一度は都市部で暮らしながらも、地方への就職・転職を希望している「U・I・Jターン層」の人材。こういった層の人材は地方企業にとって大きなメリットとなる、と採用広告の制作ディレクターとして活躍する渡邉崇氏はいいます。渡邉氏の著書『不毛な人材獲得競争から脱却! 中小企業のための新しい採用戦略』(幻冬舎メディアコンサルティング)より、詳しくみていきましょう。
U・I・Jターン層が地域に定着する人材の獲得につながる
U・I・Jターン採用のメリットの1つは、地元への定着を視野に入れた人材を獲得できることです。U・I・Jターン層は、一度は都市部で暮らしながらも、地方への就職・転職を希望しているという特徴があります。
とくにUターン人材は、生まれ育った地域で家族や友人たちに囲まれ、安心して働ける環境が手に入るため、長期的な定着が見込めることが、企業側のメリットになり得ます。
また、東京などの都市部で働いていた経験を持つ人を採用することで、都市部の働き方や業務プロセスなどを取り入れるきっかけになり、地方企業の経営を高度化させることにつながります。
人の流入がない状態が長く続くと、企業は業務内容や価値観が固定化し、成長しなくなります。変化や成長のない状態を打破するためにも、新たな人が入ることは重要であり、そのなかでもU・I・Jターンのような地域外の採用はよい刺激になります。
この層の採用は、求職者に生き生きと働いてもらうためのきっかけにもなります。都市部から地方に移住して働くことを選択する人のなかには、都市部で働くことに疲れた人も多く、環境を変えることで仕事と向き合う意識も変わります。
私が広告制作に携わってきた企業でも、都市部で働くことに疲れたり飽きたりした人が、地方の企業に入社することで生まれ変わり、水を得た魚のように仕事に励むケースをよく見聞きします。
地方企業でモチベーションが高まる理由の1つは、企業からの期待です。地方企業は基本的には変化に飢えていますので、新たに入って来る人を歓迎します。都市部でどのような仕事をしているかにも関心が高く、いろいろと教わろうとします。
そのような期待に応えたり、1つひとつのことを新鮮にとらえ、喜んでくれたりすることがモチベーションを高めるのです。
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株式会社トランスヒューマン代表取締役
高校卒業後、パニック症候群に罹患し半年間の引きこもり生活を送る。その後はフリーターとして日雇いなどのアルバイト職を転々とし、1996年、株式会社リクルート入社。求人広告制作のアシスタントを経て、大手企業の人材採用戦略の策定、媒体の企画、各種コンテンツの制作ディレクション、ライティングに従事。2002年にフリーランスとして独立。仕事と両立しつつ法政大学文学部卒業、法政大学大学院政策科学研究科・修士課程修了。 大手企業を中心とした人材採用戦略、メディアコンテンツ実制作を担う一方で、大手人材斡旋企業で人材育成モデルの立ち上げ、地域振興シンポジウムの新しい企画などを実現。また、地域振興策をメディアプロデュースの立場から立案するなど、「人材流動化×地域振興」の可能性を探る。
大学図書館支援機構、日本航空高等学校静岡本部(現:中京高等学校)、誠恵高等学校、東京家政大学等、講演、特別企画授業の実績多数。2009年、前代表から声がかかり、会社設立プロジェクトに参画。 2011年、株式会社トランスヒューマン取締役、経営企画、メディアコンテンツ制作、地域活性事業を担当。2014年、代表取締役社長就任。ロシア科学アカデミー東洋学研究所派遣研究員(2012年)、法政大学地域研究センター・リサーチアソシエイト(2005~2013年)、地域活性学会会員(2009~2012年)
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