よりよく生きるには自分で考えること
宮本哲也さんにインタビューをしました。ここに大切なメッセージが詰まっています。
──授業で教えない、一切会話がないのはなぜですか。
宮本 余計だからです。そういうのは雑音になってしまいます。子どもの解きたいという学習本能を妨げることになります。面白い問題さえあれば、勝手に頭を使う。大事なのは解けることではないし、説明が分かることでもない。頭を使うことです。それだけが大事です。
──子どもに自分の頭を使わせることが、なぜ大事なのですか。
宮本 それはもう、自分の人生を自分らしく生きるためには必要じゃないですか。それ以外に自分らしく生きる方法はありません。
──今の教育はどこが良くないと思いますか。
宮本 一番良くないのは自分で考えないことです。人任せです。どうすればうまくいくのかを考えるな。うまくやろうとするな。ただ、ひたむきにやれば、それでいいんです。
──自分で考えるとどんな得があるのですか。
宮本 損得ではなくて、よりよく生きるためには、自分で考えることが必要なんです。損得があるとすれば、自分で考え、自分が成長することが唯一の得です。
──なぜ高校を中退したのですか。
宮本 つまらなかったからです。大学に行くには高校に行かなければならないと思っていたけれど、大検の存在を知ってやめてもいいんだと。じゃあ、自分で勉強しようと思いました。高校が想像以上にくだらないから、時間がもったいないと、ひとりで勉強したいな、と考えました。
──本当に高校を中退してしまったんですね。
宮本 時間がもったいないじゃないですか。当時、20歳になるのが怖くてしょうがなかったんです。こんなのでは、まともな大人になれるわけないなと。勉強以外に身を立てる方法が思いつきませんでした。運動はできないし、芸術的才能は何もない。勉強しかないと。実は勉強も可能性を感じなかったけど、消去法で考えると勉強以外になかったんです。
──大検合格までに死にたいなどと思ったことはありますか。
宮本 山ほどあります。毎日ある。あー、うまくいかない。生きていてもしょうがないとか。
でも勉強すれば、あっち側の世界に行けるんじゃないかと、14歳の時に思ったんです。そこから独学を始めました。学校の勉強はくだらないから、賢くなれないから、いらないと。中間テスト、期末テストなどの勉強に意味を感じませんでした。それで、独学を始めました。
──高校を中退して大検にパスして、得たモノは何ですか。自信ですか。
宮本 自信なんか今でも一瞬たりとも持ったことないです。得たモノは、時間、自分。自分と向き合うということ。
──自分の頭で考えることが大事だと気付いたのはいつですか。
宮本 14歳。自分の周りに大した大人がいないと気付きました。学校の先生を含めて。こういう大人にならないためには、見ざる、言わざる、聞かざる。反抗するのもエネルギーの無駄遣いだと思いました。
──魅力ある大人がいなかったのですか。
宮本 ひとりもいませんでした。本を山ほど読んで、自分の知らない世界があると知りました。そこに行くには唯一、勉強することだと。高校をやめた後、年間300冊くらい読みました。
岡田 豊
ジャーナリスト
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