(※写真はイメージです/PIXTA)

「人生100年時代」と呼ばれる現代、老後の資金計画は多くの人にとって大きな関心事。しかし、必要な金額はライフスタイルや目的によって大きく異なります。本連載では、老後に必要な資金を目的別に分かりやすく解説し、不安の解消と実現可能な未来設計のヒントを提供します。第1回目の今回は、長寿化が進み老後設計の重要性が増している今、老後の資金をどのように考えればいいのか、基本的な知識やポイントについてお話します。

ポイントは「平均寿命」「年金」「インフレの影響」

押さえておきたいポイントは3点で、1点目は「平均寿命」についてです。2023年の平均寿命は、女性は87歳、男性が81歳とされており、今後20年から30年後には、平均寿命が3年ほど伸びることが予想されています。そのため、老後に必要な金額も増加すると考えられます。

 

2点目は、「年金」についてです。現在は「マクロ経済スライド」という賃金や物価の改定率を調整して緩やかに年金の給付水準を調整する制度が適用されているため、物価の上昇に対して年金が増えづらい点がネックとなります。

 

そして3点目は「インフレの影響」です。やはりインフレの影響を受ける以上、今の時点で老後にどれくらいの金額が必要なのか分かっていても、将来的にその金額では同じ生活レベルを維持できない可能性があります。これら3点から考えても、今から老後を見据えてしっかり資産形成していく必要があるといえるでしょう。

 

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老後は2,000~4,000万円が不足

次に、老後に必要な資金はどのように見積もっておけばよいのかを考えてみます。基本的には、今の生活費は維持される前提で将来設計をすることになります。また、定年になると余暇の時間ができ、趣味に費やす時間やお金が増えるので、現状の生活費に3万円から5万円程度をプラスして考えておくと、老後に窮屈な思いをせずに過ごせる目安になると考えられます。なお、ご自身で住宅を保有されている方が注意したいのは、ローン完済後だったとしても修繕費などでまとまった費用が発生する場合があることです。そういったことも計算したうえで、将来設計上の必要金額を想定するのが理想的だと思います。

 

さらに70代、80代になると医療費の支払いもかさみます。高額療養費の制度などいろいろ国の制度はありますが、今後は後期高齢者の保険の負担率が上がることが予想されていますし、将来的に医療費は大きくのしかかってくるでしょう。また、独身の方の場合は介護してくれる人がいないので、介護費用や施設の入所料なども必要となります。例えば入所料は500万円から1,000万円程度かかるケースが多いので、そうした生活費とは別に必要になる費用も想定して計画を立てることが重要だと思います。

 

そのように考えていった場合、1人あたりにかかる費用として、少ないケースで約2,000万円が不足、多いケースでは約4,000万円が老後、不足すると考えられます。つまり公的年金に加えて、それだけの資産を持っておかないと老後は厳しくなるわけです。公的年金の受給額が多くない自営業の方は、さらに不足金額が増える形になります。

 

こうした点を踏まえて、具体的にどのように老後資産を形成すべきかを考えてみます。まず現在、収入に対してどの程度の生活費が必要なのかを抽出し、どの程度の余剰金があるかを把握します。例えば50万円の収入に対して月30万円の生活費がかかっている場合、20万円の余剰金があるわけですね。まずはその20万円で資産形成することを考えるとよいでしょう。

 

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基本はNISAを中心に資産運用

では、月20万円の余剰金でどのように老後資産を形成するか。ここで考えたいのが資産運用です。仮に、年5%の利息がついたとすると、大体10年間で2,400万円の元金が3,000万円強になります。資産運用にはいろいろな商品があるので、リスクを減らしつつリターンの高い商品も組み合わせていくことで、スムーズに資産形成することが期待できます。

 

月に5万円、10万円の余剰金で積み立てる場合は、多少価格の変動幅がある方が利益を出しやすいので、投資信託を活用して毎月5万円、10万円を積み立てることをお勧めします。基本的には、NISAを中心に資産運用をする方法ですね。

 

ただ、人によって考え方が異なるので注意が必要です。例えば、55歳の方が40代の方と同じような資産配分で積み立てしてしまうと、積み立て期間が短くなってしまうわけです。この場合は投資信託だけでは不安なので、多少変更を加える必要があるでしょう。ただ、基本的には投資信託を中心としたアセットアロケーション(資産配分)を組む形になります。