特集 相続対策×法人化

相続対策×法人化

巷にあふれる相続対策。暦年贈与の活用といった単純(成功させるにはノウハウが必要だが・・・)なものから、生命保険活用、アパート経営や資産の組み換えといった専門家のアドバイスが必要なものまで、それこそ挙げていけばキリがない。相続対策としての効果についても各手法で様々だが、多少なりとも手間はかかるものの、やり方によっては絶大な効果を生むのが、「法人化」による相続対策だ。そこで本特集では、相続対策のための法人化(プライベートカンパニーの設立)にスポットを当て、その道の専門家たちが、相続対策のための賢い「法人化」のテクニックやノウハウを紹介していく。

不動産鑑定士に「鑑定評価」を依頼する際の注意点とは?
成田 仁
「不動産鑑定評価」でのトラブルは意外と多い第11回の連載でも説明したとおり、親の相続物件を子どものプライベートカンパニーに移す際の3つの方法のうちのひとつに、「現物出資」がありました。現物出資で移転する場合には、出資した不動産の評価額をどう設定するかが大きなポイントになってきます。 現物出資だけに限った話ではありませんが、同族間売買による譲渡所得税を計算するときに土地などの評価額をどう決めるのかによって税額は大きく異なってくることになりま…
法人化の後に必要となる節税テクニックの具体例
成田 仁
銀行ローンを活用する方法のメリットとは?実際に法人を設立して相続税対策に乗り出す方法ですが、実はさまざまな部分で節税のテクニックが必要になります。以下、いくつかをまとめて紹介しましょう。 まず、親の相続財産を法人に移す際に銀行ローンを組んで買い取る方法ですが、問題は実績も何もない会社に銀行は融資をしてくれるのかどうかです。前述したように、現物出資や分割払いもありますが、融資が受けられるものであれば銀行からフルローンで借りて、親に現金を支…
法人化は相続税対策の「唯一の選択肢」ではない
小澤 豊
法人化が意味を成さないケースもあるここまでの連載では、法人化のための具体的な手法について述べてきました。しかし現実問題としては、株式会社や合同会社、あるいは一般社団法人、一般財団法人を設立することが難しい、あるいは、設立する意味がさほどないケースもありえます。 例えば、賃貸事業からの収益が小額にとどまっているため、法人化によって得られる節税効果が法人の設立に要する費用や手間に見合わないような場合です。 また、相続が間近となった状態で、銀…
一般社団法人・一般財団法人に設置が必要な「機関」とは?
小澤 豊
一般社団法人の「理事会」は定款の定めで設置株式会社と同じように、一般社団法人と一般財団法人でも機関の設置が必要となります。それぞれ、次のような機関が存在します。〈一般社団法人〉①社員総会一般社団法人の組織、運営、管理等について決議する最高議決機関。 ②理事一般社団法人の業務を執行します。 ③理事会業務執行を決定し理事の職務を監視します。定款で定めた場合に置くことができます。 ④監事理事の職務執行を監査します。定款で定めた場合に置くことが…
法人化による相続税対策の「失敗」を避ける方法
成田 仁
法人化による節税は専門家に相談したうえで実行ここまでの連載を読むと、「一定額以上の資産を保有している人は、すべて会社を設立したほうが節税になる」と思われるかもしれませんが、前回ご紹介した3年ルールのように、実は注意しなければいけないことがいくつかあります。 相続税の計算では「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」といった優遇措置がありますが、前述したとおり、会社設立後の相続では小規模宅地等の特例が受けられなくなるといったデメリットが…
「デット・エクイティ・スワップ」で相続財産を圧縮する方法
成田 仁
「DES」を活用するなら早めの手続きが肝心今回は、評価額を下げるため少しテクニカルな手法を紹介したいと思います。 例えば、親の自宅を相続税節税のために法人化して、親の資産を法人名義に換えた場合、法人には親に対する「未払金」「借入金」がバランスシートに載ることになります。このまま放置してしまうと、いざ相続の場面になったときに、法人には父親の貸付金がそのまま残り、貸付金も含めて相続資産として申告しなければならなくなってしまいます。つまり、そっ…
「一般財団法人」を設立する方法とは?
小澤 豊
一般財団法人の設立者は「法人」でも可能一般財団法人の設立の場合は、設立者(財産を拠出して法人を設立する者)が主導して行います。設立者には、法人もなることができます。設立時に拠出する財産は、300万円以上となっています。具体的な設立の流れは次の通りです。 〈手順①〉設立者が定款を作成し、公証人の認証を受ける。定款には、以下のような事項を記載します。●目的●名称●主たる事務所の所在地●設立者の氏名または名称および住所●設立に際して各設立者が拠…
設立法人への資産譲渡後の「手元現金」の圧縮方法
成田 仁
子どもへの資産譲渡後も、まだ節税対策は残っている子どもが設立した法人に資産の譲渡などをした場合、相続までにしておきたいことは、親の手元に残った現金の圧縮です。最もベストなのは相続物件を「売却」して得た現金で、子どもや孫に積極的に「生前贈与」していくことです。 その際に注意したいのは、毎年110万円の基礎控除での範囲内での生前贈与を行うことの他にも、贈与税と相続税の税率の違いを利用して節税する方法などがあるということです。贈与税を負担してで…
「一般社団法人」「一般財団法人」を活用する方法
小澤 豊
「一般社団法人」「一般財団法人」も法人化の選択肢前回までの連載では、主に株式会社と合同会社を設立する方法について説明してきました。しかしながら、法人化の手法としては、これらの会社以外に、一般社団法人あるいは一般財団法人の設立もその選択肢になりえます。 一般社団法人、一般財団法人を利用することのメリットを確認しておくと、まず、いずれの法人であっても、会社と同様の形で税負担を減らすことが可能だということです。すなわち、前述した所得分散等の手…
個人と法人の不動産所有——相続税額の違いとは?
成田 仁
「個人」と「法人」の税額を比較してみると・・・前回の続きです。土地と建物で2億円の物件と不動産以外の預金等が1億円を「個人所有」のまま相続したケースと、「法人所有」にしてから相続した場合の、相続税評価額も見てみましょう。 ●個人所有不動産として路線価評価で相続した場合=1億1460万円、小規模宅地の評価減の適用を受けた場合=8180万円。●法人所有物件移転後3年超で株式として相続した場合=9168万円(株式評価額、不動産は路線価評価)、物件移転後3年以…
「非上場会社の株式に係る贈与税の納税猶予制度」の活用法
小澤 豊
相続前に活用できる贈与税の納税猶予制度前回の続きです。相続前に「非上場会社の株式に係る相続税の納税猶予制度」と同様の効果を得ておきたいのであれば、「非上場会社の株式に係る贈与税の納税猶予制度」を利用することをお勧めします。 この制度を使えば、後継者が、先代経営者から自社株式の贈与を受け、「一定の要件」を満たす場合には、贈与前から後継者がすでに保有していた議決権株式を含めて、議決権を完全に有する発行済み株式の3分の2に達するまでの部分につい…
「小規模宅地等の特例」と「特定事業用宅地」を活用する方法
成田 仁
効果の高い「小規模宅地等の特例」だが・・・今回は、法人を設立して相続税を節税した場合について考えたいと思います。相続税がどの程度まで「圧縮」できるのか、さまざまな条件のもとでシミュレーションしてみましょう。 とりわけ重要なポイントとなるのが、相続税の計算で最も大きな減税措置である「小規模宅地等の特例」が利用できるかどうかです。結論からいえば、自宅だった物件を子ども名義の法人に譲渡した場合、小規模宅地等の特例は利用できなくなります。 法人…
自社株にかかってくる相続税の納税を「猶予」する方法
小澤 豊
非上場会社の株式に係る相続税の納税猶予制度とは?自社株に関する相続税の対策方法としては、「非上場会社の株式に係る相続税の納税猶予制度」を利用することも考えられます。 この制度は、後継者が、相続により非上場会社の株式を取得し、「一定の要件」を満たす場合には、後継者が相続前からすでに保有していた議決権株式を含めて、議決権を完全に有する発行済み株式の3分の2に達するまでの部分について、課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されるというもので…
高額所得サラリーマンが法人設立で節税をするには?
成田 仁
法人は「所得税」を軽減する方法としても使える法人設立のメリットは、財産の分散や経費計上だけではありません。例えば、サラリーマンで年収が2000万円を超えてしまうような人は、収益不動産を所有する場合に、所得税を軽減する方法として法人を使うことも可能です。 仮に、所得税率が23%という人がいるとしましょう。こういう人は、住民税が10%加算されて33%になります。給与所得控除がありますが、控除後の所得に33%もの高い税率が適用されてくるわけです。 現在、…
自社株式の評価額の引下げと「黄金株」の活用方法
小澤 豊
資産や利益がマイナスなら、株式の評価額は下がる前回ご紹介した株式の評価方法からも推察できるように、株式の評価額は会社の純資産や利益などが多ければ高くなり、逆に少なければ低くなります。そこで大まかにいえば、会社の純資産や利益などをできるだけ減らす、すなわちマイナスの状態にするよう努めれば、自社株式の評価額も下がることになります。 会社の純資産や利益などをマイナスの状態にする方法としては、例えば、マンション、アパートの大規模修繕などを行って…
法人設立による「財産分散」「経費計上」のメリットとは?
成田 仁
法人設立をすれば、財産分散による節税も可能に法人設立のメリットは数多くありますが、財産を分散できるのもそのひとつです。 そもそも法人を設立するのも、父親から子どもの会社に財産を移し、不動産を株式に変えて評価を低くしたり、会社がその財産を使って収益物件に投資できるようにするためです。その上で、父親も、子どもの会社に譲渡して得た現金を贈与税の非課税枠を使って、相続人に分散して承継しておくことが可能になります。 一方、その法人にとって経費計上…
株式会社としての法人化で得られる相続面でのメリットとは?
小澤 豊
株式会社での法人化は、事業承継に効果を発揮法人化のメリットとしてまず挙げられるのは、「事業の承継がしやすくなる」という点です。このメリットは株式会社の形で法人化を行った場合に、最も効果が大きくなるかもしれません。 つまり、個人事業の場合、相続の際、マンション、アパートは不動産のまま相続されることになりますが、相続争いが起きて分割方法がまとまらないときには、その権利関係が非常に複雑で面倒なものとなるおそれがあるということです。その結果、相…
「法人」として相続するだけで評価額が下がる理由
成田 仁
株式の評価額は相続税額を大きく左右するだけに・・・法人を使いどのような形で親の資産を子どもの資産として移すかについて、具体例を用いながら、もう少し詳しく説明しましょう。 例えば「現物出資」の場合、親の資産を子どもの会社に移すときに、親は現物出資した分だけ「株式」で対価を受け取ることになります。 子どもが100万円の資本金で会社を作って、そこに親が1億円の資産を現物出資することになると、親は1億円分の株式を受け取ることになります。しかし、これ…
「株式会社」と「合同会社」をそれぞれ変更する方法
小澤 豊
「合同会社」は「株式会社」に変えられる設立時にはできるだけ費用をかけたくないと思って合同会社にしたものの、やはり株式会社にしたいと思うこともあるかもしれません。その場合には、合同会社から株式会社に変えることもできます。そのための手続きについて触れておきましょう。 はじめに、会社の目的などを明らかにする組織変更計画を作成しなければなりません。具体的には、下記のような事項を定めます。 【組織変更計画に定める事項(合同会社から株式会社に変わる…
相続税対策で設立した会社に資産を移す3つの方法
成田 仁
どうやって子どもの会社に資産を移すか?相続税対策として法人を設立する場合、やはりポイントになるのは子どもの会社にどうやって資産を移すかです。 その方法は大きく分けて3つ。それぞれの状況に合わせて、どの方法がいいのかは税理士などと相談して決めることが重要になります。まずは、その3つの方法を簡単に解説しておきましょう。財産の規模や質によって最適な手法も異なる①現物出資親の保有する財産を子どもが設立した会社に現物で出資してもらいます。アパート・…

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