戦後最悪の日本と韓国の政府の関係
■韓国との向き合い方 余裕を失った日本の姿
2020年、日本と韓国の政府の関係は、戦後最悪だと言われていました。竹島(独島)、慰安婦問題、徴用工問題、そして、貿易管理上の相互規制問題。韓国政府は日本批判を繰り返し、日本政府も妥協を見いだすことなく、批判の応酬を繰り返してきました。
日本側の世論のひとつを象徴するエピソードがあります。
2020年、知人が編集していた大手経済誌で「日韓特集」を掲載した時のことです。特集は、いがみ合ってばかりいないで、日韓両政府は冷静に解決の処方箋を探るべきだといった論調でした。ひとつの真っ当なスタンスです。日本の戦後処理が十分でなかったといった指摘をしながら、日本をもたしなめる内容でした。
雑誌の発売後、読者から編集部に、抗議を含めたクレームが相次いだそうです。クレームは「韓国の肩を持つな」「悪いのは韓国だ」といったトーンが目立ったそうです。
外交とは本当に難しい。摩擦やトラブルが起きた時、譲れない部分があるのは分かります。
主張すべきことは主張しないといけません。しかし、互いに妥協がないと、関係は改善しません。国として、人として世界から信頼されません。
韓国政府が日本を批判すると、韓国内で支持率が維持できるといった見方もあります。日本政府は、正論をぶつけているつもりでいても、一方の背景には、戦時中の日本の「植民地支配」や戦後処理のあり方という根深い問題が存在しています。いずれも難しい問題です。
日本人の利益はもちろん重要ですが、韓国人も大切な隣人です。相手の韓国側に物申すなら、日本も自らに何ができるのかも考えた方がいいのではないでしょうか。それが、結果的に日本が信頼され、日本人にとって得なやり方になると考えます。
「韓国になめられてたまるか」
こんな論調も日本で一部に見受けられました。そこには、おごりなどがにじみ出ていないのかどうか。日本人にもっと余裕があれば、もっと力量があれば、受け止め方も、考え方も違うかもしれないと感じます。日韓の対立から垣間見えるのは、日本人が余裕を失い、自信を失いかけているのではないかということです。
岡田 豊
ジャーナリスト
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