長男夫婦と仲の悪い老婦人が決めた終の棲家
Aさんは72歳の夫を亡くしたおひとりさまです。亡き夫は経営者で資産家でしたが、Aさん自身も役員でしたので、かなりの財産を所有していました。Aさんには2人の息子がおり、いまはこの2人に会社を任せてAさんは引退しています。年金は月に19万円。加えて十分な財産があるため、悠々自適の老後を送る、人から羨まれるような暮らしぶりをしているようにみえますが、ひとつ、大きな悩みが。長男の嫁との関係です。
Aさん夫婦はもともと長男家族と同居しており、夫の生前中はなんとか長男夫婦や孫たちとやっていけましたが、現在は自分だけが「仲間外れ」にされているような気持ちに。気の強いAさんは嫁や長男と言い合いになることも少なくなく、部屋に閉じこもったり外出の回数が増えたりするようになりました。
Aさんと仲がいい身内は、亡くなった実姉の娘(姪)のBさん(50歳)です。Bさんも早くに夫を亡くしていますが、アパート経営等の収入で何不自由なく暮らしています。暮らしに余裕があるという意味で2人には共通点がありました。Bさんは母親のようにAさんを慕ってくれて、文句もいわずAさんの外出に付き合ってくれたり電話で愚痴を聞いてくれたりしていました。
高級老人ホームの存在を知り…
そんなある日、Aさんはテレビで「入居資金が最高6億円、月々の利用料が55万円(食事代別途)」というシニア向け超高級タワーマンションのニュースを見ます。大浴場をはじめとする豊富な共有施設はもちろん、最上階部分のダイニングルームでは某有名ホテルのシェフが毎日3食作る食事を堪能でき、都心を一望できる高階層の部屋からの眺めも最高で、高額ながら人気だそうです。
そんなニュースを見たAさんは「将来寝たきりになったときに嫁や息子は看てくれないだろう」と考え、自分も高級シニアマンションに入ることを思いつきます。Bさんに相談して入居施設を一緒に選んでもらいました。
Aさんが入居を決めた施設は都心から離れた海の見える高層シニアマンションです。入居金に5,000万円ほど支払い、毎月の支払いも30万円程度かかります。いままでの住まいからはだいぶ距離がありましたが、長男夫婦とは仲良くもなかったため、Aさんは「関係ない、私の勝手だわ」と、入居が決まるとさっさと出て行ってしまいました。
Aさんが入居したホーム内もカラオケに図書館や大浴場など共有設備は充実しており、不自由はありません。積極的なAさんは地元にあるカルチャーセンターでの俳句の会にも入り、老後の生活を楽しむようになります。
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