前回は、「債権法の民法改正」で企業が取るべき対策について紹介しました。今回は、各種の「法改正」にどう対応していけばよいのか、その基本的な考え方を見ていきます。

相続税の増税でM&Aが困難になるケースも増えている

本連載では、会社法の改正と民法の改正について話をしてきましたが、企業に影響を及ぼす可能性のある法改正は他にもあります。たとえば、相続税の増税です。

 

相続税が増税になったことで、事業継承が困難になるケースが増えてきています。会社の土地、建物の権利移転はもとより、後継者への自社株の移転をどうするかは大きな問題です。内部留保の多い会社ほど自社株の評価は高くなり、移転しようとするときに多額のキャッシュが必要になります。そのキャッシュをどこから用立てようかと四苦八苦している経営者が世間にはたくさんいます。

 

経営者は必ずどこかの場面で事業継承に真正面から向き合い、自社の将来を決めなくてはなりません。相続を待つか事業承継税制を利用するか、あるいはM&Aで他人に経営を譲るか、会社を閉じてしまうかも含めた選択に迫られることになります。そうしたシビアな場面で最善の道を選び取っていかなくてはなりません。

情報をいち早くキャッチし、対策を講じることが重要

また、法律というのは今後もいつどんな改正がされるか分かりません。まったく新しい法律が生まれることもあるでしょう。そうしたときに大事なことは、情報をいち早くキャッチし、先手を打って対策を講じることです。

 

日頃から新聞やニュースに目を通し、世の中の動きを見ましょう。今回の会社法の改正や民法の改正も随分以前から話題にはなっていました。具体的な改正の条文は閣議決定するまで分かりませんが、だいたいの方向性さえ読めれば、それに合わせた対策が練れます。

 

他の人が本格的にニュースになってから慌てて対応しているのを横目に、自分は法律の施行と同時に新しいやり方をスタートすることができるのです。また、他の人が付け焼刃の対策で躓いたり失敗したりしているときに、自分は熟考した万全の対策で着実に成果を積むことができるのです。移り変わりの激しい世の中で、誰よりも早いスタートダッシュを切ることは、とても大きな意味を持つはずです。

 

情報社会の今、正確な情報を持っている者が勝ちを掴みます。高くアンテナを伸ばし、広くネットワークを広げて、情報をキャッチすることを心がけていただければと思います。

 

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本連載は、2015年7月30日刊行の書籍『低成長時代を生き抜く中小企業経営9カ条』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

低成長時代を生き抜く 中小企業経営9カ条

低成長時代を生き抜く 中小企業経営9カ条

真下 和男

幻冬舎メディアコンサルティング

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