「このまま働き続けるのかな」…“FIRE”を考え始めた理由
東京都内から地方へ移住した高橋さん(仮名・42歳)は、数年前に会社を辞めました。現在は地方都市で、家賃1万8,000円の古い賃貸住宅に住んでいます。
「“FIREしました”って言うと、すごく華やかな感じに聞こえるんですけど、実際はかなり静かな生活ですよ」
高橋さんは都内のIT企業で働いていました。
年収は800万円台。独身で、もともと浪費をするタイプではありませんでした。20代後半から投資信託や米国株への積立を続け、生活費も抑えていたといいます。
「でも、仕事はずっとしんどかったです」
終電近い帰宅。休日も仕事の連絡。成果を出しても、翌月にはまた新しい数字を求められる生活でした。
「40代、50代になってもこれを続けるのかと思ったら、急に怖くなったんです」
転機は、コロナ禍でした。在宅勤務が増え、「会社の近くに住む意味」を感じなくなったといいます。同時に、「生活コストをもっと下げれば、働き方を変えられるのでは」と考え始めました。
高橋さんは資産額が約7,000万円に達したタイミングで退職を決断します。
都内の賃貸マンションを引き払い、地方へ移住。築古の平屋を借り、月1万8,000円の家賃で暮らし始めました。
「最初は解放感がすごかったです」
朝、満員電車に乗らなくていい。上司から連絡も来ない。平日の昼間に散歩をしても誰にも何も言われない。
「人生が急に静かになった感じでした」
実際、生活費は大きく下がりました。
総務省『家計調査(2025年)』によると、単身勤労世帯の消費支出は月平均で20万円を超える一方、地方では住居費や交通費を抑えられるケースもあります。
高橋さんも、月10万円前後で生活するようになりました。しかし、FIRE後の生活は、“自由”だけではなかったといいます。
