(※写真はイメージです/PIXTA)

後輩の上司が先輩の部下では仕事をしにくいからと、その先輩をその職場から移動させたり、会社の外に出向させたりもします。「エイジ(年齢)」のせいで、お互いが損をしているのではないでしょうか。ジャーナリストの岡田豊氏が著書『自考 あなたの人生を取り戻す/不可能を可能にする/日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)で解説します。

日本はジェンダー意識のレベルが低い?

■「先生」「センセイ」という呼び方

 

「先生」「センセイ」と呼ぶ相手はどんな人たちでしょうか。

 

人それぞれですが、私は、自分に教えてくれた学校の教員や恩師は「先生」と呼びます。同様に、私を真剣に診察しようとしてくれる医師は「先生」と呼びます。軽率な感じの医師は「〇×さん」と名前で呼びます。私を教育しようとしてくれたり、私の病気を本気で治療しうとしてくれたりする大切な役割の人に対しては、尊敬と信頼、責任を果たすべきだという願望も込めて「先生」と呼ぶことにしています。

 

政治家はどうでしょう。若い記者時代、政治家を取材する時、先輩記者に倣って、国会議員を「センセイ」と呼んでいました。媚びる感じがして抵抗がありましたが、「〇×議員」と呼ぶよりは「センセイ」と呼んだ方が、相手が振り向いてくれるかもしれないといった下心があったのかもしれません。

 

しかし、やがて疑問に思い、ある時から、やめました。自らの利益を優先するような政治業の人が多いと感じ、センセイという呼称がはばかられたからです。重責を果たし切れていない議員を「センセイ」と呼べば、議員が増長し、勘違いしてしまうかもしれないなどと考えました。

 

■「男らしさ」「女らしさ」とは

 

2014年、仕事でニューヨークに赴任していた時のことです。家族でレストランに行って、何を食べようか、メニューを見て決めようとしていました。

 

英語で書かれた料理がどんなものなのか、なかなかイメージできないのでしょう。長男は決めかねていました。長女は決断が速いのですが、長男はじっくり考えるタイプです。

 

店員にオーダーを急かされても、決まらないので、私は「男らしく、ビシッと決めなさい」と言いました。そのエピソードをアメリカ人の知人に話したら、「それはダメ。アメリカでは、男らしいとか、女らしいって言わない方がいい」と忠告されました。「男女差別と受け取る人がいるからね」と言うのです。恥ずかしながら、「目からうろこ」でした。

 

私は即座に自考を迫られました。例えば、「男らしい」という意味がプラスの評価だとすると、「女らしい」をマイナスの評価だと受け止める人から差別と見られてしまうということのようです。そもそも、「女らしい」「男らしい」とは一体どんな意味なのか。それを定義することは、男女の偏見になりかねないと。

 

性のあり方の多様性を受け入れる認識が広がる中、「男」「女」をめぐる表現、解釈の環境は大きく変化しています。日本だと、「男らしい」は強くて、決断が速くて、たくましいといった“イメージ”でしょうか。「女らしい」は優しくて、寛容で、しなやかといった“イメージ”でしょうか。しかし、強くて、たくましい女性もいるし、優しくて、しなやかな男性もいます。

 

「男らしい」「女らしい」という言葉は、日本人に実になじみ深い言葉でした。しかし、使い方を考え直してみる必要があるのかもしれません。私は、「男らしい」「女らしい」という言葉を基本的に使わないようになりました。

 

2021年、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が「女性差別」発言で辞任に追い込まれました。各国から、日本人全体のジェンダー意識のレベルが低いのではないかと指摘されました。

 

「男」「女」という区別をしない考え方。「男」「女」の違いをちゃんと考慮して対応する考え方。「男」「女」という区別だけではくくり切れない幅広い意識。社会は大きく変化しています。

 

岡田 豊
ジャーナリスト

 

 

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本連載は、岡田豊氏の著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)より一部を抜粋し、再編集したものです。

自考

自考

岡田 豊

プレジデント社

アメリカでの勤務を終えて帰国した時、著者は日本は実に息苦しい社会だと気付いたという。人をはかるモノサシ、価値観、基準の数があまりにも少ない。自殺する人があまりにも多い。笑っている人が少ない。他人を妬む。他人を排…

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