「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

毎年非課税で贈与できる110万円の範囲内で、子や孫に生前贈与しようとする人は多いでしょう。しかし、誤ったやり方での贈与は、のちのち税務調査で掘り返されてしまい、ペナルティを受けてしまいます。本記事ではAさんの事例とともに、生前贈与の注意点について、税理士事務所エールパートナーの木戸真智子税理士が解説します。

 孫のために貯め続けたお金がまさかの結果に…

不動産賃貸業を営むAさんは、定年を迎え、夫を早くに亡くしたこともあり、自分の相続について、対策をしたいと思っていました。そこで、以前から子への生前贈与などは毎年してきましたが、同じように孫へも毎年贈与しようと思い立ちます。

 

そうして、不動産賃貸業でお世話になっている信用金庫に相談して、孫2人の口座も開設し、そこに毎年100万円の贈与をしていくことに。

 

それから、18年後、Aさんはお亡くなりになり、相続が発生しました。不動産賃貸業をしていたことから、事前に遺産分割も決めており、粛々と申告が完了しました。

 

その2年後、税務調査がやってきます。Aさんが生前より、話し合って遺産分割を決めていたため、特に心配することもなく、進められた調査なのですが……

 

調査官 「お孫さん2人へ生前贈与がありますね。その口座はどこの銀行でしょうか?」

 

相続人 「はい。祖母が孫のためにずっと贈与してくれていました。それ以外の贈与はありません。110万円以下なので申告の必要もない認識ですので、そのまま続けてくれていました」

 

調査官 「〇〇信用金庫の〇〇支店ですね」

 

相続人 「はい。祖母がいつも不動産賃貸でお世話になっている担当者です。定期的に訪問してくれて、いろいろと相談に乗ってくれるので、祖母は頼りにしていました」

 

調査官 「お孫さんは東京にお住まいですが、他県のこの店舗の口座を作られたのですね」

 

相続人 「はい。孫は社会人になり、いまは東京で生活しています。もともと孫が育った場所ですし、この口座は信用金庫の担当者さんが毎月訪問してくれて振替や預金の預入など親切に対応してくれていました」

 

調査官 「こちらは通帳を見ると、特に入出金もなく、生活に使われている様子もありませんね。ちなみに銀行印はどれになりますか」

 

相続人 「銀行印も、祖母と同じものを使っています。信用金庫さんとのやり取りで祖母が使っているものの方がいろいろと便利ですから。なにか問題でもありますか。こちらは孫の預金ですし、非課税の範囲内で贈与していますから、今回の相続とは関係ないと思いますが。それに生前贈与加算分も漏れなく申告しています」

 

調査官 「こちらは、名義預金ですね。贈与になりません。Aさんの相続財産になります」

 

相続人 「え? どういうことでしょうか?」

 

調査官 「状況からみて、名義預金ということになりますね」

 

「孫のために」と続けていたこの生前贈与も、進め方に問題があれば、とても残念な結果になります。

 

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