東京オリ・パラ大会が示した日本の劣化
■すぐに実行すべき5つの重要政策
今すぐ実行すべき5つの重要な政策を自考してみました。日本の未来を切り拓く政策を、ここではシンプルに記述しておきます。
(1)自考と自立を促し、未来を切り拓くゼロベースからの共育(教育)改革。
(2)世界をリードする産業・企業を生み出すイノベーションと研究開発促進、成長戦略。
(3)国民が信用できる年金制度の構築を柱にした本格的な社会保障改革。
(4)世界から信頼される自立した安全保障、外交、経済イニシアチブ政策。
(5)子どもを産み育てたくなるような信頼できる社会にするためのあらゆる政策。
この5つには、単に財政出動や金融緩和をすれば実現するといった甘い政策はひとつもありません。国民一人ひとりが本気で考え、政府や政治家や公務員の方々、そして、私たち国民が、必死の覚悟で、本気で取り組まなければ実現できないものばかりです。
■日本の“劣化”が世界に伝わった東京オリ・パラ大会
「もうオリンピックじゃなくなっている。競技会だ」
日本オリンピック委員会(JOC)の理事だった山口香さんは、東京オリンピック開幕前の7月、テレビの報道番組でこう言っていました。オリンピックの理念が思うように実現しない大会になったなどとして批判したのです。
1964年の東京オリンピックは、敗戦から復興した日本の姿を世界に示すことができ、一定の成功を収めたと評価していいでしょう。しかし、その57年後の東京オリンピック・パラリンピックはどうだったのでしょうか。
「日本が劣化したことが世界に伝わってしまった」
そんな指摘も出ています。
元首相の森喜朗さんの“女性蔑視”発言。開会式のショー演出を担当するはずだった小林賢太郎さんは開会式の前日、解任されました。お笑い芸人として活動していた過去に、ユダヤ人の大量惨殺を揶揄する発言をしていたため、アメリカのユダヤ人人権団体が批判声明を出していました。
東京オリンピック開会式の作曲担当だった小山田圭吾さんが、かつてのいじめ問題で辞任したのは開会式の4日前。日本人の人権意識はどうなっているのか。中国やロシアなどを批判するなら、自らの人権意識や人としてのモラルをしっかり見つめ直すべきだ、という展開になってしまいました。
それだけではありません。場当たり的な印象が強かった新型コロナウイルス対策。選手と大会関係者の感染は連日確認されました。不備を承知で開催強行したとも言える未熟さ。そして、日本のワクチン接種の遅れ。政府への不信。日本の“ダメな部分”が世界にさらされました。
無論、日本の評価が高まった部分もあります。ボランティアのみなさんの頑張りや心配り。
新型コロナウイルスなどと闘う医療従事者などのみなさんの懸命な姿も伝わりました。それでも、日本に対する評価が下がるかもしれないと心配です。日本が失った信頼などを経済的な損失に換算したら、大きな額になるのかもしれません。