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教科書に書いてあることを信じない
■「教科書を信じない」ノーベル賞学者の言葉
2018年10月1日、ノーベル生理学・医学賞に選ばれた本庶佑・京都大学特別教授が会見で語った言葉が忘れられません。
記者の「研究者を目指す子どもに思ってほしいことは?」という質問への答えでした。
「研究者になるということにおいて、一番重要なのは、何か知りたいと思うこと、不思議だなと思う心を大切にすること。教科書に書いてあることを信じない。常に疑いを持って、本当はどうなってるんだ、という心を大切にする。つまり、自分の目でものを見る。そして納得する。そういう若い小中学生にぜひ、研究の道を志してほしいと思います」
“過去”のことが書いてある教科書を信じないこと。今の自分の心と目で、モノを見て納得すること。これはまさに、自考のことだと思いました。本庶さんの貴重なメッセージです。
■子どもに教えない異様な塾 高校中退し自分らしく生きるために
「よーい、スタート」
東京都内の算数教室。宮本哲也先生の掛け声で、小学生20人ほどが一斉に鉛筆を握り、問題を解き始めました。
問題は宮本さんが考案した「賢くなる」数字のパズルで、生徒は1回の授業で数種類のパズルにトライします。解けた生徒からいち早く手を挙げて、その場でチェックを求める形式です。
正解していると宮本さんは「マル」と言います。不正解だと「ボツ」と言います。1時間半ほどの授業の間、教室で聞こえた声はこの「マル」と「ボツ」だけでした。宮本先生は何も教えません。子どもたちも何も質問しません。これは、異様な光景です。この教室は「教えない」教室なのです。
教えず、教材のパズルに取り組んで、考えさせる。この手法で、子どもたちの思考力が高まり、その思考力は算数以外の科目にも波及するのだそうです。教え子たちは、進学校に合格する生徒が多いそうです。
このパズル、世界各国で使われていますが、宮本さんは同じパズルを二度は出しません。教えない代わりに、新しいパズルをつくるために徹夜をすることもあります。
宮本哲也さんとはどんな人なのか。
高校時代、突然、高校に行きたくなくなり、中退。大学入学資格検定(大検)に合格して大学に行きました。
「自分の頭で考える」
宮本さんはこの言葉を大切にしています。これは自考です。自分で感じ、自分で考え、自分で這い上がってきた宮本さんの人生そのものだと思います。2015年、宮本さんは算数教室をニューヨークで開きました。海外初進出です。
アメリカ人の生徒にも教えるため、まず英語教室に通いました。流暢な英語ではありませんでしたが、一生懸命に学び、短期間で最低限の英語をマスターしました。
しかし、生徒が思うように集まらず、やがて、教室の継続を断念します。教室を閉鎖し、ニューヨークを去る時、宮本さんが私に語った言葉が印象的です。
「人は成功より成長です」
目先の成功に満足していると、成長がそれで止まってしまうという意味です。「安定と快適の成功の先には退屈と腐敗しかない。安定を壊して成長したい」と語る宮本さんは、ニューヨークから帰国後、都内で教室を再開しました。50代後半で初めて結婚し、59歳で初めての子どもを授かりました。
「今が一番楽しい」
宮本さんはいつもこう言います。生徒の授業のためにパズルをつくり続ける宮本さんの成長は、これからも続きます。