(※写真はイメージです/PIXTA)

ニューヨークではある光景に出くわします。中心部のマンハッタンで幅が狭い道路では、ほとんどの歩行者が赤信号でも渡っているといいます。赤信号と認識したうえで、あえて自分の判断で渡っているのです。ジャーナリストの岡田豊氏が著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)で解説します。

悪いことは悪い。良いことは良いと言う

■「悪いことは悪い。良いことは良い」ちゃんと言える社会に

 

ひとりで北海道を旅した時のことでした。アメリカ赴任から帰国し、日本は息苦しいと気付いてから迎えた夏。最終日、フェリー乗船前に時間があったので、小樽の丘の上にある小さな公園で時間をつぶしていました。

 

そこに、70代の仲むつまじい夫婦がやってきて、私に声をかけてくれました。話が興に乗ってきた夫は自分のことを話し続けます。若いころ、十勝から札幌に出てきて自動車の板金の仕事を始め、やがて工場を経営するようになった方です。最近引退し、軽自動車で夫婦一緒によく旅をするそうです。

 

夫は頑固者に見えました。

 

「普段、誰ともしゃべらないので、ごめんなさいね~」

 

妻は夫のことをこう言いますが、話には筋が通っていて、どこか心地よさを感じていました。やがて、彼が何気なく言った言葉が私に突き刺さりました。

 

「私には自慢できるものは何もないんだけれど、悪いことは悪い、良いことは良いと、いつもはっきり言って生きてきたんだ」

 

それは彼が生きるうえで譲れない信念だったのでしょう。はっと、目が覚めました。

 

「悪いことは悪い。良いことは良いと言う」

 

悪いことを悪いと言うことは、とても難しいことです。とても勇気が要ります。きちんとした事実や根拠がないと言えません。良いことを良いと言うことも簡単ではありません。この男性は、しっかり自考しながら生きてきたんだと思いました。

 

正しくないこと、悪いこと、良いことをはっきりさせようとすることは、それが独善的でなく、公正で、誠実である限り、人や社会にとって大切なことです。私たちも、このことをしっかりと自考したいのです。

 

犯罪者が偽善を装ったり、権力者が悪いことを良く見せかけたりする社会は、健全ではありません。正直に懸命に頑張っている人を良いと認めない社会も健全ではありません。正しいことを正しいと勇気を持って言う、褒める、称賛することは、次の正しい行為につながります。

 

正しいことは簡単に決められないでしょうし、正しいことは1つとは限りません。何が正しいのか、何がいけないことなのか、子どもたちに明確に伝えられない社会は、衰退していくしかありません。

 

正確な情報は大切です。でも、それだけでは足りません。正確な情報を根拠にした的確な見識も大切です。その70代男性の言葉は、政治権力などに時に腰が引けがちなメディア人などへの批判、激励だと感じました。この言葉で、私は何が大事なことなのか、くっきりと見えた気がしました。

 

岡田 豊
ジャーナリスト

 

 

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    本連載は、岡田豊氏の著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)より一部を抜粋し、再編集したものです。

    自考

    自考

    岡田 豊

    プレジデント社

    アメリカでの勤務を終えて帰国した時、著者は日本は実に息苦しい社会だと気付いたという。人をはかるモノサシ、価値観、基準の数があまりにも少ない。自殺する人があまりにも多い。笑っている人が少ない。他人を妬む。他人を排…

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