関からの借入れ:デットファイナンス)と、直接金融による調達(資本市場からの調達:エクイティファイナンス)がある。間接金融、つまり金融機関借入れは、金融機関との間で金銭消費貸借契約書を締結するだけなので、企業にとって最もポピュラーであり、かつ手間暇のかから…
「納税」をする企業ほど資産が増えていく理由
真下 和男
納税を多くする会社は外からの信頼が厚くなるある程度の規模の会社になってくれば、節税ばかりを追求するのではなく、後者の「純資産重視」タイプに切り替えていくことを考えるべきだと思います。 これまで多くの企業のアドバイザーやコンサルタントをしてきた経験からいえるのは、過度に税金を怖がらないで、「法人税はコスト」と割り切った会社のほうが経営上もうまくいっている例が多いということです。 たとえば、こんな例がありました。ある中小規模の会社で、社長が…
新規事業参入における「CFO」の役割とは?
佐藤 英志
B/SとP/L作成によるシミュレーションがやはり有効同じ手法は新規事業への参入を判断する場合にも有効だ。会社が持続的に成長をしてく上で、既存事業の衰退リスクは常に意識していなければならない。現在の基幹事業に衰退リスクがあるのであれば、そのリスクをカバーするために、新規事業への参入も検討すべきだろう。最も参入しやすいのは、既存事業のノウハウや販路を活かせる事業であることは言うまでもない。販売計画が立てやすく、業界事情もわかっているので、将来の…

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