「人気№1」の商品を買う日本人
■「順位」や「量」を鵜呑みにしない価値観「質」への転換
洋菓子店に行った時、「人気№1」と書かれた商品に目が行きがちです。贈答用で、どれにしようか迷った時、「人気№3」までの菓子から選んでおけば、無難だと思ってしまいます。
書店に行って「ベストセラー」「50万部突破」「△△賞受賞」と書かれた本をなぜ手にしてしまうのでしょうか。酒売り場で「金賞受賞」「□□大臣賞受賞」のラベルが付いているお酒を手に取ってしまうのはなぜでしょうか。
「みんなが買っていく商品なら大丈夫だろう」
「権威ある賞をもらったのなら、きっと質が高いに違いない」
私たちは、“権威”に判断を委ねがちなのかもしれません。
「長いものに巻かれろ」
「みんなで渡れば怖くない」
こんな言葉につながる体質が、自分のどこかに染みついているのかもしれません。多くの人が受け入れる量、どこかの団体が決めた権威付けの賞。それも何がしかの根拠がある判断基準です。
しかし、それだけに依拠して、他を見過ごしてしまうと、別の価値観が見えなくなってしまうかもしれません。せっかく他にも大事な価値観があるのに、それを見失ってしまうことになりかねません。日本で多様化の土壌がなかなか育たないのは、こうした意識があるからかもしれません。
その洋菓子店は「人気№1」と書いておけば、お客さんから注目されやすいという特性を狙ってそうしているのでしょう。でも、数が売れない他の菓子も毎日、丁寧につくっているはずです。大勢の人が読んでいるベストセラーの本を読んでおけば、多くの人たちと同じ話題で盛り上がることができるかもしれません。でも、あまり売れていない本の中に、自分の心に深く響く作品があるかもしれません。
みんなが黄色だけを選んだら、社会は真っ黄色な世界になります。みんなが青色ばかりを選んだら、真っ青な社会になります。12人が全員違う色を選んだら、社会には12の色が広がります。100人がみな違う色を選んだら、100色もの色合いが社会を彩ります。
例えば、新聞社やテレビ局、出版社は部数や視聴率を競い合います。競争は質を高めるという側面もあります。でもイギリスなどでは、新聞の質と部数は反比例すると考えている人たちもいます。
スキャンダルなどを数多く扱う大衆紙は、高級紙と呼ばれる新聞より部数が多いこともあります。視聴率が低い番組の中に、世の中を良い方向に突き動かすものがあったりします。経営体としては稼ぐことも必要でしょう。稼いで会社が生き残れば、良質のコンテンツを出す機会も生まれます。
ただ、量をいたずらに追いかけず、量に惑わされず、質を重視する考え方は、選択肢を広げ、社会を良くしていくために大切なことなのではないでしょうか。
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