共働き世帯が増加する一方、専業主婦世帯も約430万世帯存在する日本。専業主婦世帯では、夫の収入が家計を支える基盤となるため、夫に万が一のことがあった場合の影響は容易に想像がつくでしょう。一方で、もしも妻に万が一のことがあった場合、どうなるでしょうか?
月収100万円・35歳エリート夫「無収入の専業主婦・32歳妻」の急逝でまさかの「住宅ローン破産」のワケ…“日本の430万世帯”が孕む特有リスク (※写真はイメージです/PIXTA)

日本の430万世帯…妻が専業主婦の家庭が孕む、特有のリスク

女性の社会進出が進んでいます。現在、「専業主婦」はどのくらいの割合でいるのでしょうか。内閣府の『男女共同参画白書令和5年版』によると、65歳以下の妻がいる世帯のうち、妻が専業主婦である割合は21.7%。世帯数にして約430万世帯にのぼります。意外に多いと感じる人もいるかもしれません。

 

専業主婦の家庭では、夫の収入が家計を支える大きな柱となります。住宅ローンや子どもの学費、老後のことを考えると、夫には安定した高収入が求められるでしょう。ソニー生命の『女性に活躍に関する意識調査2022』によると、専業主婦を希望する女性の多くは、夫の年収が平均980万円以上必要だと考えています(子どもを2人持つ場合)。夫には、かなりの経済力が求められていることを物語っています。

 

このような状況では、夫が万が一亡くなったり、病気で働けなくなったりした場合の経済的なリスクが大きいため、多くの夫は高額な生命保険に加入しています。しかし逆に、専業主婦の妻が亡くなった場合の影響について、真剣に考えたことがある家庭は少ないかもしれません。

 

「妻は無収入だから、もしものことがあっても家計への影響は少ないだろう」と考えるのは早計です。実際には、専業主婦の妻が亡くなったあとに家計が破綻してしまうケースも少なくありません。

月収100万円の35歳夫

現在35歳の山本孝一さん(仮名)はIT企業の役員を務めており、月収は100万円です。収入のうち約4割は業績連動型の報酬で、残りは固定給となっています。孝一さんは新卒でITベンチャー企業に就職し、その後、現在の会社の創業メンバーの一員となります。27歳で役員に就任してからは経営手腕を発揮し、会社を急成長させてきました。顧客との交渉や社内調整など、多忙な日々を送っています。


3歳年下の妻の恵さん(仮名)とは孝一さんの大学卒業後に飲み会で出会い、意気投合して結婚。恵さんは結婚後、専業主婦になりました。多忙な孝一さんが、「今後、俺は必ず高給取りになる。土日も休みもロクにないけれど、たくさん働いて恵にいい暮らしをさせてあげたい。だから恵には家事や育児に専念して俺を支えてほしい」と希望したことが理由の一つです。恵さんは、堅実な性格で家計管理も得意なため、孝一さんは安心して家計を任せていました。孝一さんも有言実行で、収入は年を追うごとにぐんぐんと上がっていきました。

 

彼らは6年前に6,000万円の住宅ローンで購入したマイホームに、5歳の長女と3歳の次女と暮らしていました。収入が想定よりも早い段階で大きく増えたため、孝一さんは繰上げ返済も検討していたところです。