高齢者には、これまでの経験や技術を自社で活かしてもらう
高齢者の労働力は、本人がどのような働き方を希望しているかにもよりますが、企業にとってはさまざまな活かし方ができます。
高齢者に特徴的なのは、 「スキルや経験を活かしたい」と思っている人が多い反面、実態としては軽作業や単純作業に就いているケースが多いことです。
単純な労働力として高齢者を採用することも1つの方法ではありますが、採用によって企業の生産性を高めていくのであれば、彼らが持つ経験や技術を即戦力として活かす方法を考える必要があります。
経験は、例えば、前職でのマネジメントスキルを活かすことができます。企業を成長させていくためにはチームや部署などを束ねる人が不可欠で、このスキルは経験が浅い若い人にはないものの1つです。採用戦略としては、マネジメントのポストを用意し、新たなキャリア形成の機会を提供することで、活躍できる場をつくりだすことができます。
技術の面では、高齢者が前職で身につけたノウハウなどを自社に取り入れることができます。また、高齢者も自分が持つ技術を次の世代に継承したいと思っているケースが多いといえます。
技術職は、自分が持つ技術が自分自身の価値です。しかし、勤め先の企業の都合などにより技術を活かせる事業がなくなったり縮小したりすることもあり、居場所を失うことがあります。その場合、新たな技術を1から学び直さなければならず、その壁にぶつかって退職したり、転職したりするケースもあります。
近年は、DX(デジタルトランスフォーメーション)やAI活用が当たり前に変化していく未来社会に対応するために、中年以上の従業員を対象とするリスキリングに取り組む企業が増えています。リスキリングは、知識や技術の学び直しのことで、これは既存の従業員の価値を高めていくために効果的な取り組みといえます。
ただ、高齢になるほど新しいことを学ぶ意欲が低下します。学び直しを始めてもすぐに定年となるため、定年近くになってそのような転機が訪れると、それよりも自分がすでに持っている技術などを活かせる機会がないだろうかと考える人の割合が増えます。
前職では不要になった技術が、実は自社には必要な技術かもしれません。その可能性を探っていくと、高齢者が持つ技術が企業の成長を加速させる要因になることもあるでしょう。
また、マネジメントも技術も習得するためには時間がかかりますが、それらを持つ高齢者は即戦力となるため育成のための時間とコストを大幅に軽減できます。企業の成長の即効性という点では、若い人を採用するよりもベテランの高齢者を採用するほうが効率的であることも多いのです。
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