(※写真はイメージです/PIXTA)

老後資金は、「残す」ことばかりが正解ではありません。年齢を重ねるにつれ、「元気なうちにやりたいことをしておきたい」と考える人も増えています。近年は、世界一周クルーズのような“老後の大きな夢”にまとまった資金を使う高齢者も少なくありません。しかし、その選択は、お金だけでは測れない感情を残すこともあります。

「人生で最後の贅沢を」…78歳女性が選んだ世界一周クルーズ

澄子さん(仮名・78歳)は、2年前、長年憧れていた世界一周クルーズに参加しました。費用は約900万円。

 

決して安い金額ではありませんでしたが、澄子さんは「一生に一度だけ」と決めて申し込んだといいます。

 

夫を5年前に亡くし、子どもたちは独立。自宅マンションのローンは完済しており、年金収入と貯蓄を合わせれば、生活に大きな不安はありませんでした。

 

「元気なうちにしか行けないと思ったんです」

 

若い頃から海外旅行が好きだった澄子さん。しかし、夫が現役時代は長期旅行などできませんでした。

 

「いつか船で世界を回ってみたい」

 

それは、長年胸の奥にしまっていた夢だったといいます。

 

クルーズ船での生活は、まさに非日常でした。

 

朝起きれば海が広がり、寄港地では各国の街を巡る。夜にはショーやコンサートが開かれ、食事も豪華。船内では同年代の日本人参加者とも親しくなりました。

 

「毎日が夢みたいでした」

 

特に印象に残っているのは、南欧の港町で見た夕暮れだったといいます。

 

「“ここまで生きてきてよかった”って、本気で思いました」

 

国土交通省『令和5年版観光白書』でも、高齢者の旅行需要は一定数存在しており、人生経験型・長期滞在型の旅行への関心もみられます。退職後の時間を活かし、“体験”にお金を使う高齢者は少なくありません。

 

家族も最初は驚きました。

 

「そんな大金を使うの?」

 

娘からは心配もされたといいます。

 

それでも澄子さんは、

 

「お金を残すだけの人生にはしたくなかった」

 

と答えました。

 

実際、旅そのものに後悔はありませんでした。しかし、帰国後、澄子さんは思いもよらない感情に直面することになります。

 

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