内閣府の調査によると、国民の50人に1人は引きこもり状態にあるとか。そのなかには働いている人もいますが、無職という人も相当数いるでしょう。なかには親のお金で悠々自適に暮らす実家住まいの中高年も。自由を謳歌する毎日……しかし、思いもしない試練に見舞われることもあるようです。
〈年金23万円〉〈貯金2,000万円〉元教師の80歳父の口座から「毎月10万円」引き出して悠々自適に生きる、実家暮らし「52歳・働かない息子」…銀行からのよもやの宣告に「畜生!」と激昂 (※写真はイメージです/PIXTA)

氷河期世代の52歳。厳しいノルマに悲鳴!心を病み、実家に出戻り

山本健一さん(仮名・52歳)。市内郊外にある実家に戻り20年が経過。大学進学時、実家から通うこともできたにも関わらずひとり暮らしを始め、それから15年ほどして実家に出戻り……なぜ?

 

――大学進学で家を出たのは、教師だった父からただ逃げたかった

 

厳格な健一さんの父。生活態度から勉強に至るまで何かと口うるさく、窮屈な思いをしてきたといいます。「ひとりでしっかりと生活できるようようになりたい」と訴えたところ、家を出ることを許してくれたとか。

 

大学卒業と共に就職し、普通にサラリーマンをやっていた健一さんが、再び実家に戻ってきたきっかけは失業。就職をしたのは、就職氷河期のはしりのタイミング。健一さんの場合、大学を卒業しても職がない、という状況は回避できたものの、自分が望む会社への就職は叶わず、「正直、仕方がなく」という会社で働くことに。

 

朝8時から朝礼がスタート。ラジオ体操から始まり、社訓を大声で唱和。昨日の営業成果を読み上げられ、ノルマを達成していれば称賛され、達成していなければとことん批判を受ける。朝礼が終われば5分以内に営業活動で外に出なければならない。受注を上げなければ帰社しづらく、すでに陽が落ちているなか、途方に暮れる……そんな毎日を過ごしていたとか。

 

そんな生活を10年ほど続けたという健一さん。その間、転職を考えたこともありますが、不況が続いていたこと、また名の知れた会社ではあったこともあり踏ん切りがつかず、気づけば10年ほど経っていたといいます。そんなときに体に不調をきたします。

 

朝、電車に乗ろうとするも足が動かず、動悸が止まらない……医師から心の病と診断され、休職を余儀なくされ、そのまま退職に至ったとか。そんな息子を心配し、実家に呼び寄せた、というのがことの顛末です。