(※写真はイメージです/PIXTA)

「人生100年時代」と呼ばれる現代、老後の資金計画は多くの人にとって大きな関心事。しかし、必要な金額はライフスタイルや目的によって大きく異なります。本連載では、老後に必要な資金を目的別に分かりやすく解説し、不安の解消と実現可能な未来設計のヒントを提供します。第2回目は老後の「生活費」について考えます。

老後の生活費はいくら必要なのか 

そもそも、老後の生活費はどのぐらいの金額が必要になるのかというと、15万円~25万円程度、つまり最低20万円前後を見ていればよいと思われます。これはローンの返済が終わっている場合を想定しているため、家賃は含めていませんが、家賃を入れた場合はこれにプラスされるイメージです。

 

内訳は食費、そして固定費として水道、電気、ガスなどの水光熱費や、通信費、保険費用などです。多少変動することが想定される食費や交際費についてはある程度余裕を見て、前後20%程度変動しても問題がないように予算を立てる必要があります。生活費については、老後になったからといって突然支出が減るわけではないので、今の生活費がそのまま維持されるという前提で考えておけば良いでしょう。

 

また、マンション住まいの方の場合は、ローンが完済していても修繕積立金の問題があります。修繕積立金は今後、ローンの半分程度まで上がる可能性が高いと予想されています。例えば、月10万円から15万円のローンがある築3、40年の物件に住んでいる場合、修繕積立金はおよそ3万円から5万円程度になるでしょう。それに加えて管理費もかかるので、管理費と修繕積立金だけで月に5万円から7万円程度がかかる計算になります。このように、修繕積立金に関しては上がる前提で計算しておくのが良いと思います。

 

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生活費で削減できる部分は?

前回、老後資金をするための方法として資産運用を紹介しましたが、資産運用のための資金を確保するためのひとつの手段として、生活費の見直しがあります。

 

特に固定費の中で、保険は無駄がある場合が多いため、削減しやすい部分といえるでしょう。例えば医療保険の場合、近年は平均入院日数が短くなっているにも関わらず支払限度日数が180日型のプランに加入していたり、同じような内容で2、3種類の保険に加入していたり……というケースは少なくありません。そういった部分を見直すことで、家計負担を軽くし、資産運用により多くのお金を入れることが可能になるわけです。

 

保険以外にも、資産運用に回すために削減できる生活費はあります。例えば「食費」がそうで、外食してしまうと食費は自炊の約3倍に膨れ上がってしまうので、ある程度内食化、中食化してコストを落とすことを考えてみるとよいでしょう。ほかには「趣味」にかけるお金も見直すことはできますが、そこにメスを入れてしまうと生きる楽しみがなくなってしまいますし、我々は趣味の領域は「聖域」だと考えているので、基本的には見直す対象からは除外します。

 

例えば、我々のクライアントの中には、流行の“推し活”をされていて、そのために家賃を抑えている方もいらっしゃいます。必ずしも全員に当てはまる考え方ではないですが、収入があまり多くなく、将来の老後の資金に不安を抱えているという方の場合は、家賃が高ければ見直すことを考えてもいいかもしれません。また、例えば旅行が趣味で「世界一周クルーズに出たい」という夢がある方などもいると思いますが、やはり多額のお金が必要となるので、その場合はプラス500万円、1,000万円を老後の生活資金に加えて考えるのがよいと思います。

 

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地方と都会で変わる?資産形成で知っておきたいこと

資産形成について、これらは首都圏を想定した話ですが、地方在住の方の場合は、従事している産業に応じた資産運用をお勧めするケースもあります。

 

例えば生活費の場合、支出の内訳に対して改善できる部分を探すというアプローチをしますが、農家の方の場合は、食費がかからないことが当たり前のケースも多いですよね。そこでどのような調整ができるかを考えるわけです。例えば農業に従事している方の場合は、定期収入はないに等しく、フリーランス的な側面がありますので、そういう方に合ったような“安全パイ”の積み立てをお勧めします。

 

一方で、サラリーマンの方ですと基本的にはある程度、収入が見えているので、そうした場合は可能な限りの回せる金額で資産運用していくような形になります。地方にはさまざまな産業がありますので、どのような産業に従事しているのか、その内容に応じてリスクへの備えや資産形成の手段を考えていきます。

 

資産運用を考えるうえでは、最低でも確保できる収入を目安に運用計画を作るのが基本です。例えば農業に従事している方の場合、不作の年が2年、3年と続く可能性もあるので、そのような状況に置かれても問題なく続けられるような形で資産形成できることが重要です。どれくらいの金額であれば資産運用を続けられるのか、そこをベースに考えながら運用する形が基本となります。