前回は、株式会社の主要な機関と、それらの合同会社での考え方について説明しました。今回は、合同会社から株式会社へ、また、株式会社から合同会社へ変更する際の手続きについて解説します。

「合同会社」は「株式会社」に変えられる

設立時にはできるだけ費用をかけたくないと思って合同会社にしたものの、やはり株式会社にしたいと思うこともあるかもしれません。その場合には、合同会社から株式会社に変えることもできます。そのための手続きについて触れておきましょう。

 

はじめに、会社の目的などを明らかにする組織変更計画を作成しなければなりません。具体的には、下記のような事項を定めます。

 

【組織変更計画に定める事項(合同会社から株式会社に変わる場合)】

 

①組織変更後の株式会社の目的、商号、本店の所在地 および発行可能株式総数

 

② 組織変更後の株式会社の取締役の氏名

 

③①のほか、組織変更後の株式会社の定款で定める事項

 

④組織変更をする合同会社の社員が組織変更に際して取得する組織変更後の株式会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類および種 類ごとの数)またはその数の算定方法

 

そして、組織変更計画について、株式会社へ変更する効力が生じる日(効力発生日)の前日までに総社員の同意を得なければなりません。また、会社債権者に対して、官報等で合同会社から株式会社へ変更する旨などを伝えなければなりません。

 

株式会社への変更に対して異議のある債権者がいた場合には、その者に債務を弁済するなどの措置をとることになります。変更後は、合同会社については解散の登記を、株式会社については設立の登記を行う必要があります。

「株式会社」から「合同会社」に改める方法とは?

株式会社にしたものの、次第に、決算の公告や取締役の登記を定期的に行うのを面倒に感じる人もいるかもしれません。その場合には、株式会社から合同会社に改めることも可能です。

 

具体的な手続きとしては、まず、合同会社から株式会社に変更する場合と同様に、組織変更計画を作成します。組織変更計画では下記のような事項を定める必要があります。

 

【組織変更計画に定める事項(株式会社から合同会社に変わる場合)】

 

①組織変更後の合同会社の目的、商号および本店の 所在地

 

②組織変更後の合同会社の社員についての次の事項等

  ●社員の氏名または名称および住所

  ●社員の出資の価額

 

③①、②のほか、組織変更後の合同会社の定款で定める事項

 

④組織変更後の合同会社が組織変更に際して組織変 更をする株式会社の株主に対してその株式に代わる 金銭等(組織変更後の合同会社の持ち分を除く)を交付するときは、当該金銭等についての次の事項

 

(イ)当該金銭等が組織変更後の合同会社の社債であるときは、当該社債の種類および種類ごとの各社債の金額の合計額またはその算定方法

 

(ロ)当該金銭等が組織変更後の合同会社の社債以外の財産であるときは、当該財産の内容および数もしくは額またはこれらの算定方法

 

そして、組織変更計画に定めた組織変更の効力が発生する日、すなわち合同会社に変わる日までの間、組織変更計画の内容などを記載した書面等を本店に備え置くことが求められます。

 

株主と会社債権者は、会社に対して、営業時間内であれば、いつでもこの書面等の閲覧や交付を請求することができます。さらに組織変更計画については、合同会社へ変更する効力が生じる日(効力発生日)の前日までに総株主の同意を得なければなりません。

 

また、合同会社が株式会社へ変更する場合と同様の債権者保護手続きを行うことが求められています。会社の変更後は、株式会社については解散の登記を、合同会社については設立の登記を行う必要があります。

本連載は、2014年11月27日刊行の書籍『地主の相続財産は法人化で残す』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

地主の相続財産は法人化で残す

地主の相続財産は法人化で残す

小澤 豊,川本 泰正

幻冬舎メディアコンサルティング

相続税をできるだけ節税したい、遺産分割で家族がもめてほしくない──。地主にとって相続は、頭の痛い問題です。 多くの地主の相続財産は、現金ではなく土地が大半のため、いざ相続になったときに預貯金だけでは相続税を支払…

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