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「考えること」を大切にする企業は成長する
■迷ったら自分の良心に立ち返る、誰のための何のための仕事か
会社は、社会にとって、働き手にとって、欠かせない存在です。会社は生活の糧や未来への希望などを生み出す原動力です。会社員は、一人ひとりが自分の良心や志を大切に、楽しみながら、思い切り仕事をすればいいのだと思います。
公務員は特別な使命を負った自立した立場の人です。“上司”は首相や閣僚、知事や市区町村長などでしょうが、“雇用主”は、国民、都道府県民、市区町村民です。年齢や経験に構わず、自立した思いとアイデアで、「民」が幸せになれるよう思い切りやってください。
会社員も、公務員も、毎日、小さな判断、あるいは、大きな判断を迫られて過ごしています。軸がぶれそうになったら、自分の良心と志に立ち返ればいい。公務員は「民」の方を見て本来の自分に立ち返る。“上司”に忖度したって、出世できるとは限りません。出世より大切なことがあります。それは自分の良心と志を大切にして、誇りを持って生きることです。
自分の誇りを捨て去って、心外な選択をして出世した自分。余計な忖度を振り切って、民や未来のために自考で選んで行動し、誇りを守った自分。どちらの生き方をするのか。後者の生き方をする人が増えたら、世の中はきっと明るく、希望が持てるような気がします。その誇りはきっと生涯、自分を支え、勇気づけてくれることでしょう。
■個性を大切にする会社、「常に考える」「さんづけで呼び合う」
「常に考える」
未来工業のホームページを開くと、この大きな文字が目に飛び込んできます。この会社は『日本でいちばん大切にしたい会社2』(坂本光司著、あさ出版、2010年1月)にも掲載されています。経営理念は「常に考える」。1965年創業。「人に言われたことをやるのが嫌」でいきなり自社製品を創り、そうした理念が育っていったそうです。「他社と同じモノはつくらない」ために「常に考える」のだそうです。
これを具体的に裏付けているのが、「500円の提案制度」です。社員が新製品を1件提案すると採用の成否にかかわらず、500円が支給されます。毎年約5000件の提案が出され、一部が新製品として生み出されるそうです。
この会社では、上司と部下が互いに「さん」づけで呼び合います。「部長の仕事をしている社員」「課長の仕事をしている社員」「一般社員の仕事をしている社員」という意識なんだそうです。職場の職務や役職はありますが、個人としては、平等だという意識。「フラットな付き合いができる」という意識は職場にプラスの効果をもたらしています。
「常に考える」企業文化として社員の自主性を育み、個人、個性を尊重しようとする考え方が反映しています。
未来工業は「ホウレンソウ」を強制しません。通常、報告(ホウ)・連絡(レン)・相談(ソウ)は、従業員の上司に対する、いわば鉄則のようなものですが、一人ひとりが自主的に考え、判断し、行動してもらうというスタイルにしているそうです。
また、全員が正社員。「人をコスト扱いしたくない」という考えに基づいていて、定年は70歳までの選択定年制を採用しています。社員の不満を契機に制服を廃止しました。
社員の個性を大切にするこの会社の業績はどうなのでしょうか。2020年3月期は増収増益で、過去最高の売上高を更新しました。「個性」「自主性」「考えること」を大切にするこの企業は成長を続けています。
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