(※写真はイメージです/PIXTA)

退職金は、多くの人にとって老後生活を支える大切な資金です。まとまった金額が口座に入ると、「少しでも増やしたい」と考える一方で、投資経験が少ない人ほど、金融機関の提案を頼りにすることがあります。しかし、商品内容や手数料、リスクを十分理解しないまま契約すると、数年後に思わぬ差を感じることもあります。

「プロに任せれば安心」…退職金2,300万円を預けた60歳男性

小林さん(仮名・66歳/男性)は、60歳で長年勤めたメーカーを退職しました。

 

退職金は約2,300万円。住宅ローンは完済済みで、年金が本格的に始まるまでの生活費も考える必要がありました。

 

「預金だけでは増えない時代だと思っていました」

 

退職金が振り込まれたあと、銀行から資産運用の相談を勧められました。小林さんは投資経験がほとんどありませんでしたが、担当者の説明を聞き、「プロが提案してくれるなら安心だろう」と感じたといいます。

 

提案されたのは、複数の投資信託や保険性商品を組み合わせた運用でした。

 

「元本保証ではないことは聞いていました。でも、長く持てば大丈夫という印象でした」

 

小林さんは、退職金の大部分をその商品に振り分けました。

 

当初は、運用報告書も届き、担当者からも定期的に連絡がありました。大きく減っているわけではないため、小林さんは深く気にしていませんでした。

 

金融庁は、資産形成において「長期・積立・分散」の考え方を示しています。ただし、それは商品内容や手数料、リスクを理解したうえで、自分の目的に合った運用を行うことが前提です。

 

小林さんは、そこを十分に考えていませんでした。

 

「自分で選んだというより、勧められたものを受け入れただけでした」

 

数年後、状況が変わったのは、会社員時代の同期会でした。

 

久しぶりに会った同期たちは、退職金の使い道や老後資金について話していました。その中の一人が、こう言いました。

 

「自分は低コストの投資信託を積み立ててるよ」

 

別の同期は、退職金の一部だけを運用し、残りは生活防衛資金として分けていると話しました。小林さんはそこで初めて、自分の運用内容を他人と比べることになったのです。

 

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