中小企業が陥りがちな「採用難」。大手企業と人材を取り合っても勝てない理由が3つある、と採用広告の制作ディレクターとして活躍する渡邉崇氏はいいます。渡邉氏の著書『不毛な人材獲得競争から脱却! 中小企業のための新しい採用戦略』(幻冬舎メディアコンサルティング)より、人材不足に陥る中小企業に共通するポイントとあわせて、詳しくみていきましょう。
採用に失敗する中小企業の共通点
これまでさまざまな企業の採用をサポートするなかで、採用難に陥る中小企業に共通点があることに気づきました。それは、大手企業が狙う「就職強者」を、大手企業と同じアプローチで獲得しようとしていることです。「就職強者」とは、次のような特徴を備えた人材です。
- 新卒、第2新卒など30歳くらいまでの若い世代
- 有名大学卒などの高学歴
- コミュニケーション能力が高い
- 周囲の人を巻き込む力がある
- 打たれ強く、少々のことでは諦めない
- 指示待ちの姿勢ではなく、自ら動ける
要は、私が中小企業の採用でおすすめする「就職弱者」とは対極に位置する人材です。誰もが欲しがる就職強者の獲得を、大手企業と中小企業が争っても勝負は目に見えています。
中小企業が大手企業と戦ってはいけない理由
中小企業が大手企業と戦って採用に苦戦する理由は、大きく「知名度」「条件面」「採用リソース」の3つに分けることができます。
①知名度
大手企業に比べ、中小企業が圧倒的に不利な点は知名度の低さです。求人サイトや人材紹介会社には、多くの企業が求人を掲載しています。
求職者からすると、テレビやインターネットなどのメディア広告、大規模な就職イベントなど、いろんな媒体に名前が出ている大手企業は、やはり認知度が非常に高いのです。 一方、中小企業はそういった媒体に広告を出す余裕がないケースがほとんどでしょう。
株式会社トランスヒューマン代表取締役
高校卒業後、パニック症候群に罹患し半年間の引きこもり生活を送る。その後はフリーターとして日雇いなどのアルバイト職を転々とし、1996年、株式会社リクルート入社。求人広告制作のアシスタントを経て、大手企業の人材採用戦略の策定、媒体の企画、各種コンテンツの制作ディレクション、ライティングに従事。2002年にフリーランスとして独立。仕事と両立しつつ法政大学文学部卒業、法政大学大学院政策科学研究科・修士課程修了。 大手企業を中心とした人材採用戦略、メディアコンテンツ実制作を担う一方で、大手人材斡旋企業で人材育成モデルの立ち上げ、地域振興シンポジウムの新しい企画などを実現。また、地域振興策をメディアプロデュースの立場から立案するなど、「人材流動化×地域振興」の可能性を探る。
大学図書館支援機構、日本航空高等学校静岡本部(現:中京高等学校)、誠恵高等学校、東京家政大学等、講演、特別企画授業の実績多数。2009年、前代表から声がかかり、会社設立プロジェクトに参画。 2011年、株式会社トランスヒューマン取締役、経営企画、メディアコンテンツ制作、地域活性事業を担当。2014年、代表取締役社長就任。ロシア科学アカデミー東洋学研究所派遣研究員(2012年)、法政大学地域研究センター・リサーチアソシエイト(2005~2013年)、地域活性学会会員(2009~2012年)
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