前回は、普段生活している自宅の登記について、実際に起こったトラブルについて解説しました。今回は登記にまつわる留意点について、また別の実例をもとに説明します。

建て直したら改めて登記が必要だったのに・・・

前回とは別の事例ですが、未登記の建物でこんな話もありました。


その方は、昭和40年頃に中古で家を買いました。その家は登記してあったのですが、その後、家が古くなったので取り壊し、新しい家を建て直しました。その時に、本来なら中古の家を解体した旨を届け出ると同時に、新築の家を登記しなければならなかったのですが、その方はそれをしなかったため、そのお宅はずっと、中古の家の固定資産税を払い続けていたのです。役所から指摘を受けて初めて自分たちが登記していなかったことに気付き、慌てて手続きを行ったと聞きました。


「そんなことがあるの?」と思う人もいるかもしれませんが、こういったことは実際にあちこちで起こっています。そもそも土地や建物を買ったら、登記が必要だということを知らない人も多いものです。また、きっと親がやっているだろうと思って調べもせず、未登記のままという人もいます。

登記が済んでいなければどんな対策もとりようがない

東京などのように、いろいろな人の手を転々とすることの多い都会の不動産ほど、権利関係が複雑になりやすいものです。元の地主が亡くなり、その土地を最初に借りていた人も亡くなり、その後、何人かの借り手がいたようだが詳細がつかめず、今はまた別の人が住んでいる・・・などとなると、一体、誰が所有者なのかわかりません。


不動産というのは、いつでも売れる状態にしておくことが大事です。

 

権利関係が複雑で取引できないものは誰も欲しがりませんから、価値がないようなものだと思っておいたほうがいいと思います。そんなものを家族に相続させるのは、あまりにも無責任ですし、愛情のないことではないでしょうか。


多くの人が相続税の節税にばかり目を向けていますが、基本的な登記ができていなければ、どんな対策もとりようがありません。もし思い当たる節があれば、ぜひ早いうちに登記の確認をしておいてください。

本連載は、2013年12月2日刊行の書籍『ワケあり不動産の相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

ワケあり不動産の相続対策

ワケあり不動産の相続対策

倉持 公一郎

幻冬舎メディアコンサルティング

ワケあり不動産を持っていると相続は必ずこじれる。 相続はその人が築いてきた財産を引き継ぐ手続きであり、その人の一生を精算する機会でもあります。 にもかかわらず、相続人同士が財産を奪い合うといったこじれた相続は後…

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