「今しかできない」…67歳夫婦が決断した“世界一周クルーズ”
隆一さん(仮名・67歳)と妻の真由美さん(仮名・65歳)は、退職後、「世界一周クルーズ」に参加しました。きっかけは、退職祝いを兼ねた夫婦旅行の話でした。
「せっかくだし、一度くらい大きなことをしてみたいね」
旅行好きだった真由美さんが、パンフレットを持ち帰ったのです。
数ヵ月かけて世界を巡る豪華客船の旅。費用は夫婦で約2,000万円。オプションツアーや準備費用も含めると、総額は2,300万円近くになりました。
夫婦の貯金は約2,800万円。住宅ローンは完済しており、年金は夫婦合計で月24万円ほどありました。
「無謀だとは思いませんでした。これまで必死に働いてきたし、“一生に一度くらい”と思ったんです」
出発前、子どもたちは驚きながらも背中を押してくれました。
「二人とも元気なうちに楽しんできなよ」
船旅そのものは、夢のような時間だったといいます。ヨーロッパの港町、南米の景色、寄港地での観光。毎日イベントがあり、夫婦は久しぶりに「時間に追われない生活」を味わいました。
「人生で一番楽しかったかもしれません」
特に真由美さんは、船内で撮った写真を何度も見返しているといいます。
しかし、帰国から数ヵ月後、夫婦は少しずつ“現実”を意識し始めます。
最初に感じたのは、通帳残高への不安でした。帰国後の貯金は、約500万円まで減っていました。
「数字で見ると、一気に怖くなったんです」
総務省『家計調査(2025年)』によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の可処分所得は月約22.2万円、消費支出は月約26.4万円で、平均では毎月赤字となっています。つまり、多くの高齢世帯が、年金だけでは生活費をまかないきれず、貯蓄を取り崩しながら暮らしているのです。
夫婦も、まさにその状況に直面していました。
