嫁姑問題から考えた相続
田村直子さん(仮名/79歳)は地方で次男夫婦と暮らしています。年金は夫の遺族年金と合計し月額14万円を受け取り、資産も1億円以上ありますので、悠々自適な生活を営んでいます。
同居している次男の祐希さん(仮名/52歳)の妻の早苗さん(仮名/52歳)とは同居を開始した当初から不仲が続いています。田村さんは、家事は嫁が行うのが当たり前という考えでした。しかし、早苗さんは共働きで勤務をしており、家事を田村さんに甘えていた部分があります。田村さんの感覚ではそれがまったく理解できず、そんな早苗さんを見て、小言や嫌味を言い続けてきたのでした。
ギスギスとした関係が15年ほど続き、5年前に夫が亡くなってからは田村さんも身体が急激に弱り始めてしまい、そのことで立場が逆転していました。歩くスピードや階段の上り下りも遅くなり、それを見た早苗さんからはキツい言葉を掛けられるように。2人の関係にはますます溝が深まります。
車椅子生活から地獄が始まる
そして1年前、大きな転機が。近所を歩いていたときに転んでしまい、骨折したことで車椅子生活になったのです。次男が仕事等で家を不在にしているときは早苗さんが自宅にいますが、介助が必要な場面でも露骨に嫌な顔をして嫌味を言いながら介助をしています。介助がなければ生活が難しい田村さんにとっては言い返すこともできず、悔しい想いが積み重なっていきました。
「自分の命もそう長くはない……」そう感じた田村さん。「あの女に私のお金が渡るなんて、想像しただけでも死んでも死にきれない」と、憎き次男の嫁に自分の財産を渡ることのないよう相続について考え始めます。
早苗さんに財産を渡したくない田村さんは弁護士に相談することになりました。田村さんが持つ財産は、自宅建物と土地が3,000万円ほど、金融資産は1億円超。これらの財産の処遇は……?
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